夢逢人かりそめ草紙          

定年退職後、身過ぎ世過ぎの年金生活。
過ぎし年の心の宝物、或いは日常生活のあふれる思いを
真摯に、ときには楽しく投稿

相田みつを氏の『にんげんだもの』などの作品、英文で表現、高齢者の私は学び、微笑み・・。

2019-11-08 13:54:37 | ささやかな古稀からの思い

先程、愛読している公式サイトの 現代ビジネス 】を見ている中、
『 相田みつを『にんげんだもの』 英語でなんて言うか、わかりますか?
        ~ 海外のファンは、こんな訳で読んでいる~  』、
と題された見出しを見たりした。

私は東京の調布市に住んでいる年金生活の75歳の身であるが、
私たち夫婦は子供に恵まれなかったので、たった2人だけ家庭であり、
雑木の多い小庭の中で、古びた一軒家に住んで、ささやかな生活を過ごしている。


こうした中、年金生活を始めた2004年(平成16年)の秋より殆ど毎朝、
曹洞宗を学ばれた書家・詩人の相田みつを氏の『日めくり ひとりしずか』向って、
氏の綴られた本日の格言を、心の中で、呟(つぶや)いたりしている。

            
        ☆居間の片隅みにあるCDケースの上に安置して、たわむれに過ぎし2日に記念写真を撮った一葉☆

私はこの相田みつを氏の遺(のこ)された名言を、人生の生きた哲学のように学び、
何かと気弱な癖に、ときには傲慢と独断、そして偏見の多い私を戒(いまし)めている。

世の中で著名な『相田みつを』氏を遅ればせながら学んだのは、
過ぎし1999年(平成11年)の5月中旬、私たち夫婦は家内の両親を誘い、
伊香保温泉に2泊3日で滞在した時、 ある民芸土産店で私はひとつの品に目がとまった・・。

『ひとりしずか』、と大きく題され、みつを、と署名されていた。

そして私は手に取り、ページを捲(めく)ると、 著名なこの御方の名は知っていたのであるが、
遅ればせながら初めて接した書物の言葉、そして書体であった・・。

               

この言葉を読み終わった後、瞬時に圧倒的に魅了された・・。

私は幾つになっても拙(つたな)い我が身を振り返り、
私の父は、無念ながら私が小学2年の時に病死された体験もあり、
私はこの『トイレ用日めくり』を買い求めた後、その日に応じたページに、
さりげなく深い人生の教訓の言葉を特有な書体で書かれ、
この日以来、私はこの御方を秘かに慈父のように、人生の師と掲げたりした。

そして相田みつを氏の遺(のこ)された数多くの本を購読してきた・・。

こうした心情を秘めている私は、《・・相田みつを『にんげんだもの』・・ 英語でなんて言うか・・》、
少しボケてきた私は、頭の体操だねぇ・・と思いながら記事を精読してしまった。

この記事の原文は、『週刊現代』2019年10月5日号に掲載された記事のひとつであり、
関連の公式サイトの【 現代ビジネス 】に11月6日に配信され、無断であるが記事を転載させて頂く。
             
《・・相田みつを『にんげんだもの』 英語でなんて言うか、わかりますか?
               ~ 海外のファンは、こんな訳で読んでいる~     


☆世界に通じる詩

「it's ok to stumble, isn't it we are human after all」
この英文は、相田みつをの代表作「つまづいたっていいじゃないか にんげんだもの」
を訳したものである。

細かい解説は、後に譲るが、シンプルかつ広がりを感じさせる訳文と言える。

「うつくしいものを美しいと思えるあなたのこころがうつくしい
(your heart is so beautiful believing that something beautiful is beautiful)」

「しあわせはいつも自分のこころがきめる
(happiness is always decided by one's own heart)」など、
1~2文の簡単な言葉で、生きるヒントを与えてくれるみつをの作品。

