■万座毛(まんざもう)■ 北部の景勝地である万座毛は、大自然の彫刻と言える雄大な景色が広がっている。 海底の一部が隆起した断崖の中腹には巨大な円形の窓がある。 この窓から臨む珊瑚礁の海が、複雑に表情を変える様は天然の万華鏡を彷彿とさせる。 風と波が匠に作用し合い、足元で砕ける音は万雷の拍手にも聞こえるのだ。 「テンペスト(上)」より 羽交い絞めにされていた寧温が袖に忍ばせていた護身用のトンファーで 油断していた徐丁垓が手を緩めた瞬間、トンファーの殴打が降り注いだ。 「死ね。徐丁垓!」 「女ごときに私を倒せると思っているのか」 寧温がトンファーを小気味よく回転させて構える。 「本部流免許皆伝!」 寧温のトンファー捌きを軽くかわした徐丁垓は 寧温が一歩踏み出せば、徐丁垓は斜めに逃げる。 ―――もしかして誘導されている? ふと寧温が後ろを振り返って息を呑む。 踵から先は断崖絶壁だった。 「テンペスト(上)」より …ごめん、テンペスト大好きなワタシですが、 いやいやいやいや!!(苦笑) ってツッコミました(笑) さすがに寧温くん、それはない(笑) 寧温くんの武術シーンなんて全編通してここ一ヶ所だけだし。 機織とか琉歌の技術の高さは(真鶴として)ある程度年月がたっている、 トンファーで免許皆伝って…。 いつの間に?(笑) では気を取り直して、テンペスト行脚、万座毛からもう一場面。 ※以下、ネタバレ注意です。嫌な方は飛ばしてください。 王府の役人達が海の彼方に消えて行く中、 正装の黒朝衣は今年仕立てたばかりの新品だった。 だが来年、王宮に新春がやって来ることはない。 やがて民は琉球王国の記憶を失って皇民化させてしまうだろう。 評定所筆者の知力も、王府の美意識も全て忘れ去られてしまう。 目の前に大海原が広がっている。 海洋国家琉球の路だ。 この海を越えて果報はやってきた。 比類なき王朝文明を築くことができた。 今、朝薫は琉球の路に還らん。 「千年王国万歳―――!」 断崖から吹き上がる風を受けた朝薫が王国を抱いて翔んだ。 「テンペスト(下)」より 万座毛のシーンは、上巻と下巻にひとつずつあるのですが、 それはもう、一瞬に、鮮やかに。 アングルとか、効果音とか、スピード感とかの映像演出とか。 なので万座毛はテンペスト行脚には欠かせないスポットの1つですね(笑)
徐丁垓の鳩尾を打撃する。
いたぶるように万座毛の崖っ縁まで寧温を追い詰めて行く。
わざと隙を見せて寧温を三歩前に誘い、絶妙なタイミングで攻撃をかわす。
この「本部流免許皆伝!」と寧温君が叫ぶところは最初見た時
いくらなんでもなんでもできすぎ(笑)
ということなので納得できるとしても。
朝薫はひとり万座毛に佇んでいた。
来年の新春の儀で着ようと誂えたものだ。
どちらも文章描写が1番映像としてガンと入ってきたシーンです。
■福州園■
迎賓館の機能をする天使館は清国の様式で立てられた施設だ。
門に入った瞬間から清国語の世界に変わる。
寧温は流暢な発音で正使との謁見を求めた。
「王府の孫寧温です。このたびの取引の真意をお尋ねにあがりました」
「テンペスト(上)」より
朝薫と寧温は清国側の天使館へ赴いた。
自信満々の笑みを浮かべた寧温の軽い足取りに比べて、朝薫はやや重かった。
琉球と清国の阿片禁止法は同じだが、薩摩は次元の違う体制下にある。
どうすれば清国と薩摩が繋がるのか朝薫には予想がつかない。
寧温が正使の前で両腕を重ねて儒礼する。
「糾明奉行の孫寧温です。
阿片事件に関する捜査にご協力をお願いいたします」
「糾明奉行とは何だ?」
「清国で言うところの欽差大臣でございます。
国王から全権委任されております」
「テンペスト(上)」より
久米村は清国の飛び地領のようなものだった。
彼らは帰化人でありながら清国式の風習や生活を崩さない。
久米村に行けば道教の神々を祀る廟が至るところに設けられている。
服装や風習も気位も琉球とは異なる地域だった。
そして久米人たちは内部で血脈を維持し琉球人と距離を置こうとする。
彼らは大国のエリートであり続けようとする意識の持ち主だ。
「テンペスト(上)」より
はい、那覇市久米にある福州園に行ってきました。
中国からの使節である冊封使が滞在した天使館は現在はありません。
読谷村の観光体験施設むら咲きむらに天使館をモデルにした建物がないこともないのですが…
もうすっかり体験施設なので…
う~ん、当時の雰囲気はきっと福州園のほうがある気がする…。
というわけで、当時の天使館の様子を偲んで、
中国式庭園である福州園をご紹介。
「久米村門」ともあるように久米村や久米人とも密接な施設でもあったと思われます。
受け付で入場料を払おうとしたら、どこから来たのか尋ねられ、
県内だと分かるとなぜか無料で入れました(笑)
ラッキー
(でもパンフレットとか説明パネルとかなかったのは残念…)
またあとで福州園の写真を紹介しようと思いますが、
思っていたよりも面白かったです。福州園
とある方のブログで拝見して一目ぼれした手ぬぐい。
絶対買おうって決めてました
かまわぬ、注染。
切子手ぬぐいといえば、前回紹介した梨園染の江戸切子でしたが、
これは切子文様の総柄!!
なんかすごい豪華な感じ(笑)
見た目もすごい涼しげでお気に入り
夏の終わらないオキナワではまだまだ大活躍してくれそうです。
ちなみに、これの赤切子バージョンもあるみたいです。
(限定カラーかな?)
みそおでんさんの手ぬぐいノートで紹介されています