■房指輪■
今日も真鶴と真美那は向かい合わせに並べられた織機の前でおしゃべりしている。
「ところで、ハジチはどうする?」
「私は遠慮しておきます」
この時代、身分の高い既婚女性が手の甲に刺青をするのはよくあることだった。
しかし必ず刺青しなければならないというわけではない。
現代のピアスと同じようにファッションのひとつである。
「じゃあ私もやらない。房指輪にしておく」
「テンペスト(下)」より
真鶴に戻るときも王族としての身なりを要求される。
髪を結い直し、女物の銀の簪を挿し、入念に化粧を施す。
その間も女官大勢部の声が頭上から聞こえてくるから手を休める暇はない。
「あごむしられ様―っ。真鶴様―っ。
首里天加那志がお呼びでございます―っ!」
「思戸、待ってちょうだい。
首里天加那志に御目通りするんだから簡単にはいかないのよ。
房指輪はどこ?草履は?扇子は?
よしできた」
真鶴は息を整えて魔法をかける。
「寧温、真鶴に戻りなさい―――!」
御内原の暗シン御門から出た真鶴は、
何事もなかったかのように王宮の花に戻っていた。
「テンペスト(下)」より
首里城では下之御庭、系図座にて琉球舞踊を見ることもできます。
無料です。しかも無料区域です(笑)
これまでここでじっくり琉舞を見ることはなかったのですが、
ちょうど時間も合っていたこともあって3演目をじっくり見させてもらいました。
その中で反応しちゃったのが装飾具の房指輪。
房指輪はジャラジャラ式(笑)の指輪です。
幸福と栄華を願って「灯篭」「花」「魚」「扇」「芭蕉の葉」「蝶」「鳩」の
7種をかたどったモチーフがついているそうです。