母親の葬儀を済ませた従弟が
ブルターニュに帰るので
最後の晩餐というわけでもないが
夕食を共にする。
U市の料理屋に部屋を用意してもらい
坂東太郎という銘柄のうなぎを食べる。
「かばやきなんてもう随分しばらくぶりだ」
ブルターニュのような地方に暮らしていてはそうなのだろう。
少々値段は高いが、とてもよろこんでくれたので
こちらもうれしい。
「オゥ・ルボアール」・・・・
この歳になると人との別れはつらいものがあり
なるべくあっさりと別れることにしている。
山の女が届けてくれた一枝の桃が
きょう咲き始め
うす暗い帳場に艶やかな灯がともる。
(3月10日)