町のスタンドにガソリンがない。
スーパーの棚から食料品が消える。
静かな町はまるで被災地のような騒ぎ。
「コメは大丈夫か?」
お隣さんが心配してやってくる。
とつぜん、何のことだろうといぶかしんでいると
巷では大騒ぎになっているという。
11日の大地震の被害を当町では
ほとんど受けていないにもかかわらずこの騒ぎ・・・
無責任な悪意の一声に連動しての買い占めか。
被災地では、おにぎり一個が食べられないというのに。
トイレットペーパーがなくなった
かつてのオイルショックのときと同じ。
「ためしにスーパーに行ってみな、もの凄い人だから」
お隣さんがダメ押しを言い残して帰っていく。
ココアが体にいい だれかが言うと
次の日は日本中のスーパーからココアが消える。
ヒステリーな国民なのだ。
このヒステリーが昂じて日本はとんでもないことをしでかした。
スタンドに駆け込むおとこたちよ
スーパーになだれ込むおんなたちよ
ほんの少しの辛抱、頭を冷やせ!
犠牲者のご冥福と
被災者の一刻も早い救済をお祈りします。
余震なほ闇に散り敷く梅の花