バスツアー、次のお立ち寄りは日本の滝百選にも選ばれた「浄蓮の滝」
この浄蓮の滝には、女郎蜘蛛伝説が残っています。
写真では小さいので記しておきますね。
-女郎蜘蛛の伝説-
天城の渓谷から北に流れる本谷川の水をあつめて、絶壁を落下する浄蓮の滝は、
まさに伊豆第一の名瀑である。
むかし、この里に住むひとりのおじいさんが滝壷のそばで畑を耕していました。
どのくらい時間がたったのでしょうか。
おじいさんは少し休憩をしようと川のほとりの木の切り株に腰掛けました。
春の暖かい日差しにうとうとしながらふと泥で汚れた自分の足に目を向けると、
一匹のうつくしい大きな女郎蜘蛛がせっせと足に糸をまきつけています。
「わしの汚れた足を、木の枝とまちがえてるな。」おじいさんはくすりと笑った。
しかし、せっかく一生懸命よりあわせた糸を切ってしまうのはかわいそうな気がした
ので、蜘蛛の糸をそっと足からはずし、今座っていた切り株にくるくるとまきつけ
畑仕事を再開しようと立ち上がりました。
するとそのとき、地面がぐらぐらゆれたかと思うと先ほどの切り株がメキメキと
音をたてて引きぬかれ、そのまま深い深い滝壷へと引きずりこまれていきました。
「ややっ、これは!」
おじいさんがおそるおそる滝壷を見下ろすと、滝は不気味な渦と轟音をたてながら
あたかも大きな口を開けたように切り株を飲み込んでいきました。
おじいさんはあまりのおそろしさにあわてて畑から逃げ出しました。
「ああ恐ろしい。あれはまさしく滝の主だった。うっかりしていたら
わしが飲みこまれるところだったよ。」
おじいさんは命からがら村まで逃げ帰ると、村人たちにこの恐ろしい出来事を話して
聞かせたので、それからこの滝に近寄る村人はいませんでした。
それからいく年もすぎてのことである。
この村によその村から一人のきこりがやってきて、浄蓮の滝の滝壷のそばで木を
切っていました。
ふとした拍子にきこりの手から斧がぬけ、斧はあっという間に滝壷の底に消えて
しまいました。
「やれやれ、これはしまった。」
きこりは大事な斧が無くなっては仕事にならないと、着物を脱ぎすて、ざぶんと
滝壷に飛び込みました。
きこりは深い滝の底までもぐってさがしたが斧は見つからず、あきらめてあがって
くると大きな岩のかげから
「もし、もし」
と、女の声がしました。きこりが顔をあげると、若い美しい女がきこりの斧を持って
立っていました。
「これは、あなたの斧ですね。さあ返してあげましょう。
ただしあなたが私のすがたをここで見たことを誰にも話さないと約束してください。
もし約束をやぶったなら、そのときはあなたの生命をいただきます。」
きこりはその言葉に大きくうなずくと、女の手から斧をうけとりしばらく夢でも見て
いたかのようにその場にぼーっとしていました。
しばらくして我にかえったきこりは、斧を持って滝をあとにしました。
それにしてもふしぎな事もあるものだと思い、それとなく村人たちに聞いてみると、
村人たちは口をそろえて滝の主のおそろしさを話してきかせました。
きこりはようやくあの時の美しい女が女郎蜘蛛の化身であったことがわかったが、
約束を守ってそのことだけはみんなには話しませんでした。
その後、きこりはよその山へとうつっていきましたが、あの滝のおそろしい思い出
だけは忘れることができませんでした。
そうしてある時きこりがその村にもどってきて、仲間のきこりたちと酒を飲んでいると、
いつしか炉ばたでは昔話に花がさき、みんなであの滝の恐ろしさが語られはじめました。
きこりは一人だまってその話を聞いていましたが、酒の酔いがまわるにつれ口が軽く
なり、ついあの時の出来事を話してしまいました。
「お前たちは滝の主の女郎蜘蛛を見たことがあるかい?この俺は見たことがあるぜ。
そりゃあきれいな女だった。」
きこりの話をみんなは信用しようとはしなかったが、きこりはさらに続けました。
「これは本当の話よ。主との約束で俺は今まで誰にも話さなかったんだ。
しかしこれですっきりしたわい。」
きこりはその話をくりかえししゃべると胸につかえていたものが取れたかのように、
満足げに炉ばたに横になり高いいびきをあげて眠りにおちた。
きこりはそのまま深い永遠の眠りにつき、二度と目覚めることはなかったという・・・
むかしむかしの話である。
こわー!!こわー!(。>0<。)
途中から展開は読めていたけど、やはり約束事は守らないといけませんね。
滝の前には、「天城越え」の碑がありました。
歌詞にもでてきますよね。「浄蓮の滝」♪
滝の両側には「ハイコモチシダ」(別名 ジョウレンシダ)が群生。
日本国内では九州南部と伊豆半島に分布するのみで、
静岡県指定天然記念物とのこと。
それにしても、女郎蜘蛛は今も滝壷にいるのだろうか。
深い滝壷の青は神秘的で、長く見ていると吸い込まれていきそうだ。
ふと足元を見る。幸い私の足には蜘蛛の糸は、まきついていなかった。