中国料理「豊栄」 (ホウエイ)再訪。

前回、進藤シェフの作り上げる創造性豊かな料理に魅せられた私達。
またの機会に、と願いながら間が空いてしまいましたが、昨年末
タイミングよく希望日に予約が取れ、再訪が叶いました。
店の前に到着すると本日満席の札――。
「孤独のグルメ」の放映以降、大反響を呼び、客足の途絶えぬ人気店となったことは
聞いていましたが、札を目の当たりにし、ピークタイムの利用は予約必須!と、
このことを痛切に感じました。
指示を受けられたテーブル席につき、厨房内のシェフにご挨拶。お元気そうだ。
料理はグランドメニューのほか、テーブルサイドに置いてもらえた黒板より
アラカルトチョイスです。

前菜の盛り合わせ 小(2~3人前)@1,600
グランドメニューからのチョイス。
生ビールを注文後、おすすめを受けた黒板メニューから組み立てたいのですが、
まずは枝豆!ならぬ前菜の盛り合わせです。
種類を望めて味を楽しめるし、量も心細くないから、手始めに丁度良し!
この安心感は計り知れず、しかも美味しいのだから、マストで押さえたい。
私自身、とても気に入っています。

①白切鶏・・・キュウリをクッションに、相性抜群の葱生姜ソースがたっぷり。
②酔っ払い海老(酔蝦)・・・エビの持つ甘みを引き立てた漬け加減で
ねっちりとろ~んと夢見心地の旨さです。
③スケソウダラの白子、発酵唐辛子ソース・・・クリーミーな白子をぴりっとした
発酵唐辛子ソースで。
④イクラの紹興酒漬け・・・プチプチとはじけるような弾力のイクラに
漬けたれはほんのりとした甘さで後味良好。
⑤叉焼・・・カシューナッツの砂糖絡めを添えて。

うんま~い
今宵の叉焼は格別!
むっちゃジューシーで噛みしめると肉の旨みに脂のコク、
嫌みのない甘さがじわじわと口に広がり、飲みこむのが勿体ないぐらい。
そう、焼き立てにヒットしたのであります!

また、当店、鶏肉がずば抜けて美味い。
しっとりとして驚くほど柔らかく、旨みはきっちり。
真空湯煎調理されたものかと思い尋ねると「そんな高度なことはしていませんよ」とシェフ。
(管理人:イメージ) えー、そうなんですか!
これ、お年を召された方とか、歯茎でも食べられる柔らかさよ。
(寝太郎) 食レポに似つかわしくない表現……(汗)。
プロの妙技!火の通し加減が絶妙なのであります。

A菜の炒め@1,000
塩orえびみそから選べたので、えびみそで。
調味には四川唐辛子とニンニク、えびみそ使いもどぎつすぎない味加減。
(寝太郎) そこに、進藤シェフっぽい男っぽさも感じられるね♬

丸鶏のパリパリ揚げ(ハーフ)@1,800
飴色に輝く皮目の美しいこと。サーブされた瞬間に間違いなしと確信です。

(レンタロー) 脆皮鸡はとても時間と手間のかかる料理なんだで。
①甜麺醤 ②クミン塩
使用はお好みですが、下味を塗り込み干すことで旨みを凝縮させていますからこのままで十分。
飴がけをした丸鶏に油をかけ表面の皮をパリパリに仕上げ、肉の中心はじわじわと
火が入りしっとりとふくよか。
脂肪の多い足の部分は旨み脂がじゅるじゅるのゆるぎない美味さですが、
特に注目したいのは余熱で火入れした胸肉(ササミ)あたり。
パサパサになっていないところは、素晴らしく、あっさりとして旨みしっかり。
これもまたプロの妙技と言えましょう。技量の高さを強く心に感じました。
また丸鶏のパリパリ揚げは干しっぱなしにできる冬にしかやらない料理とのこと。
このために足を運ぶ価値ありです。

