がじゅまるの樹の下で。

*琉球歴女による、琉球の歴史文化を楽しむブログ*

当サイトの掲載写真・イラスト等の無断転載/無断使用を禁じます

「月下に語る」まとめのページ+裏話

2010年12月31日 |   …… 「月下に語る」

1458年 勝連落城
その時、勝連城主・阿麻和利は、そして王軍総大将・大城賢雄は…。
読谷村にある、阿麻和利のお墓の謎をモチーフにした創作琉球小説。

創作琉球小説
「月下に語る」
原案/和々  著作/シルフ+和々

予告編
http://blog.goo.ne.jp/wa_gocoro/e/94f831a9a424bfff5399df2b316aca80

はじめに
http://blog.goo.ne.jp/wa_gocoro/e/b52509b03cddaceafc3a53716293cd1f

1/4
http://blog.goo.ne.jp/wa_gocoro/e/554391defb384c03823deba1a707e6b5

2/4
http://blog.goo.ne.jp/wa_gocoro/e/4c378250df2b98739c134b4118b2c31e

3/4
http://blog.goo.ne.jp/wa_gocoro/e/c44da000828365bef8f6e8bb53913eb0

4/4
http://blog.goo.ne.jp/wa_gocoro/e/b38002202aa52ec4cedb180fac8fcaaf

 


では、「月下に語る」裏話~♪
(本編読んでない人は読んでからがいいかも)

まずは↑タイトルも作ってみた百十踏揚と月。

実は、3/4で阿麻和利が死ぬ際、月を見上げますが
その同時刻、首里でも百十踏揚が月を見上げ何かしらを感じ取る

…という、裏設定がありました(笑)

「べたな展開ですが」と言いつつ
添削してくれたショクバの歴女仲間A嬢が提案してくれました。

いいかも…と思いつつ、
でもどうやって文章として入れれば??
と悩んだ末、結局文章としては入れられ仕舞い

もし、この小説をビジュアル的に(っていうか漫画的に)イメージするとしたら、
あのシーンに首里の百十踏揚のコマが数コマ入る…

って感じです(笑)
(…分かるかな?)

お次はこの人。

津堅(つけん)。

この従者の存在はシルフさん発案です。
(グッジョブ☆)

最初は全部従者の視点で書く予定…でした。

その後、各章ごとに視点が変わるという『告白』スタイルに。
(ある章では賢雄視点。ある章では津堅視点…みたいな)

それも面白いな、と思ったのですが…
やはり難しかったので普通のスタイルになっちゃいました

で、「津堅」という名前。

勝連(町)の字名を羅列してその中から選びました(笑)

・内間 ・南風原 ・浜 ・比嘉 ・平敷屋 ・平安名 ・平安座 ・伊計 ・屋慶名 ・宮城
などなど…。

「肝高の阿麻和利」とかぶる苗字は避けて、「津堅」に。

でも「津堅」、実は与並岳生さんの『百十踏揚』に出てきます。
もちろん、同一人物のつもりじゃないんですが。
その中でも津堅は阿麻和利の弟的な比較的若い側近なんですよね。

偶然です(笑)
(「津堅」の名前を選んだのはワタシじゃないんで(笑))

「月下に語る」の津堅は17・8歳ってのは
最終段階になって出てきた設定です。

「…なんか、言動が若干子どもっぽいよねぇ。まっすぐっちゃ、まっすぐだけど。」
ってことで。

でも、最後にうまくまとまったんで、結果オーライかな。
(いかに無計画で行き当たりばったりで作ってたかがバレる…)

で、ひとまず「完成」とする前に、
添削チェックも兼ねて何人かのヒト(大人)に読んでもらったんですが、

その中で、
「これ書いた人、賢雄が好きなんだなーっていうのが分かる」
って言われました(笑)

「いやいや、賢雄も好きですけど阿麻和利が1番なんですよ?」
って言ったら、隣にいた別のヒトが
「でも阿麻和利の舞台終わってからも賢雄賢雄してて
阿麻和利のこと言ってるの聞いたことないけど(笑)」

