中國小菜「龍圓」 (リュウエン)
場所は、東京メトロ銀座線、田原町駅より国際通りを進行した道沿い。
浅草ビューホテルの並び。
今まで浅草に来た時、何度となくこの通りを歩いているはずでしたが、
あまりにさりげない店構えに見落としていたようです。
ランチの予約はコース料理2,500円のみということで、予約の上訪問。
連れ(寝太郎さん)曰く、電話で対応してくれた方はおそらく、
当店のオーナーシェフ栖原 一之 氏ではないかとのこと。
とても感じがよく、コース料理の構成を教えてくれたそうで安心感をもって
お願いすることができました。
予約時間に入店すると、8割ぐらいの客入り。
アイボリー系の中にブラックのシックな色使いが映える店内は奥に細長く
一番奥が広い厨房。その手前には2階に向かう階段あり。
ランチタイム、フロアではお姉さんが一人で接客応対。
丁度、お帰りになるお客様がいて、直ぐに案内は受けれませんでしたが、
手が空いたところで予約席の札が置かれた1階左手の片側ソファテーブル席に
着くことができました。
テーブル・セッティングは、箸置き、箸(縦置き)、スプーン。
テーブルクロスは1枚で、撥水や防水のための加工が施されているタイプ。
着座後にはタオル地のおしぼりが直置きで提供。
卓上には、醤油、酢、からし、爪楊枝、メニュー。
当店にはワインもありますが、とてもいいお値段のため、紹興酒をチョイス。
かめ出しのため、ボトルの紹介はなされていません。
青島ビール@500のあとは、かめ出し紹興貴酒3年(2合)@1,300×2 を常温で注文。
厨房に入ってすぐの右手のかめよりガラスの冷酒用カラフェに注いでサーブされます。
さて、コース料理の提供スタイルはヌーベルシノワ(ひと皿ずつ各人ごとのポーション)
卓上にはお品書きなし。
サーブ時に説明を受けることができ、これを急ぎ控え、補足し記録していますから
正確さには欠けるかもしれません。
なお、当該コース料理に中国茶のサービスはありません。
ピータン豆腐
着席時、構成内容を知っていた寝太郎さんはスプーンはこのためだよ♪と得意顔。
お店の入り口にも大きく紹介されていましたが、スペシャリティになるのかしら。
カクテルグラスの中には、細かくカットした皮蛋。豆腐をエスプーマで
ふわふわのムースにして仕上げるのだそう。
これにより舌触りは通常よりも軽やか。
皮蛋の塩気とクリーミーなムースの味わいをコンビネーションとして楽しめる
アイデアに富んだなピータン豆腐ですが、印象としては少しぼやけた感じ。
個人的にですが、豆腐には食感が欲しい。
コースは卓上に置かれた別選メニューからも同じものが提供されています。
ヤリイカの老酒漬け、サラダ仕立て
ヤリイカに箸をつけてみる。 食材も吟味しているのでしょうが
ボイルの具合も絶妙で、歯がすっと入っていく柔らかさ。
老酒の香が強く残るものではなく食べやすい。
器を彩るフレッシュな野菜には、軽く塩味のフレンチドレッシング。
(ノブロー) シェフの計算どおりサラダ仕立てが似合う老酒漬けだよ。好味。
ホタテのクリーム春巻
サーブ時にはお好みでお使いください。と天然塩もセット。
HPによると米油の詳細が記されていましたので、揚げ油にも使われて
いるのかもしれません。
この清潔感のあるビジュアルにはハートを射止められました。美しいの一言です。
カラリと揚がり油っこさは微塵もありません。
口をつけると薄い皮はぱりっと軽い音をさせる。
中の餡はカットしたホタテとアスパラがとろっとしたクリームでまとめられ、
笑みがこぼれるように優しい味わい。
好感度の高い春巻は、コース料理の中で強く印象に残るものでした。
(ノブロー) もたれ感がなくて、後味もきれいだで。もっと食べてえぐらいだ。好好味。
鶏肉の柚子胡椒炒め
歯がすくっと入ってしっとりとした柔らかさに驚く。
推測ですが、この鶏肉もよだれ鶏同様、真空パックの湯煎調理ではないかしら。
野菜はレンコン、ブロッコリー、パプリカ(赤)。
