◎ 関係省庁のナワバリ意識が「歳入庁」の設置を阻む

税金の徴収は、国税庁、即ち財務省のナワバリだ。
公的年金の保険料徴収は日本年金機構、即ち厚労省のナワバリだ。
雇用保険も同様と考えていいだろう。

健康保険や生活保護に関しては、地方自治体の、その元締めとしては総務省のナワバリだと考えるべきだろう。
加えて、NHKの受信料はNHK自身が集めているが、その所管は総務省だ。

民間の感覚で業務を効率化するなら、
これらを一元的に徴収して、それぞれ必要な勘定に振り分けることを考えるのが
「普通」の考え方だろう。

複数のレジを設けることは、お金を徴収する側にとってもコスト高だし、
取られる側にとっても手間が増える愚挙だ。

それでは、これらの集金業務を「歳入庁」に集約するとするならどうなるのか。

それぞれの関係省庁は、自省に歳入庁を完全に取り込むことができないとするなら、
自省のナワバリにある権限とポストや雇用を手放したくないと思うだろう。

この点が、明らかな効率化につながるにもかかわらず、歳入庁が実現しない理由にちがいない。

政治主導、首相官邸主導で歳入庁の設置を進めることは、
理屈上は可能だが、各所の官僚組織が面従腹背的サボタージュで抵抗するにちがいない。

現状の政治家と官僚の力関係から考えて、筆者は、率直に言って、歳入庁が実現するとは予想していない。・・》

このようなことを学んできた私は、微苦笑する時もある。

*コメント欄、再解放致しました。