…って。

はははっ(脱力)

それは誤解です

 ちゃんと阿麻和利君も見てますよ(笑)

ただね、阿麻和利と違って
賢雄は演者が変わるからその違いを見るのが楽しいのさ。

それに阿麻和利はもうかなり有名だけど
大城賢雄はまだ知らない人の方が多いんだもん。

自然と賢雄について話題にしたくなるさぁね。
(そういえば、前にも別のコに言われたなぁ。賢雄が1番好きなんでしょ?って。そう見えるのか?)

まぁ…そんなこんなで、
阿麻和利も大城賢雄も愛情たっぷりに注いだ
「月下に語る」になりました(笑)

 

*おまけ*
日の目を見なかったかなり初期段階での台詞

「生きているのだろう?阿麻和利」
予告編にも入ってた台詞。
気に入っていたんだけど、この確信に満ちた台詞だとうまく繋がらなかったので泣く泣くカット。

「不思議なものだな。いい思い出のほうが少ないというのに、
限りある命だと思うととたんに郷愁の念を抱くのだから」
阿麻和利、屋良に行ってました。
でもやっぱり屋良で特別なにかをするでもなく…というわけでシルフさんリテイク。

「ふざけるな…っ!俺は、俺はそんなお前を追いかけていたんじゃない…!
俺は、どんな時でも諦めず、向かってきた勝連按司のお前を斬りに来たんだ…!
そんな腑抜けのお前を斬りに来たんじゃない!!」
腑抜け(笑)
賢雄、殺しにかかってます。どうすんだこの後(笑)
でもこの賢雄の感情の高ぶりが完成版のあの心の台詞に変わったのですネ。


最初、展開が全然今と違いました。

賢雄、部下総動員で阿麻和利探すし、
阿麻和利、屋良に行ってるし、
阿麻和利と賢雄と再会して一戦交えてるし。
(おいおい、阿麻和利瀕死やで)

ちなみに阿麻和利の瀕死のイメージは
中岡慎太郎くらい。

まぁ…それくらいまとまってなかったんです。過程が

結果はね。最初でできてたんですよ。

阿麻和利を斬ったのも墓を作ったのも賢雄って。

 

今思えば…よくできたものです

やっぱり、読谷山ってことは護佐丸でしょう。

阿麻和利・賢雄・護佐丸という琉球三傑を見るときに
護佐丸の神的な存在感っていうか
そういうのをどうしても入れたかったです。

それゆえに「読谷山」という場所の意味を持たせたかったのですね。

 

少しでも、伝われば幸いです♪

 

にほんブログ村 歴史ブログ 琉球・沖縄史へ
歴史ブログ 琉球・沖縄史   
記事や写真がお気に召しましたら
ぽちっと応援お願いします♪

ありゃ、あと20分後は新年か。

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ブログで人の和 2010年

2010年12月31日 | ・徒然日記

…なんなんだ、今日の寒さは!!

年越し寒波だとぅ!?
最高13、最低11って。2度しか違わんし…。

風邪、熱はもう大丈夫ですが
鼻水とかがまだあって引き続き外出禁止で安静(?)中…。

初日の出は中城城跡にでも行こうかなー
とぼんやり思ってましたが、中止ですな。
首里城の新春の宴も…ダメかも

風邪のせいで予定大狂いです(トホホ)

今日は正月料理の手伝いもして
沖縄そばも食べて、
やっと一段落ついたトコロです。
(紅白、仲間由紀恵テンペスト仕様紅型着物だったね~

 

さて、もうあと3時間ほどで2010年が終わりですね。

今年1年のマイブログライフを振り返って見ますと。

 

とうとう琉球歴女なフォトブログってスタイルに絞られちゃいましたが、
毎日たくさんの方々が訪問してくださり
コメントやランキングへのクリックなどもしてくださいました。

本当にありがとうございました!!
(励みになります♪)

今年は写真だけでなく
約8年ぶり!?くらいにイラストも再び描き始めて
(やっと勘が戻りつつある…かな??)
短編小説もできたりしまして
アウトプットのバリエーションがかなり増えました。



そして、このブログを通して
今年も色んな出会いがあり、
チャレンジがあり、
依頼もあり、
それがまた繋がって繋がって…と、
自分でもびっくりの2010年でした。
(そしてびっくりの2011年に続く…(!))

