今日では電気のない暮らしなんて考えられない。
計画停電の3時間を、
為すすべもなく獣のようにうずくまっているだけ。
真っ暗闇の中では思考もままならず
人が思考するには僅かな明かりが必要であることを
はじめて認識させられた。
全き無音の世界と同じで
漆黒の闇の世界では人の脳は破壊される。
完全な暗黒の中では何もかもが機能停止となる。
人は火(明かり)を使うことで
暗黒を生き抜いてきた。
もし、明かりを手にすることができなかったら
人はこの地上に存在していられなかっただろう。
そのとき
ひとの代わりにこの地上を支配したのは何者だろうか?
蝋燭の小さな揺らめきの中で、ふと、想い巡らせている。
停電やことば艶めく春の闇