温故知新中国料理 「喜臨軒」(キリンケン) ディナーを予約し再訪。

肩入れしすぎ? いえ、私の中華アンテナが激しく反応するのです。
ぜひとも夜の料理をいただいてみるべきだと。問答無用で連れ(寝太郎さん)同行。
予約時にお願いしていたことは、カウンター席の希望。
当店の魅力は何といってもライブ感の伝わるオープンキッチン前に座ることにある。
(カウンター席は6席)
4名ぐらいの人数でアラカルトとなると、取り分け作業があるので、
テーブル席が良いと思いますが、2名の場合はカウンター席をおすすめしたいですね。
また、季節のお料理を組み合わせた2名様からのコース料理は
4,000円、6,000円、8,400円(扱う食材等により異なります)ということですが、
シェフと相談のうえ5,000円でお任せしました。

「Reservation」 の札は希望どおりカウンター席に置かれていた。
上着を預け着座する。隣とのスペースも丁度良い。
テーブル・セッティングは、ランチョンマット、カトラリーレスト、レンゲ、箸(縦置き)。
あ、ディナーにはリング留めされたナプキンが! これが、ディナー仕様ね。
先日昼に見かけた調味料も卓上には存在しない。
タオル地のおしぼり(トレー置き)とドリンクメニューをいただき目を通す。
(卓上に)お品書きはありませんが、シェフ直々にコース料理の説明を受ける。
予約時、お酒が好きだということを伝えていたので、お酒にも合う献立を
考えてくださったよう。感謝。
さて、料理の提供スタイルはヌーベルシノワ(ひと皿ずつ各人ごとのポーション)
サーブ時にもスタッフさんより再度説明がありますが、これを急ぎ控え
補足し記録していますから正確さには欠けるかもしれません。

前菜4種
仕切り皿に美しく盛り付けられています。
左上から時計回りに
1.花咲クラゲの冷菜と山クラゲの炒め煮
・・・クラゲの傘の大ぶりなところをざっくりとネギ塩ソースで。
味が均一に馴染み、コリコリとした食感も心地良し。
2.ピータン豆腐
・・・下層に豆腐。ピータンソースを挟み、上には烏骨鶏の皮蛋、白髪ネギ、
刻み青ネギ、仕上げに辣油をちらり。スプーンを差し込み、口に運ぶと
豆腐はクリーミーでなめらかな舌触り。
ソースと合わせていただくとほんのりとした苦味とコクが後を引く。
烏骨鶏の皮蛋美味し! むろんアンモニア臭とは無縁。
3.天使エビのマスタードソース
・・・さっぱりとした酸味を効かせたソースで。
4.清流鶏 コリアンダーのソース
・・・低温でスチームした清流鶏のもも肉を、当店特製のコリアンダー(香菜)
ソースとともに食します。旬の野菜、菜の花添え。
一通り箸をつけると、自分が気に入ったものは最後に残しておくたちですが
寝太郎さんの皿を見ると私と最後の一つが同じ。どうやら彼も最後派のよう。
前菜でのお気に入りは清流鶏 コリアンダーのソース。
ぴりっとした辛味がホースラディッシュ風でしっとりとした鶏肉にマッチ。
このソース好きだわ。
前菜は全体的にすっきりとした大人味。4種の味を堪能できました。

お酒は、プレミアムモルツ樽生@600×2 よりスタート。
ワインのお値段はリーズナブルなもので2,800円から。
紹興酒は別メニューということで、手に取ってみたところ、
どこかで見覚えのあるような? と思ったら
スタッフさんの話によると「黒猫夜」さんと同じラインナップとのこと。
黒猫ファンさんにも朗報になるのでは?

店主オススメ利き酒セット 3種@900
店主オススメのため、当方から選ぶことはできませんが
この日は、左から、石庫門、黄中皇10年、客家。どれも保存状態良好。
客家はアルコール度数も高いのですが、コクがあって甘口。
食後、デザートにあわせても良さそう。
ほか、ボトルワインで、スペインのセニョリオ デ オルガス(白)@2,800 をオーダー。
その際には、卓上にワインクーラーを用意。
また、グラスではハウスワイン(500円)の準備もあります。

点心
店、自慢の手切り豚肉と天然海老のシューマイ。待ってました!

(レンタロー) シュウマイだでーー!味ついてるでこのままで食うだ。
(みに) レンちゃん、お行儀悪いと退場よ(怒)

手切りした豚肉は食感が良く、ナチュラルな旨味がぎゅぎゅっと詰まっている。
昼に食したあの感覚が再び立ち上がってきた。旨い!
寝太郎さんも満面の笑顔。大満足。

香り鶏
グランドメニューの料理長スペシャリテに「當紅脆皮炸子香鶏」(香り鶏)が
ありましたので好きな料理として伝えておきました。
ただし、要予約の香り鶏(半羽3,800円)自体は、胸肉も手羽も含めて。
やっぱりその方が美味しいんですって。
今回、2人ではボリュームが多いということで断念。(3~5名様が適当)
予算もありますから、その範囲内でシェフにお任せしていたのですが、なんと!
丁度、香り鶏のモモ肉が入ったとのことで、調理してくれたのです。
しかも一つは北京ダック風に中華クレープで。
薬味でレモンと香り塩がセット。
まずは、プレーンに肉のみを食してみる。
――おぉっ!うんまい!
皮目はぱりっと、肉はしっとりとして肉汁に溢れています。
このままか香り塩の少しつけが合う。これはもっと食べたいよなあ。
人数を確保を検討しなくちゃ!

