2016/12/09
今日は夏目漱石の百回忌だそうだ。つまり、1916/12/9に49才で胃潰瘍かなんかで喀血し死んでいる。生誕はと言うと、150周年を2017年に迎える。ということで漱石の話題で賑やかである。朝日新聞は『我輩は猫である』の再掲載をしたり、テレビでは、漱石の紹介や文学について取り上げたりしている。昨晩は、当時の二大文豪である漱石と鴎外の食物に対する姿勢を取り上げていた。漱石は食いしん坊で、鴎外は果物でも火を通した潔癖症とのことがおもしろかった。木曜会や歌会で出てくる食物を料理して皆で食べたりしていた。今日は『三四郎』の深読みをしていた。こんな調子でしばらくは漱石の特集が続くのだろう。
さて、わたしの漱石ということだが、わたしにとって初めて感動、共感した作家だと言える。芥川や三島由起夫などそれなりに読んだが、読破しようと奮起したのは夏目漱石が最初であった。小説だけでなく評論・随筆・日記や漢詩などもわからないなりに全般を読んだ。漱石の小説は先々再読しようとしていたがまだ果たせないでいる。
漱石の魅力は世の中の認識の仕方というか、批評眼というか、その言葉である。モラル的なものを知らない間によきにつけ、あしきにつけ吸収したのではないかと思っている。しゃかりきで再読するとか、研究するとかという気はないが再考はしてもよいかと考えている。
2016/12/09
050
「厚餡割ればシクと音して雲の峰
(中村草田男
/キンツバを割ればシクッと音するかパクつく空に雲の峰
&こし餡かな)」
051
「熱燗の夫にも捨てし夢あらむ
(西村和子
/このような団欒吾にはなかりせど吾が捨てし夢よくはわからず
&あるようなないような)」
052
「あなたなる夜雨の葛のあなたかな
(芝不器男
/故郷の伊予から旅し仙台に夜雨の葛のあなたのあなた
&葛は白河辺りで見たらしい)」
053
「あねもねのこの灯を消さばくづほれむ
(殿村莵絲子
/あねもねもこの灯を消したら萎れんと思いて灯り煌々とせり
&この解釈はあっているかな?)」
054
「あの世にも顔出しにゆく大昼寝
(滝春一
/大昼寝季節はいつか知らないが夢にも見たかあの世のせかい
&どうせなら米朝落語の地獄絵を笑いながらに見たきものかな)」
055
「海女沈むとき一対の土不踏
(橋詰沙尋
/土踏まずこんなときしか見ないけど言われて気づくはたと手を打つ
&俳句とはモノボケなるの説のありこの句なんかは好例なりと)」
056
「あまりりす妬みごころは男にも
(樋笠文
/アマリリス嫉妬いだかす花姿につき思い出すかな妬ける男を
&深紅なるユリのようなるアマリリス目鼻くっきり美人のごとし)」
057
「天地の間にほろと時雨かな
(高浜虚子
/時雨るを空間設定したのちにほろと表現吾にはできず
&霰や雪や霙とかあっているオノマトペをさがせ)」
058
「天地の息合ひて激し雪降らす
(野澤節子
/天も地も呼吸合わせて雪降らすふぶく様子の益々激し
&自然の猛威)」
059
「雨の二科女の首へまつすぐに
(秋元不死男
/雨の日に二科展に行きまっすぐに女の顔の絵に迎いたり
&二科が二科展のことか不明だが)」