山里ひぐらしの小径

木曽路の入り口、岐阜県中津川市から
人と自然とのかかわりをテーマに、山里、植物、離島など。

苧麻 カラムシ チョマ ラミー

2014-08-01 | 植物利用

苧麻 と漢字で書いてあるとき、何て読もう……と一瞬迷う。
私としては、カラムシと読むことが多い。

IME辞書で変換すると、からむしでは変換できず、ちょま でこの字に変換できる。
ということはみんなチョマと読んでいるのかな。

カラムシもチョマも同じもので、苧麻という字をあてる。
植物の名前であり、繊維の名前でもある。麻と呼ばれる繊維の一つ。
苧も麻も、アサという意味である。苧(お)は苧殻(おがら)の苧。
おがらっていうのは、お盆のときに迎え火、送り火するときにつかうものだ。

植物としては、カラムシが標準和名になっている。道端に生えているカラムシをチョマと呼ぶのは聞いたことがない。
カラムシの写真が今すぐに取り出せないので、関係ない写真を今日は載せているけど。

カラムシは日本の冷涼なところにもあるにはあるけど、紀伊半島や四国など暖地の山間地でよく見かける。石積みの間とか、道端に、大量に生えている。葉が大きくて丸くて、葉の裏が真っ白なのですぐわかる。イラクサ科の植物である。

イラクサといえば、アンデルセン童話だったかに「白鳥の王子」というのがあって、妹が手を棘で傷つけながらも一生懸命イラクサで編んだ布を白鳥にかけると、白鳥が元の姿の王子(兄)に戻るというお話を子どもの頃読んだ。
この話、誰でも知っているかと思ったらそうでもない。特に若い人は知らないみたい。
カラムシを説明するときこの話をするけど、ポカンとされることが多い。

で、イラクサの類から糸が取れて布が織れるという話である。

麻というのは、綿でも絹でもない、ある種の繊維の総称で(ある種のとしか言いようがないのだけど)、日本語で麻と呼んでいるものは世界中にある。麻ひもはヤシから作るジュート麻。ほかにもいろいろ。布として使われるのは日本では苧麻(ラミー)、西洋ではリネンだ。昔は日本に大麻(アサ)(ヘンプ)があったけど今は栽培禁止で布は輸入だがそれも少ない。既製服の表示で麻とある場合は、苧麻(ラミー)かリネンである。大麻(ヘンプ)の場合は指定外繊維と書かれる。


本来書きたいことからとてつもなく脱線。というか前置き長い……。
要するに、苧麻=カラムシ=チョマ=ラミー である。

そういうわけで、カラムシという植物は今も日本の麻着物の材料になっていて、小千谷縮(おじやちじみ)、越後上布は特に有名で、韓国のチマチョゴリもカラムシでできています、
といつも説明していた。

そうしたら
先日地下街を歩いていてついつい吸い寄せられるように着物屋さんに(呉服屋さんというのが正しいが)入ってしまい、
きれいな夏着物や帯を鑑賞して目の保養をしつつ、店長さんらしき男の人と話していたら

ラミーとチョマは違います。ラミーはカラムシですから。はい、カラムシはチョマじゃありません。
宮古上布はチョマなので最高級品ですが、小千谷縮はラミーですから少し落ちます、宮古上布ほど値段も高くなく、普段使いのものです。
と言われ、頭の中がフルーツバスケットみたいにぐるぐる回ってしまった。
最近多分年のせいで、複雑な話が整理できない。
私は間違ったことを人に教えていたのか?

カラムシっていうのは昔の呼び方ですからね。というオマケつき。
いやいや、今も植物界ではカラムシですよ。

結論を言えば、結局はやっぱり全部一緒だと後で確認したので、
複雑ではなく単純なのだけど。

なぜ着物の専門家がこのようなことを言ったのか
帰ってからネットでさんざん調べたけど分からなかった。
数日後偶然、着物のブログを見ていたら、教えてくれた記事があった。

ラミーとは、機械で紡績した麻糸 

ということ。機械で織った、のではない。糸紡ぎを機械でやったということだ。
宮古上布は手績み糸を使用したもの。

一般的には、カラムシで作った布はラミーと呼んでいいと思うが、
着物業界では糸のでき方によって、ラミーとチョマという呼び名で区別しているようだ。

ちなみに私は宮古上布は芭蕉でできていると勘違いしてたので、一つ学びました。

    教えてくれたブログ kimono熱のちょっと覚え書き


写真/種子島・北種子の神社 鳥居代わりの石柱に目が釘付けに

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