熊澤良尊の将棋駒三昧

生涯2冊目の本「駒と歩む」。ペンクラブ大賞受賞。送料込み5000円。
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ある会話

2012-08-18 06:06:39 | 文章
8月18日(土)、晴れ。

昨日は格別の暑さでした。
富山でも京都でも同じ。
北海道を除いて、日本列島は皆、同じようなものかと思います。

富山からの帰りには、急遽、射水市にTさんの事務所に。
お会いするのは今回は初めてですが、手紙やら電話などで数年前からの知己の方です。
根っからの将棋好き。
将棋の話、駒の話。

初めての対話は、たちどころに核心へと話が弾みました。
「使う方が良くなると聞いてはいるんですがね。あの駒は使わずに(使えずに)今もあのまま・・」。
「人の指の油っ気が一番駒のために良いです。時々棋譜を並べたり、気の合う人と指したり。使って貰うとますます良くなります」。

「そうですね、時々使うようにします。それはそうと、古い駒の修理は出来ますか」。
「勿論、出来ます。頼まれて何組か修理したことはありますよ。今、その駒をお持ちなら拝見・・」。
「断られるかと思って、家から持って来なかった。残念、持ってくればよかった。実は、以前に東京の有名な人に相談したところ、2万円で出来ると言うんです」。
「はあ」。

「漆が飛んだのは2枚。その5~6倍は覚悟していたのですが結構安い。それならと駒を送ったところ期日を過ぎても中々出来てこない。結局、何カ月も過ぎて届いたのですが、ヘッッと思うような出来でビックリ。漆がヨタヨタでまるで素人が直したような」。
「そうですか。直したところは漆が滲んでいた。一旦滲ませた漆の跡は中々戻らない。駒は影水でしたか。頼んだ相手が悪かった」。
「そうなんです」。

「修理と言っても、いろいろですね。わたしの場合は元の古さと言うか、元々の雰囲気は残して修理する。そして、いつ直したかを名前とともに、一見分からないように記しておく。50年経っても良く見れば、直したことがこれで分かる」。
「ええ」。
「それに、漆が1枚2枚飛ぶということは、やがて、他の駒も同じようなことになる訳です。だから、飛んでいない残りの駒も、全部漆を剥がさないと。場合によっては、一旦漆を入れ直して固まらせてから再度、漆を剥がす。これで手垢とか油分が完全に取り去ることが出来る訳です。手あかが付いたのをそのまま漆を被せてもくっつかない。完全に直したことにはならない訳ですね」。
「新しく作るより手間がかかる・・」。
「そうですね」。


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