金目鯛のスープ
実はシェフに香港土産を持参。スープはそのお礼にと供されたもので、
キンメダイのアラで出汁をとっているのだそう。
ご説明では上海の郷土料理「宋嫂鱼羹」の簡略バージョン。
シェフの上海の師がまかないで作ってくれたものを見て覚え、本来は
魚の細切りなどが入るそうですが、黒胡椒を散らし、ふわっとした溶き卵に、
生姜も効いて魚出汁の旨さきっちり。魚の身が入らずとも物足りなさはなく、
胃袋に優しく染み入る美味さです。温まるぅ~♡
私はこのままが断然良いと思うのですが、お好みでとセットされた黒酢も気になる為
レンゲ内で試しました。やはりデフォルトのままが良し。
仮に使うなら赤酢のほうがいいかな(主観です)。
(寝太郎) サービスでいただけたスープにあれこれと言うなよ~(汗)。

カキの激辛煮込み@1,800
「孤独のグルメ」でちらりと登場したのは「水煮牛肉」ですが、
主役を季節の食材、牡蠣に変えて提供。

細かくカットした大豊作の香味野菜の下には、ぷっくりと膨らんだ牡蠣のほかに、
豆モヤシや茶褐色に染まった春雨もみっしりで、嬉しいボリューム。
辛さの耐性には自信ありと、勢いよく挑みましたが、辣椒粉が喉にはりついたよう。
ごほごほとむせる自分に、辛さは油の部分に潜むので、油をはじいて食べれば、
とのアドバイス。クリア感をもった煮込み汁は、ミルキーな牡蠣のエキスと
香辛料で旨みの層が深められ、たっぷりの香味野菜が超絶にマッチし、
癖になる辛さであります。
(管理人:イメージ) この煮込み汁、手放したくないわ~。
〆に麺を投入できないかしら?とシェフに直談判。
半分以上油なので、本来これは飲むものでは……。との回答。
そうか、飲用したくなるウマ辛油汁なんだけど、ここでお別れか……(涙)。
「じゃあ、担々麵をお願いします」

担々麵という言葉の裏に隠した、私の落胆の色を感じ取ってくれたのでしょう。
具材を食べ終わったあたりで器を回収。
私達にとっては幸いに、丁度シェフの手が空いたため、なるべく油を取り除くよう、
厨房で作業し、アレンジを利かせて提供してくれました。

我儘三昧のスープ麺は、刻みネギを頂に、平打ちタイプの中太麺が
まろやかなウマ辛スープに絡み、とんでもないご馳走に。
(寝太郎) うほほほほ。さっきの煮汁をベースに油が抜け、
旨みだけが残った感じだよ。
それだけでは、ありません。微調整の段階で使用されたのは腐乳と砂糖とのこと。
匙加減の妙により、口当たり良く、マイルドな味へとフレッシュアップ。
まかないご飯っぽいものです、と言うけれど、この薬味たっぷり感も素敵だし贅沢。
何よりも、願った以上の美味しさは、欣喜雀躍でマジやばい!
さらにご飯を投入して追い飯でもいけそうなくらい。
これもお手すきのタイミングが合致したからこそ提供が可能となった傑作。
めちゃくちゃツイていました。完食♡

会計は、生ビール×3、黄中皇5年(500ml)@2,700×2を含め、
1人当たり7,000円ほど(千円未満四捨五入)。その費用対効果は抜群!
なお、当店「ミシュランガイド2018」でビブグルマンを獲得したのだそう。

好きなお店の吉報なのに、知ったのが当日という(汗)自身の勉強不足を恥じ入る
ばかりですが、ミシュランマンありがとう!そしてシェフ、おめでとうございます。
オープンして2年足らずで「孤独のグルメ」に続き「ミシュランガイド」掲載。
進藤シェフはもってるわー。
私達もそのお人柄はもとより、心を惹きつける魅力的な味だと感じ入りました。
定期訪問させてもらいたい1軒です。

豊栄 (ホウエイ)
東京都文京区小石川5-38-14 KDビル 1F
TEL 050-5593-4692
営業時間/11:30~14:30(L.O.14:00)17:30 ~22:00(L.O.21:00)
定休日 水曜日(不定休) -店舗情報「食べログ」より-