この本との出会いは電車の中だった
向かいに座るスーツ姿の男性
少々うらぶれた感のある彼が手にしていたもの
それが「ジョーカー・ゲーム」だった
光沢感のあるグレイな装丁
グレイに半ば同化している軍服姿の男性
引っかかった
その表紙を向かいからしげしげと見る
見ているうちに気になって仕方なくなった
作品名著者名をいつの間にかメモに走り書きをしていた
それが出会いだ
そして
人生初、一度読んですぐにもう一度最初から読み返した
ある種の憧れがあるのだろうか
軍隊的な内容のものに惹かれやすい部分がある
およそ気骨のない自分にとっては、耐えていく自信のない世界である
頂点に絶対的な存在がいるということ
それはある意味では、ラクなのかもしれない
その絶対の意見に沿って生きていける
自分で考え判断し決断を下し生きていく行き方のほうが余程苦労が多いだろう
どちらが良い悪いとは別にして
しかし
その上官命令絶対、天皇を現人神などと称えているなか
「すべてのことを疑え」
と、天皇制崩壊時の議論が交わされる
その対比構図が妙である
今の世の中にも当てはまるだろう
政府に頼って生きてはいられない
自分の頭で考え
自分でリスクを背負って生きていかなければならぬ世の中で
「政府が何もしてくれない」
と、嘆いたところで解決はしないのだから