「こんなんブログでも続けておくもんだねぇ…」

っていう不思議。

どれもこれも、
ブログをやってなければ無かったステキなコトばかりです。

ブログを通した「人の和」に感謝!!

更に、
「琉球王国のグスク及び関連遺産郡」世界遺産登録10周年ということで、
世界遺産講座に平田舞台の連続グスク公演!!


今年の秋は、

本当に、

濃かった…。


おかげで舞台もたくさん見れて、
たくさんの感動も刺激ももらって、
琉球についての勉強もたくさんできて、

何より楽しかったです!!!

 

来年はもっと濃い1年になる予感!

さあ、おいでませ!!

琉球史ムーブメント!!

というわけで、
今年一年の全ての出会いと全ての出来事に感謝します!

「がじゅまるの樹の下で。」

今年一年、ありがとうございました!

2011年もどうぞ宜しくお願いします♪



―和々―

2010年12月31日 大晦日

 

余りにも寒いので写真はトロピカルな沖縄写真をご用意しました。
って言ってもこの写真、3日前のです。
この後、発熱ダウン(笑)

all ケータイphoto 

 にほんブログ村 歴史ブログ 琉球・沖縄史へ
写真ブログ カメラ女子
どうぞよい年をお迎えくださいませ♪

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

創作琉球小説「月下に語る」 4/4

2010年12月31日 |   …… 「月下に語る」

 

「月下に語る」(4/4)  予告編  はじめに  1/4  2/4  3/4   
原案/和々  著者/シルフ+和々

  

◆ 七

再び辺りを静寂が覆った。
遠く、静かに響く虫の鳴き声がどこか物悲しく聞こえるのは気のせいなのか。
津堅は阿麻和利の遺体の側にうずくまり声を殺して泣いていた。
賢雄は静かに剣を鞘に収めた。あの心のざわめきは、いつの間にか止んでいた。
しかし、やるべきことはまだ残っていた。
賢雄が阿麻和利の遺体に近寄ろうとした、その時、津堅がキッと振り返った。
「……無礼を承知で申し上げる。阿麻和利様に、触らないでいただきたい。」
そして、阿麻和利の身体を守るように、賢雄の前に立ちはだかる。
「…どけ。」
「いやです。」
「このまま骸をほったらかしにしておくつもりか。」
津堅はいぶかしげに目を細めた。
「……どういう意味です?」
「……阿麻和利按司の墓を作る。」
津堅は予想外の言葉に目を見開いた。
「……賢雄殿が?」
「俺にはその責任がある。」 
賢雄は羽織を脱ぐと、敬虔な振る舞いで阿麻和利の首を取り、それに包んだ。 
丁寧に抱えもち、津堅に振り返る。
「…どこかよい場所の心当たりはあるか。」
「………こちらです。」
津堅はそう言うと、阿麻和利の身体を背負い、歩き出した。

