打ち合わせをかねて、恵比寿の和食屋に行く。
料理はコースで、
ひと品ずつ、出てくるたびに丁寧に説明してくれる。
お造りが来る直前、
丁度、僕はあるエピソードを披露していた。
自分で言うのもなんだが、
かなり「鉄板」なエピソードだ。
その途中でお造りが来た。
それだけならいい。
人数分のお造りを置いたにもかかわらず、
店員が傍らに残っている。
どうやら料理の説明をしたいらしい。
どう見ても話の途中なのだから、
それこそ空気を読んで料理の説明などせずに去ればいいのにと思うが、
立ち去る気配がない。
仕方なく、話を途中でやめ、
料理の説明をしてください、とうながした。
まず3種類のお造りの説明をした。
それは、まあ、納得できる。
だが、それだけではなかった。
「当店は千葉県の有機野菜のファームと契約しておりまして」
そう言って、お造りの上に散らされた、
3種類の野菜についてまで説明を始めた。
だが、それだけではなかった。
「当店では、お塩で食べるのをオススメしておりまして」
そう言うと、お造りと一緒に持ってきた6種類の塩について、
産地も含めて、丁寧に説明を始めた。
だが、それだけではなかった。
「こちらの醤油ですが」
最後に醤油の説明までしやがった。
もはやこれはサービスではない。
そこにいたのはただの「説明したいだけの人」だ。