これらの英訳は、有楽町・東京国際フォーラムにある相田みつを美術館に掲載されている。

同館の館長で相田みつをの息子・一人氏はこう語る。

「父の作品は、ひらがなと簡単な漢字で描かれていることもあり、
留学生をはじめ多くの外国人の方が、当館にはいらっしゃいます。

より多くの方に作品を理解してもらうために、
数人の方に翻訳をお願いし、展示しているすべての作品に英訳を付けています」

2017年にノーベル経済学賞を受賞したシカゴ大学のリチャード・セイラー教授も、
みつをの言葉に感銘を受けた人物のひとりだ。

同教授は本誌取材にこう語った。

「2010年、東京に滞在していた時に、相田みつをの美術館をたまたま訪れました。
当時、彼のカリグラフィー(書道)は、私には理解できませんでしたが、
作品の英訳を読み、個人としても経済学者としても、共感を覚える作家だとわかったのです」

          


セイラー教授は、身近な経済行動について、
心理学などの精神的分析を交えて解明する「行動経済学」の第一人者だ。
彼の研究室にも複製原画を飾っているという。

「従来の経済学は人間を、多かれ少なかれパーフェクトな存在に規定していました。
でも、完璧な人間など実際には存在せず、判断を間違ったり、合理的でない行動を自ら取ることもしばしばあります。
相田みつをの詩は、人間が人間であることをリアルに表現していると思います」(セイラー教授)

同教授には「にんげんだもの」のオリジナル訳にも挑戦していただいたが、
ひとまず冒頭に述べた美術館の英訳に戻ろう。

「つまづいたっていいじゃないか にんげんだもの
(it's ok to stumble, isn't it we are human after all)」。

辞書的には、「stumble」は「(障害物などに)つまづく」、「after all」は「結局」という意味だ。
もう一度日本語にすれば、「つまづいても問題ないでしょう、結局私たちは人間なんだから」といったところか。

                 

☆「あなた」か「私たち」か

相田みつを友の会会員で、元石巻専修大学教授の大津幸一氏は語る。

「この英訳が素晴らしいのは、主語を『we』で表現しているところではないでしょうか。
みつをさんの詩には、『つまるところ、あなたも私も、同じ人間なんです』
という意味が込められていると思います。

だから、『because I am human』ではなく
『we are humans after all』とすることで、この真意を汲んだ訳になっている気がします」

大津氏が述べるとおり、英訳するうえでは、
主語を「私(I)」、「あなた(you)」、「私たち(we)」など、
どのように設定するかで、ニュアンスがまったく異なるのが面白い。

実は、美術館には、別の米国人訳者が英訳したバージョンの「にんげんだもの」もあった。
前出の一人館長はこう言う。

「その方は、『you say you stumbled but that's alright you're human
(君はつまづいたと言う、でもいいじゃないか、君は人間なんだ)』
と訳されていました。

主語を『you』にすると、ポップソングのようなメッセージ性が出ますが、これもひとつの工夫だと感じています」

ビートルズやローリング・ストーンズといったロックバンドの歌詞も、
主語に「you」を多用することで、聴き手に訴えかけるような曲調を強めている。

この訳者も、そのほうが英語を母国語とする人々の胸にも響くと考えたのだろう。

もちろん、英訳の「正解」は、ひとつではない。
ただ、さまざまな「にんげんだもの」の訳を検討したとき、
それぞれの訳者が、みつをの言葉をどう捉えているかがわかる。

前出・大津氏は言う。
「あえて別訳を考えるとすると、私は『stumble』に注目しました。
この単語は、何かに足を引っかけるといった、物理的につまづく印象があります。

意味は通りますが、元の作品は心のつまづき、誤りや失敗を表現しています。
『つまづいたっていいじゃないか』の部分を
『humans can stumble, make mistakes』と、
『人はつまづく、間違いを犯すこともある』とするのもいいでしょう」

前出のセイラー教授は、最初に「of course(もちろん)」を付けることで、
人はミスをしてしまうものだという主旨を明確にできるのではと提案する。

「私が考えた別の訳は、『of course we stumble, that is what it means to be human』です。
もちろん私たちはつまづきます。

それが人間であることの意味そのものだ、ということです。
相田みつをの作品は、人間の機微と一体になっている、と言っても過言ではありませんが、
『にんげんだもの』はその代表的な例です」

          

☆「おかげさん」をどう訳す?