「―――ここは…。」
「……食料を探している時に、見つけました。一時の隠れ家にはちょうど良いかと思っていたのです。」
二人は、巨大なガジュマルの樹の下にいた。
ガジュマルの下ある巨大な岩は鍾乳洞になっており、その入り口を覆うように伸びたガジュマルの気根が、まるでその岩を包み守っているような、そんな感じに見えた。
賢雄は辺りを見回す。人里から離れたこの場所は実に静かで、作物のできない不毛の地ゆえ、人々が寄り付く心配もなさそうだった。 
「なるほど…。隠れ墓にするには、ちょうどいい。」
二人は場を整え、阿麻和利の身体を静かにそこに下ろした。
「……どうぞここで、静かにお眠りください。阿麻和利様。」
と、その時、目の端で橙色の光が見えた。
「朝陽……。」
夜が、明けていく。
「もう朝か……。」
夜明けを告げる光が、全てのものに平等に降り注いでいる。
「そういえば……」
賢雄は口を開いた。
「太陽のような男だった。」
「……阿麻和利様がですか?」
「ああ。」
―――太陽のように、強く、明るく、誰にでも分け隔てなく暖かく包み込む、そんな男だった。 
流れ者の身から按司に登りつめ、民の人望を集め勝連に繁栄をもたらした肝高き按司、阿麻和利。
「……。」
しばしの沈黙。
わたしは、と津堅が沈黙を破った。
「わたしは、武士の心得などわかりません。
阿麻和利様は覚悟を決めろとおっしゃいましたが、賢雄殿の心情も、阿麻和利様が自分を討たせた理由も、理解できません。
わたしは武士として失格なのでしょう。……きっと、一生、あなたを許せないと思います。」
「……ああ、それでいい。許せなくていい。」
―――そんなこと望んでいない。俺は、自分の意思で、武将として自分の誓いを立てるために阿麻和利按司を斬ったのだから。
穏やかな夜明けの光の中、二人はただただ、静かにそこに立っていた。

 

 

◆ エピローグ

線香の煙が細く立ち上っていく。
鬱蒼としたガジュマルの樹の下に、今日も人知れず線香を捧げる人影があった。
どこか子どもっぽさを残していた面影はすっかりなくなり、たくましい青年に成長した津堅であった。
しかし腰に刀はなく、代わりにてぃさーじとクバ笠を手にした農民姿であった。
――――阿麻和利様。今年もあなた様の命日がやってきました。
静かに手を合わせ、合掌する。
年に一度の命日は、自然と阿麻和利との心の対話も長くなる。
改めて、津堅は阿麻和利の最期の日から今日までを振り返る。
――――阿麻和利様。あの後、賢雄殿は何事もなかったかのように首里に帰りました。
賢雄殿と阿麻和利様がここ読谷山で立ち会ったことは今だ明かされていないようで、
王府では阿麻和利様は勝連で死んだものだと処理されたようです。
おかげで、この隠れ墓は静かに守られております。
――――百十踏揚様は、時間はかかりましたが次第に回復され、後々賢雄殿と再婚なされたのだとか。
……そうです、賢雄殿は百十踏揚の一番近くで、阿麻和利様との約束を果たしておられます。

かすかに吹くそよ風に、線香の煙がたゆたう。
――――わたしは武士としての行き方を捨て、農民として、そしてこの墓の守り人としてこの読谷山で生きていくことにしました。
最初は苦労もありましたが、今は妻を娶り、息子も生まれ、やがて一歳になります。
もう少し息子が大きくなったら、ここに連れて来て、わたしがやっていることを継がせようと思っています。
――――どうか、見守っていてくださいませ。阿麻和利様。

津堅はゆっくりと瞳を開く。
頭上から小鳥のさえずりが聞えてきた。
さわやかな風が吹き通り、ガジュマルの葉がさやさやと音を立てる。
穏やかな表情で目を上げると、さぁっと木漏れ日が降り注いだ。

その風と光に身をゆだね、津堅は再び瞳を閉じた。

 

 

―――了―――

 

 

 

にほんブログ村 歴史ブログ 琉球・沖縄史へ 歴史ブログ 琉球・沖縄史
「月下に語る」少しでも楽しんでいただければポチっとしてくれると励みになります(;_ ;
更に一言コメントがあるとシルフさん共々喜びますm(_ _)m

この物語は史実や伝承・民話などの諸説を元にして作ったフィクションです。

「月下に語る」まとめのページ+裏話はこちら♪

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする