石油業界に関する大変素晴らしい、原稿を見つけました。
時間があったら、勉強してみましょう。
[世界中で石油が売れない時代にどう生き残りを図るか]
世界同時不況による需要低迷の打撃を強く受けている石油業界。収益基盤の柱であるガソリン販売が上向かないなか、燃料電池をはじめ再生可能エネルギーの取り組みなどによる新たな収益基盤の構築が不可欠であるといえるだろう。ところが、突如として降りかかった世界同時不況は、このような新事業にむけた投資意欲を萎えさせるリスクも孕む。
中長期的な経営基盤の柱を育てるためにも、足元の大胆なコスト改革でしっかりした事業環境を整備する必要がある。過剰設備対策や給油所の統廃合などの取り組みが待ったなしを迎えている。その究極は業界再編。このほど明らかになった新日本石油と新日鉱業ホールディングスの経営統合を呼び水に、石油業界は一層の合従連衡を行わざるをえない状況だ。
国内市場では、2005年以降、ガソリン販売の前年割れが続いており、そのマイナス傾向の流れは、2009年には丸4年がたつ。足元をみると、石油各社の卸価格は、昭和シェル石油が12月改定値を前月比11.6円下げ、新日本石油が11月の月次原油コスト改定幅を17.6円下げ、エクソンモービルが12月13日に出した週決め卸値を5.5円下げ、出光興産は12月第3週卸値がガソリンで5.3円下げなど軒並み値下げしている。ガソリン小売価格はこれにともない、12月15日時点の全国平均が114.7円、前週比4.4円安。最高値から38%も値下がりしている(石油情報センター調べ)。
こうした値下がりにもかかわらず、ガソリン販売は12月7日~13日で108.4万kl、前週比5.0%下落、前年比3.6%下落(同)し、値下げしても売れない傾向が明確になっている。原油高によるガソリン価格の高騰で始まった消費低迷は、7月以降の原油の反落とそれに続く米金融危機による不景気の到来で、こうした傾向を固定化してしまったかのようだ。
自動車産業の急激な落ち込みもガソリン販売に大きく影響している。米ブッシュ政権がついに経営再建のためGMとクライスラーに1.5兆円の融資の実施を発表、トヨタも09年3月期決算で赤字予想を明らかにした。日本自動車工業会のまとめでは、09年の新車販売台数は31年ぶりに500万台を下回りピーク時の700万台から4割も減少するなど、ガソリン販売の支えになっていた自動車産業ががたがたになっているのだ。
もはや、ガソリン販売では収益が支えられないところまできた石油業界。中長期的には化石燃料に代わる燃料電池や太陽電池など、再生可能エネルギーの開発・販売に活路を見出すしかないが、それを加速させるには、現在は経営環境が厳しすぎるとの指摘がある。
そもそも再生可能エネルギーの開発は、原油価格の高騰と比例してポテンシャルが高まる性質がある。原油が高ければガソリン需要が伸び悩み、それに代わるエネルギー開発の促進への投資が進むからだ。
ところが、最近では原油価格は景気減速による需要低迷を背景に下がりっぱなし。米銘柄の原油先物WTIはついに一時40ドル台に割り込んだ。こうなってくると再生可能エネルギーどころではなくなってくる。足元の経営がおぼつかないなか、新たな投資をする余裕は消えうせてしまう。
現在、石油業界に必要なのは強いカンフル剤を打って体力を回復することだ。精製規模を上げれば販売シェアに繋がる時代が長く続いたが、今のような需要減退局面では、設備の過剰感が顕在化する。国内製油所の原油処理能力は日量約480万バレルだが、国内需要の低迷で約2割が過剰になっているとの指摘がある。
需要がここまで低迷していない時期であれば、新日本石油のように中国に委託精製するなど設備の有効活用も考えられた。エネルギー安全保障の立場から、石油製品を国内に安定供給するインフラとしてむやみな設備廃棄を慎む声も根強い。しかし、設備廃棄は足元の経営基盤を強化するにはやむをえない選択だろう。全国に5万ヶ所ある給油所の統廃合も待ったなしだ。
新日本石油と新日鉱ホールディングスが09年秋に行う経営統合は、こうした動きを先取りしたものだ。両社は経営統合の目的に精製設備と給油所の統廃合による経営基盤の強化をはっきりとうたっている。高萩新日鉱ホールディングス社長は会見で「国内需要が構造的に減少傾向にあり、抜本的な事業改革が必要」と述べている。
経営統合会社が持つ製油所は10カ所となるが、「統合から2年以内に日量40万バレルの処理能力削減を図る」(西尾新日本石油社長)とし、効率の高い製油所の稼働率を上げるとともに、老朽化した製油所は廃棄する考えだ。両社合わせ1万3000ある給油所の統廃合も明言している。
今回の両社の経営統合が呼び水になり、石油業界の合従連衡が進むことも予想される。その結果、石油業界全体の経営基盤の強化が期待される。しかし、着地点はそこで終わりではない。世界同時不況がいつか終わっても、もう消費者は、石油に消費者は戻ってこない可能性も高いのだ。石油業界はその時代の潮目を見極め、いまは体力をつけるときなのである。
(執筆:斉藤 知身 石油ジャーナリスト、提供:オーバルネクスト)
まったく同感!。
久しぶりに、的確なご指摘です。
次の段階は、いかにSSフィールドを飛び出して、