国籍や言語を問わず、みつをの作品が多くの人の共感を得ているのは、
欲深さや不条理さなどをひっくるめた人間という存在そのものを、詩から感受できるからだ。

「みつをの詩は、個人的な体験に加えて、仏教、特に禅の考え方が強く反映されています。
そのため、あえてすべてを描かずに、『余白』を美しいと考えます。

父の作品は、もともと長い詩を凝縮して書にしており、
主語や具体的な状況は読む人の解釈に委ねられています。

そのためか、作品を見て『まるで鏡を見ているようだった』とか、
『私のことをよく知っている友人に会った気分だ』とか、
よく似た感想を国内外の人から受け取ることがあります」(前出・一人氏)

Photo by iStock

「にんげんだもの」の他にも、多くの人に共感されるみつを作品は、枚挙に暇がない。

アナウンサーの生島ヒロシ氏は、
独立当初や義母の介護など、人生の苦しい場面でみつをの作品に助けられてきた。

「みつをさんの詩の魅力は、単に優しい言葉というわけではなく、
批判や揶揄もあり、清濁併せ呑むようなところだと思います。

そのひとつが、『アレもコレもほしがるなよ』という詩。
英訳では、『don't be so greedy wanting this... and that... and that...
(そんなに貪欲に欲しがるな……これや……あれや……あれや……)』となっています。

『greedy』は少し直接的な表現ですが、いろんな『深読み』ができる詩だと思います。

また、『しあわせはいつもじぶんのこころがきめる』という詩は、
短い文章で結論をズバッと言い当ててくれるところが素晴らしいと思います。

英訳では、『happiness is always decided by one's own heart』。
単純な文章ですが、物質的な豊かさを追求しがちな現代社会を皮肉っているようなところがあります」

           

相田みつをの作品では、「あたまじゃわかっているんだが」の「だが」や、
「あのね 自分にとって一番大切なものは自分のいのちなんだよ(後略)」の「あのね」など、
英訳が簡単そうで、実際には本来のニュアンスを表現するのが難しいものもある。

ちなみに前者は「I've got it in my head but」で「だが」は「but」、
後者は「you know, the most important to you is your own life」で「あのね」は「you know」と訳されている。


外国法事務弁護士の萩原康弘氏は、美術館の作品英訳に携わる人物のひとりだ。
その萩原氏でも、みつをの作品の独特な口語体を完璧に訳しきるのは難しいと言う。

「そのひとつが、みつをの作中に出てくる『おかげさん』という言葉です。
自分にとって良いことが起こるのは、他人のおかげという感覚は、日本独特のものです。

米国の社会はむしろ逆で、相手を責める、自分から謝らないことに長けている。
『おかげ』に対応する英語は、『thanks to』や『due to』になるでしょうが、
それでも相手を思いやる温かい語感が出てきません」

世界中で共感される考え方、日本人だからこそ分かる微妙なニュアンス。
相田みつをの素朴な詩から、英語を学ぶことで、その両方を深く知ることができるだろう。・・》

注)記事の原文に、あえて改行を多くした。   

                                

私は今回、相田みつを氏の『にんげんだもの』などの作品、
英文で表現されていたことを初めて学び、多々教示されたりした・・。

そして久々の英文に触れて、75歳の私でも知恵熱が出そうな感じであったりしたが、
少しボケてきた私には、緊張感もあり、オツムの清掃ができたかしら、と微笑んだりした。

もとより相田みつを氏の遺(の)された作品は、
《・・国籍や言語を問わず、みつをの作品が多くの人の共感を得ているのは、
欲深さや不条理さなどをひっくるめた人間という存在そのものを、詩から感受できるからだ。
・・》。
私も瞬時に共感を深めて、早や20年が過ぎている。

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