そもそもスタート時点から、
雲行きがあやしかったのだ。
「連載をしてほしい」
と言われた編集長が、
連載開始を目前にして移動になり、
引継ぎがうまくいっていなかったのか、
初回は目次にすら載っていなかった。
2回目からは、まあ、大した問題もなかったものの、
先方があまり乗り気ではないことは、
随所で感じられた。
そして、アレは起きた。
校正用のゲラが送られてきたのだが、
半分以上、内容が変わっている。
ここまで変えられると、
もはや自分の書いたものではなく、
校正のしようもない。
そもそも、なぜ、無断でここまで変えるのだ。
もちろん、編集者には、
書かれてきたものに対して意見する権利はあるし、
今までにそういう経験は何度もあるが、
「こう直してほしい」と言われて、僕が書き改める。
普通はそうだった。
一応、締め切りも守っていたし、
キャッチボールをしている時間がなかった、
というわけではない。
理解不能。
そこでこの件に関しては、
間に人が入っているので、
その人に先方に事情を聞いてもらった。
文章を変えたのは、
「よりわかりやすくしたかったから」
とのことだった。
それは構わない。
編集者としては、当然の姿勢である。
だが、段取りが違うのではないか。
話し合いの結果、
「元の原稿を載せます」
ということになり、
「直接、お詫びにうかがいます」
と言われたのだが、旅前で多忙だったこともあり、
そこまでして頂く必要はない、と丁重にお断りすると、
「じゃあ、お手紙を書きます」
そう、言われた。
これで事態は解決したはずだった。
だが、いくら待っても「お手紙」は来ない。
それどころか新しいゲラも来ない。
念のため問い合わせてもらうと、
「もう入稿しました」
え?
校正もさせずにか。
またしても、普通あるべき段取りが飛ばされた。
理解不能。
そして、まだ「お手紙」は来ない。
旅から帰ってくると、
その雑誌は店頭に並んでいた。
だが、掲載誌はまだ送られてこない。
もちろん、「お手紙」も来ない。
理解不能。