中国料理「豊栄」 (ホウエイ)再訪。
前回、八宝鶏を組み込んだコース料理が2人からでも可能と言う情報を得た私たち。
再訪を心に誓い、これを組み込んだお任せコースで予算を相談させてもらい予約訪問。
到着すると、この日も本日満席の札。
相変わらずの人気ぶりに、この日入店できることが幸運にさえ思えました。
さて、当店、卓上への菜譜の用意はなく、サーブ時に口頭説明を受けるスタイル。
記録にあたっては正確さに欠ける点もあるかもしれません。
また、各お料理は2人分が一緒のお皿で供されているものと、各人ごとのポーションで
供されているものが入り混じっています。
4種の醤
写真に撮り忘れてしまいましたが、ちょいつけを楽しめるよう
斜めにスライスしたキュウリもセット。
①豊栄醤・・・当店オリジナルのエスニック風味の醤。唯一無二の味わいです。
②姜葱醤・・・生姜の辛味とネギ油が合わさり、香りとコクがふくよかな醤。
③芽菜醤・・・芽菜の風味に辣油が効いたウマ辛醤。
④沙茶醤・・・焦がしタマネギ入りの旨味の強い醤。
そのほか、醤のお供に新じゃがポテトチップスも用意してもらえました。
からっと揚がった自家製チップスはクミン塩にパプリカを少しふっているのかしら。
その塩梅も丁度よく、あまりに美味しかったので、これはそのままで食べてしまいました。
前菜の盛り合わせ
各自に提供。以前記したものと同じ料理については、その細かい記録を省きます。
①酔っ払い海老(酔蝦)・・・エビの紹興酒漬け。
②シマアジの腐乳漬け
③叉焼・・・カシューナッツの砂糖絡めを添えて。
④牛アキレスの煮凝り・・・ピリッと辛い辣油は口当たりまろやか。香菜が好相性です。
⑤花咲クラゲとミニトマト・・・花咲クラゲは醤油漬け、ミニトマトは黒酢漬けで。
⑥地ハマグリの紹興酒漬け・・・①と同様、漬けだれは口に優しくふわりと甘め。
黒酢のリッチな甘さが後を引くのミニトマトも、自身のお気に入りなのですが、
今回、前菜の中でのエースはシマアジの腐乳漬け。
どぎつさのない腐乳使いに身はねっちりとして“熟成”させたような濃厚な旨みがあるのです。
薬膳スープ
具材は、自家製干し肉、金華火腿、豚肉、鶏肉、大根、蓮根、棗、クコの実、蓮の実、
干し貝柱、干しエビ、生姜など十数種。
薬膳といっても薬っぽいわけではなく、動物性の出汁がしっかりと働き、塩もきっちり。
飲んで良し、食べて良しと、出し惜しみのない男っぽさが
豊かさへとつながる味わい深いスープです。
よだれ鶏
「渋谷の時より、辛さは抑えてあります」
進藤シェフは「月世界」さんで料理長を務めていた人物。
私自身、当店でよだれ鶏をいただくのは、はじめてですが
「月世界」カラーが色濃く映し出された薬味たっぷりのビジュアルに、
時間がタイムスリップしたような不思議な感覚を覚えました。
朱赤の海から銘々に取り分けると、こんもりと盛られた薬味の下にはしっとりと
柔らかい鶏肉に歯触りを楽しめるキュウリもその姿を現しました。
そして、辣がリードするしっかりとした辛さの中には、フルーティーな甘みも感じられ、
痺れの麻も存在を主張。複雑にして旨味が深く、後を引かせる魅力があるのです。
鶏肉を平らげたあと、器に残った薬味もたれも完食・完飲する勢いだったのですが
このあとの料理が焼売と春巻であることを知り、少しキープすることにしました。
焼売
話ではジビエ専門の卸業者さんからヒグマの肉を仕入れたとのこと。
食べてみると、強いクセや臭みこそありませんでしたが、豚や牛とも違う、
肉そのものの旨みを感じさせるパワフルな焼売で、
他ではなかなか食べられない非常にリッチな味に感激しました。
先ほどの薬味たれが万能に使えるものであっても、これに使うのは勿体無いわ。
春キャベツと新タマネギのエビ春巻き
季節感を盛り込んだ春巻は、ほんのりと生姜が効き塩味ベース。
パリッとした皮を噛むとキャベツがとろっとして、野菜の甘みが口いっぱいに広がります。
とっても優しい味ですから、やはりそのままがベスト。
万能たれは酒のつまみにへと方向転換しました。
八宝鶏
いよいよメイン料理の登場。
シェフはボリュームがあるので、2人だと途中で飽きがくるのでは?
