正直なところ
修復は不可能だろうと思っていたが
徐々に回復に向かっている福島第一原発。
関係者、自衛隊、消防、警察の人たちの勇気に
感謝したい。
「日本の救世主になってください」
隊員のご家族の言葉に強く胸を打たれた。
任務とはいえ命がけの仕事。
目に見えない恐怖との戦い。
もし、自分ならどうだろうと思うと頭が下がるばかり。
「テレビでみた 野菜たべるな こっちから送る」
遠く兵庫県からでんわがくる。
一日中、くりかえしくりかえし
同じニュースを流しつづけるテレビ。
はじめて聞かされる専門的な用語と数値をられつして
自分たちがどれほどの不安と恐怖を煽っているか
考えることがあるだろうか。
報道の義務と
こぞって自らを正当化しているが・・・・・・・
次はホーレンソウ、次は牛乳と
どの局も一斉にくりかえしくりかえし。
節度を越えてはいないだろうか。
棄てられてなほ青々と春野菜
食料に困っているだろうと
山陰から大量の魚が送られてきた。
遠く離れているので心配なのだろうが
当町の被害はほんの僅かで
どの家でも食料に不足することなくいつも通りの暮らしぶり。
(ガソリンが買えないのが少々不便・・・・それももう少しの我慢)
ふたりではとても食べ切れないので
さっそく向こう三軒におすそ分けとなる。
隣りの町はあちこち被害をこうむり
共同墓地などは、ほぼ壊滅状態。
近隣の石屋はこれからが大忙しという。
日が経つにつれ
東北地方被災地の様子が明らかになり胸がつまる。
ひと月ほど前に立ち寄ってくれた
いわき市の斎藤夫妻に連絡がつかず心配している。
地震発生の6日前、
「天災と家出猫は忘れたころやってくる」 と
ブログに書いたことが今では、なんとも妙な心もちである。
さきほども大阪のとある画廊主(史郎のファン)と
広島の友人から心配の電話をいただいた。
ほんとうにありがたいことですが、
当町は不思議なほど被害を受けなかったのです。
関西方面のひとたちは栃木を東北の一部と
思い込んでいるのかも。
復興のつち音はやも春の雪
今日では電気のない暮らしなんて考えられない。
計画停電の3時間を、
為すすべもなく獣のようにうずくまっているだけ。
真っ暗闇の中では思考もままならず
人が思考するには僅かな明かりが必要であることを
はじめて認識させられた。
全き無音の世界と同じで
漆黒の闇の世界では人の脳は破壊される。
完全な暗黒の中では何もかもが機能停止となる。
人は火(明かり)を使うことで
暗黒を生き抜いてきた。
もし、明かりを手にすることができなかったら
人はこの地上に存在していられなかっただろう。
そのとき
ひとの代わりにこの地上を支配したのは何者だろうか?
蝋燭の小さな揺らめきの中で、ふと、想い巡らせている。
停電やことば艶めく春の闇
大地震以来
水・薬・消毒液・マスク・タオル・トイレットペーパー・懐中電灯
のど飴・塩コンブをリュックに詰めて手の届くところに用意しておく。
近くにはジャンパーと長靴も。
動きが鈍いので、いざというときの備え。
三日間は救助の手が届かないと考えて・・・・
原発事故に異常反応した粗忽者から電話がある。
今、車で南の方へ逃げているという。
(150kmも離れた所に住んでいるのに)
バカ! 戻って来い と叱ってやる。
東京電力による計画停電が実施される。
本日の当5グループは午後6時20分より10時までの3時間。
企業 公共施設 病院などではかなり不自由なことになるが
家庭では予め準備しておけばさほどの不都合はない。
それなりに工夫すればやがて慣れてくるものだ。
食料の6割を輸入に頼り
その半分を生ごみとして捨てている現況。
物が1割2割少なくなってもいいじゃない。
藪の中に捨てられているテレビや冷蔵庫を見て
ブラジルからの留学生が驚いていた。
「自分の国なら喜んで誰かが持って行ってしまう」
ジャパン・アズ・ナンバーワン・・・・
そういう時代もありまして、今は昔でいいじゃないですか。
この未曾有の大惨事の体験から
大消費の生活習慣や幸福の価値観に変化がおこり
節約、節水、節電に目覚めることになれば
未来にはあたらしいスタイルの豊かさが待っていると思う。
・・・・・・・限りない欲望は限りない危機を招くということを
この原発事故から教訓を得ることも・・・・・・・・・
原発の放射能漏れ
ガソリンと灯油の不足
さらに余震がつづき不安の輪を増大させている。
「なにか必要なものない?」
「大丈夫? ケガしてない?」
遠くにいる甥や姪たちから電話がくる。
・・・・・・ありがたい。
肉親の安否をたずねる悲痛な姿が
リアルタイムで画面に。
ついさっきまでの団らんの家族が
一瞬にして津波にのみ込まれ
気がついたときはたった独り冷たいガレキの下。
あまりにも甚大な崩壊に救助の手が届かない。
10メートルを超える想定外の津波だったと
専門家たちは口をそろえて言うが
記録破りの猛暑、記録破りの豪雨、記録破りの台風・・・・・と
もはや想定外という結果論は通用しなくなる。
幾万の不明のいのち雪つもる