行く川の流れ

花・鳥・旅行写真日記

薬師草と吉祥草

2010-11-22 19:18:43 | 花,植物
秋も深まり,野に花はススキとセイタカアワダチソウばかり,と思っていたら,
丘陵の急斜面の一隅,黄色の小さな花の群生を見つけました(11/7)。
登るには傾斜がきつく,下から望遠レンズで覗いてみると,
春に咲くオニタビラコやニガナによく似た小さな花がたくさん咲いています。
秋も遅い11月にオニタビラコの群生,そんなわけがありません。


薬師草(ヤクシソウ),野の草にしては
なにやら高貴な名がつけられている草のようです。
キク科オニタビラコ属の二年草植物,
日本全国の日当たりのよい山野に生え,
秋も深まった10月から11月にたくさんの花を咲かせます。
その花は日中にしか開かず,
また,雨の日や曇天の日も開かないようです。
この日はとてもよい天気,たくさん咲いた花に
セセリチョウが来ていました。
晩秋の時期,虫たちには貴重な花の一つなのでしょう。
また,花からすれば,寒く,雨の日など,虫の活動しない日は
受粉がされないので,花を開くのをやめるのではと思われます。
長い間花を咲かせるための省エネ策と思われます。


ヤクシソウの名,草に薬効があるからといわれていますが,
薬効がある草は他にいくらでもあり,
ヤクシソウに特別強い薬効があるわけでもなく,
この理由では,薬師草の名はつけられないのではと思われます。
その名は,薬師寺の仏足石の吉祥文様に由来するという説もあるようです。


自然公園の日陰,野草コーナーに咲いていました。
姿形からラン科の草と思いましたら,
ラン科ではなく,ユリ科の多年草,吉祥草(キチジョウソウ)と知りました。
薬師草とは色も形もまったく違いますが,
いずれも寺の名が付いており,仏教つながりがあるということで,
無理やりの感もありますが,薬師草に加えて載せます。

関東から九州の山林に自生,あるいは栽培もされ,
11月ごろ根元の葉の間から紫色の花茎を伸ばし,白い花を咲かせます。
吉祥とはよい兆し,めでたいしるしの意味があるようで,
この花が咲くとなにかよいことがあるとされています。
なお東京の中央線の駅名にもある吉祥寺の地名は,
吉祥寺というお寺がもとになっています。

悪しことのなきは良しなり吉祥草
コメント
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