松静自然 -太極拳導引が教えてくれるもの-

松静自然とは落ち着いた精神情緒とリラックスした身体の状態をいい、太極拳導引の基本要求でもあります。これがまた奥深く…

柳に風…力の質に合わせた用い方があるのかも

2006-08-18 | 行雲流水-日日是太極拳導引-
専科ではからだの中心から動く意識をもって
動作するように指導されている。
「松軽円活」にいたるひとつの過程だと思う。

軽さ、柔らかさ、しなやかさのイメージとして
たとえたのが柳の枝。
いちばん連想しやすいのは手の動きかと思うが、
おそらく動き全体のイメージだろうと思っている。
柳の枝を拾ってきてはいじったりしていた。
実物の枝の感触は
頭に浮かべていたイメージとは少し違った。
拾ってきた枝の質にもよるかもしれないけれど、
枝もとは思ったよりも硬くて強く、
枝先はもっと柔らかかった。

柳の枝が風に揺れる様子を見ていると、
風になびく感じは吹き流しにも通じるものがあり、
先端のハネ方に目が行く。
それは波のうねりが最後に大きく割れて
砕けるのにも似て
エネルギーの拡張、発散のようなものを感じる。
しかしまた同時に柳の枝には
元のあるべき姿に戻ろうとする
復元力のようなものもあるように見える。
幹や根に支えられているからこそ
枝は変幻自在の風を受け流すことができる。
そこには重力の影響もあるけれど、
復元力のようなものの存在を否定するのは
難しいのではないかと思う。
なぜならば折れてしまった枝の場合、
風に揺れたり元の位置に戻ったりもするにはするけれど、
その動きに弾力性やしなやかさを感じることはないように思う。

からだの中心から動くというのは
たぶん自然な生命体活動の表現でもあるのだろう。
現段階の練習は「不用力」の一環として柳の枝に例えて、
四肢を動かすのは
からだの中心がまず動き出してから
四肢への動きが生まれてくる感覚を課題としているのだろう。
どうやら力には質の違いがあり、
それに合わせた用い方があるのかもしれない。