本来ならば1時間もあれば読める横光利一の『機械』という短編小説を、
11年と2ケ月かけて読んだ記録であるこの本は、
どれぐらい時間をかけて読むのが適切なのか、
そう考えながら読み始めた。
結果的には、
おもに移動中の電車の中で読み、
10日ほどで読み終えた。
だからなんだという話だが。
この本は「読み」に関するエッセイということだが、
その読後感はまるで小説のようだ。
あとがきに「魅力的な『誤読』」と書かれているが、
そんな「誤読」のための想像力が、
小説を書くときのそれによく似ているのかもしれない。