「次のビジネス」に繋げていくかが課題です。
時間があったら、勉強してみましょう。
[世界中で石油が売れない時代にどう生き残りを図るか]
世界同時不況による需要低迷の打撃を強く受けている石油業界。収益基盤の柱であるガソリン販売が上向かないなか、燃料電池をはじめ再生可能エネルギーの取り組みなどによる新たな収益基盤の構築が不可欠であるといえるだろう。ところが、突如として降りかかった世界同時不況は、このような新事業にむけた投資意欲を萎えさせるリスクも孕む。
中長期的な経営基盤の柱を育てるためにも、足元の大胆なコスト改革でしっかりした事業環境を整備する必要がある。過剰設備対策や給油所の統廃合などの取り組みが待ったなしを迎えている。その究極は業界再編。このほど明らかになった新日本石油と新日鉱業ホールディングスの経営統合を呼び水に、石油業界は一層の合従連衡を行わざるをえない状況だ。
国内市場では、2005年以降、ガソリン販売の前年割れが続いており、そのマイナス傾向の流れは、2009年には丸4年がたつ。足元をみると、石油各社の卸価格は、昭和シェル石油が12月改定値を前月比11.6円下げ、新日本石油が11月の月次原油コスト改定幅を17.6円下げ、エクソンモービルが12月13日に出した週決め卸値を5.5円下げ、出光興産は12月第3週卸値がガソリンで5.3円下げなど軒並み値下げしている。ガソリン小売価格はこれにともない、12月15日時点の全国平均が114.7円、前週比4.4円安。最高値から38%も値下がりしている(石油情報センター調べ)。
こうした値下がりにもかかわらず、ガソリン販売は12月7日~13日で108.4万kl、前週比5.0%下落、前年比3.6%下落(同)し、値下げしても売れない傾向が明確になっている。原油高によるガソリン価格の高騰で始まった消費低迷は、7月以降の原油の反落とそれに続く米金融危機による不景気の到来で、こうした傾向を固定化してしまったかのようだ。
自動車産業の急激な落ち込みもガソリン販売に大きく影響している。米ブッシュ政権がついに経営再建のためGMとクライスラーに1.5兆円の融資の実施を発表、トヨタも09年3月期決算で赤字予想を明らかにした。日本自動車工業会のまとめでは、09年の新車販売台数は31年ぶりに500万台を下回りピーク時の700万台から4割も減少するなど、ガソリン販売の支えになっていた自動車産業ががたがたになっているのだ。
もはや、ガソリン販売では収益が支えられないところまできた石油業界。中長期的には化石燃料に代わる燃料電池や太陽電池など、再生可能エネルギーの開発・販売に活路を見出すしかないが、それを加速させるには、現在は経営環境が厳しすぎるとの指摘がある。
そもそも再生可能エネルギーの開発は、原油価格の高騰と比例してポテンシャルが高まる性質がある。原油が高ければガソリン需要が伸び悩み、それに代わるエネルギー開発の促進への投資が進むからだ。
ところが、最近では原油価格は景気減速による需要低迷を背景に下がりっぱなし。米銘柄の原油先物WTIはついに一時40ドル台に割り込んだ。こうなってくると再生可能エネルギーどころではなくなってくる。足元の経営がおぼつかないなか、新たな投資をする余裕は消えうせてしまう。
現在、石油業界に必要なのは強いカンフル剤を打って体力を回復することだ。精製規模を上げれば販売シェアに繋がる時代が長く続いたが、今のような需要減退局面では、設備の過剰感が顕在化する。国内製油所の原油処理能力は日量約480万バレルだが、国内需要の低迷で約2割が過剰になっているとの指摘がある。
需要がここまで低迷していない時期であれば、新日本石油のように中国に委託精製するなど設備の有効活用も考えられた。エネルギー安全保障の立場から、石油製品を国内に安定供給するインフラとしてむやみな設備廃棄を慎む声も根強い。しかし、設備廃棄は足元の経営基盤を強化するにはやむをえない選択だろう。全国に5万ヶ所ある給油所の統廃合も待ったなしだ。
新日本石油と新日鉱ホールディングスが09年秋に行う経営統合は、こうした動きを先取りしたものだ。両社は経営統合の目的に精製設備と給油所の統廃合による経営基盤の強化をはっきりとうたっている。高萩新日鉱ホールディングス社長は会見で「国内需要が構造的に減少傾向にあり、抜本的な事業改革が必要」と述べている。
経営統合会社が持つ製油所は10カ所となるが、「統合から2年以内に日量40万バレルの処理能力削減を図る」(西尾新日本石油社長)とし、効率の高い製油所の稼働率を上げるとともに、老朽化した製油所は廃棄する考えだ。両社合わせ1万3000ある給油所の統廃合も明言している。
今回の両社の経営統合が呼び水になり、石油業界の合従連衡が進むことも予想される。その結果、石油業界全体の経営基盤の強化が期待される。しかし、着地点はそこで終わりではない。世界同時不況がいつか終わっても、もう消費者は、石油に消費者は戻ってこない可能性も高いのだ。石油業界はその時代の潮目を見極め、いまは体力をつけるときなのである。
(執筆:斉藤 知身 石油ジャーナリスト、提供:オーバルネクスト)
まったく同感!。
久しぶりに、的確なご指摘です。
次の段階は、いかにSSフィールドを飛び出して、
「次のビジネス」に繋げていくかが課題です。