と心配していたけれど、お腹を空かせて来ています。まずはトライ!
朝から仕込みをしたという鶏肉に骨はその足先と手羽先部分だけ。
他の部分は外してくれているのですから、それだけでも手間のかかる料理ですよね。
スプーンで難なく切り分けることができ、中からは干し貝柱、干しエビ、蓮根など
溢れんばかりのお宝具材が出現し、のっけからインパクト大!
調味はお醤油をベースにしていると言ってよいかと思います。
肉は本当に柔らかく、こっくりとして甘辛く旨味濃厚。
また、食感のバラエティーに富んだ具材たちも味がしっかりと染みこみ
一体感を成したチーム力の高さに感心しました。
家庭ではなかなか作れないものですが、家常的な温かみがあり、適例となるかは
わかりませんが、肉を食べているのに、まるで煮魚を食べているかのような
楽しさを併せ持っているのです。
後に白飯にしっとりほろほろになった肉をのせ、たれをざばーっとかけて
煮魚タレご飯スタイルでいただいたのですが、間違いなくこいつは優勝!
ふくよかで懐の深い味に感涙です。
蒸魚
黄ハタの切り身蒸し。
ぷりっとしてしっこりの絶妙な火入れにノックアウト!
またタレは中国醤油がきつすぎず、ピーナッツオイルのコクが効き、バランスに優れた
味わいで、私の体調にもよるのでしょうか、前回の金目鯛の時よりも印象がアップしました。
うわぁ~美味しいーー!
シェフ的には長粒米の用意がないため麺を推されていたけれど、
プロポーションのよい蒸魚が拍車をかけ、私の脳が白飯を注文しろと指令を出すのです。
それに黄ハタのクッションになった細切り干し豆腐を麵感覚でいただいているしね。
日本米ですから粘りもありますが、タレをざぶざぶとかけた蒸し魚ご飯は、
イメージどおりの味わいで自身の欲求を満たし、多幸感に浸ったのであります。
冷やし担々麵
肉そぼろ、クラッシュナッツ、香菜をはじめとする薬味に表面は覆われ
スープは仕上げの辣が鮮やかな二層構造。
具材をかき分け、麺を引き上げると通常のものとは異なり翡翠色です。
食べると、よだれ鶏と同じくフルーティーな甘みがあり、その中に酸味を感じられ
さらっとしてクリーミー。私にはやや甘酸っぱい感もあったのですが、ふんだんに
使われた薬味が最後まで食べる楽しみを持続させ、シャキシャキとした歯触りが
爽やかで、これは夏の人気者になりそうです。
デザート
食後のお茶とともに供されたのは、杏仁豆腐、苺の桂花陳酒コンポート、叉焼パイ。
杏仁豆腐やコンポートに比べ、叉焼パイは生地に塩気が効いて、叉焼自体も
それほど甘みを感じませんでした。
会計は、生ビール@600×2、ワイン(ボトル)、紹興酒(ボトル)を含め
1人当たり10,000円(千円未満四捨五入)と、
シェフの気骨が体現された充実のコース料理に、これだけのドリンクを注文しても
気のはらない支払額で、やはりその費用対効果は抜群。人気の高さも至極納得です。
自身の活動エリアからは離れているため、頻繁にはうかがえませんが、
時間と交通費をかけてでもお邪魔したい1軒であります。
豊栄 (ホウエイ)
東京都文京区小石川5-38-14 KDビル 1F
TEL 050-5593-4692
営業時間/火 11:30~13:30(L.O.13:00)
土日祝 11:30~14:30(L.O.14:00)
【DINNER】 17:30 ~22:00(L.O.21:00)
定休日 水曜日・木曜日 祝日の場合定休日が異なる場合あり
-店舗情報「食べログ」より-