(ノブロー) もうひとつは、ネギとキュウリを挟み甜麺醤をつけ巻いてくれてるだ。
中華クレープの手作り感が嬉しいよね。ああ、食べきるのが惜しい(ノд・。)
後に聞いたところ、このような小さいポーションでの提供は初めての試みだったとか。
たいへんお世話をおかけしました 

ホタテの蒸し物
ぎゃぁぁぁーー
なんで私の好み知ってるの?!というほどツボった。
こうした海鮮料理は私が神と崇める「艇家」さんテイスト。

(ノブロー) 貝柱とひもに分けてあるだな。

しかも味つけを変えてくれているの。貝柱部分はニンニクソースに
春の味覚、フキノトウのソースを合わせた二段構造。

ひもと卵巣部分、上には白髪ネギ。味つけは豆豉(トウチ)ソース。
双方ともにまろやかで甘みのある中国醤油がベース。
貝柱は蒸しすぎたのか?
ところどころ、きゅっとしまった感はあれど一切臭みなし。お上手ですよ。
もちろんソースは完飲。ああ、ジャスミンライスが欲しい。

料理の中盤でワインを飲み干してしまいました。
同じものを!と思ったのですが残念ながら品切れ。その上のクラスは3,600円。
ならばとチョイスしたのが、紹興酒 孔乙己(コンイージー)@3,500
これは、中国国際烈酒品評会銀授賞。
中国の文学者魯迅の作品「孔乙己」(主人公の名)
のなかで、主人公が行きつけの飲み屋「咸亨酒家」で飲んだお酒を
イメージしているとのこと。小説のストーリーは痛ましいのですが、
ワイン用のグラスでいただくと、バランスの取れた味わいに安堵する。

ソフトシェルクラブの香港漁師風
香港、海鮮を使ったスパイシーな味つけの避風塘料理も大の好物。
やはりこれぐらいのクオリティは欲しいものですね。
ゴマ、ネギ、ナッツ、エシャレットなどが入念に処理され見事なまでにぱっらぱら。
個人の好みを言わせていただくとゴマやナッツが若干多い分、エシャレットの風味が
控え目になって、ふりかけのようなテイスト。
もう少し唐辛子を入れスパイシーさで攻めていただきたいなあ。
優しい味の香港漁師風。殻ごとさくっといただけます。

(ノブロー) このカリカリ感がたまらねえだ。塩気も効いて、シェフ上手だな。

和牛の黒胡椒炒め
野菜はA菜、パプリカ(赤)、キノコなど。
これもシェフのスペシャリテだと思いますが、蜂蜜を使われるそう。
まずは肉の扱いに長けていることに感心した。
歯を入れると柔らかでしっとり。赤身の美味さが際立ち
コースのクライマックスに相応しい肉料理。センスの良さが光ります。

(ノブロー) 鶏にも思うたけんど、火の通し方が素晴らしいで。
肉好きの寝太郎は大喜びだよ。

(ノブロー) ほうほう、これが管理人の言うてた調味料だな。
陳皮、朝天辣椒・・・♪ ワクワクするな。楽しいで~~

(ノブロー) スタッフさんが、厨房に吊るしてある干し肉と
記念撮影させてくれただ。唔該!

干し肉は、バラ科のリキュール(ハマナス)で臭みを消されているらしい。
脂の香りが良くって、おつまみ力大! 脂がサクサクする感じ、美味いわ。

(ノブロー) シュウマーイ♪ 〆の前に管理人たちが追加注文しただよ。
オラ知ってるよ。 肉は厨房のコックさんが、せっせと手切りしてくれてるんだ。
このナチュラル感はコックさんの下仕事あってのことだで。
写真は、メニューにはないのですがホタテ焼売。
甲殻類アレルギーのお子様に用意していたものらしいけれど、
なんとホタテも嫌いだったとか。私達にとっては棚から牡丹餅。ありがとうございます。

当店スタンダード。手切り豚肉と天然海老のシューマイ、再び。
この味と別れ難いのでね (ノд・。)

桜エビの炒飯
ランチと同じ大根、干しシイタケ、ハスの実などの入った蒸しスープ付き。
生姜の風味も効いている。
寝太郎さんが滋味深い蒸しスープがセットとして出てくることに驚いた。
この味自体、コースでスープとして立ち上がる力を持っているのです。
なんと慎ましやかなことだろう。感謝。

炒飯はこれぞパラパラ炒飯という出来栄え。
だって、シェフが大きな中華鍋を振るたびに米が躍っていたもの。
目の前のキッチンからは、
ゴオォォォォーーー!!ボヴォォォーーー!!ピュゥゥゥーー!
色んな音が交錯し耳に入ってきます。
久しぶりに「大班樓」さんのゴジラを思い出した。
当店カウンターの奥行というかキッチン(火)との距離感が実に良いのだ。
それだけではない。
蒸籠でお皿を温めたり、コックさんの下仕事、スタッフさんとの連携を見ているだけでも、
この場に身を置いているリアリティに弥が上にも惹きこまれていく。
とんでもなく楽しいのだ

杏仁豆腐とソラマメのケーキ
杏仁豆腐は食感を大事にしてこし過ぎず、舌触りに配慮されているそう。
西洋的なブランマンジェになりすぎないようにとのこと。
シロップには桂花(金木犀)香りをつけた特製ソースで。

エッグタルト

もちろん、手作り。焼きたてホカホカで超美味しいーー。
ほかに言うことナシです。

お会計は、1人当たり10,000円(千円未満四捨五入)
伝統とアレンジ。先々の可能性を感じさせる躍動的な中国料理店。
またお邪魔してしまうんだろうなあ。
中国料理満足度数は、4.4~5.0
喜臨軒 (キリンケン)
東京都世田谷区池尻3-2-5 コンフィアンス流来 B1F
TEL 03-5787-6982
営業時間/ 11:00~14:00 (L.O)18:00~22:30(L.O)
定休日 日曜日