これらも米油の力なのかもしれません。湯通しなのではと思わせるようなヘルシーさ。
素材の旨みがしっかりと活きています。
柚子胡椒の爽やかな風味をまとった炒めもの。
レンコンのサクサクとした歯ごたえも楽しめました。
よだれ鶏@1,200 (別注文)
春巻をいただいた時点でお姉さんに確認。
残すは炒めものと食事ということなので、追加の料理を食事の前にリクエスト。
手が空かれたのかシェフ自らのサーブ。
別注文ですから、各自での取り分け作業になります。
下には叩きキュウリ。
真空パックで湯煎調理された鶏の胸肉は厚目にスライスされ
しっとりとして健やかな旨味。
タレが独特の味わいで四川のよだれ鶏とは. 一味違うテイスト。
ヘルシー志向でライトな口当たりです。
チャーハン
チャーシュー、エビ、カニ、ネギ。 ゴロゴロとたっぷり入った具材が目にも嬉しい。
さあ、食べるぞ!と思ったところに運ばれてきたのが
上湯(シャンタン)。
最初はチャーハンのみで。そのあとはお好きなタイミングでスープをかけ
お茶漬け風にしてお召し上がりください とのこと。
えーー!お茶漬けチャーハン。
自身の食べず嫌いかもしれませんが、こうしたスープ炒飯はイメージがまとまらず
まず注文することはありません。
上湯に口をつけると味に雑味がなく、当店の誠実さが伺える真面目な醤油味。
――美味しいわ。 これなら冒険してみたい。
上湯チャーハン
スープは2人で1つ。
「寝太郎さんから、いってみてよ。」
互いに牽制球を投げ合いながら、お茶漬けチャーハンに突入。
寝太郎さんの「いけるよ!」という反応をみて
私もレンゲにとったチャーハンの上に上湯をかけ口に運んでみた。
あら、本当だ。悪くはない。 やはり上湯がきちんとしているからだ。
辛口タンタンメン@800 (別注文)
ランチタイム、他のテーブルで多く出ていたのがタンタンメン。
皆さん、美味しそうに召し上がっていたのでリクエスト。
これも別注文ですから、各自での取り分け作業。
炸醤肉(肉そぼろ)、刻みネギ。
この肉そぼろも甜麺醤が効いたものではなく素材力での勝負。
麺は中細のストレートタイプ。
擂りおろしたゴマの風味をとらえることができますが、ゴマゴマぽってりとした
ものではなく、酸味や辛味は感じられません。
口当たりがフレッシュでさらりとした食味。
ベースとなるスープが美味しいこともあり、いつの間にか完飲してしまいました。
繊細でクリアな魅力のタンタンメン。独特の味わいを持っています。
杏仁豆腐
デザートはコース料理には入っていません。上にはミント。
もっちりとろりとしたソフトな舌触りで甘さは控えめ。
杏仁の風味も素晴らしく、丁寧な仕事ぶりを感じさせる美味しいデザート。
ここ最近いただいた杏仁豆腐の中では最強クラスです。
当初、「圓」の繁体字から思い描いていたものは、ベタな中国料理店だったのですが
利用したところ、シェフの感性が光る個性豊かな創作中華の店。
基本を熟知した上での斬新さがあり、食材、油、調味料と徹底してこだわり
ヘルシーで遊び心ものびやかだ。
シェフの気さくなお人柄もあってか地元常連さんも多いよう。
ご近所中華で立ち寄りたくなる親しみやすい空気感が存在するのだ。
私もまたこの付近に来た時はお邪魔したい。
お会計は紹興酒(1合)@750のお替わりを加算し、
1人当たり5,000円(千円未満四捨五入)
《本日のお気に入り》 ホタテのクリーム春巻、辛口タンタンメン
中国料理満足度数は、★★★★積極的に好き。
龍圓 (リュウエン)
東京都台東区西浅草3-1-9
TEL 03-3844-2581
営業時間/ 火~土 12:00~14:30(L.O.14:00)17:30~21:30(L.O21:00)
日・祝 12:00~14:00(L.O.14:00)17:00~21:00(L.O20:30)
定休日 月曜日(祝日の場合は営業、翌火曜日休み) -店舗情報「食べログ」より-