「中華香彩 ジャスミン」 再訪。
2015年3月、リニューアルオープンした店内にはテーブル席(片側ソファを含む)のほか、
新たにカウンター席(6)が設けられた。
案内は右手の窓際テーブル席、広尾散歩通りの桜並木が眺められ、とても綺麗だ。
テーブル・セッティングは、取り皿(2)、カトラリーレスト、箸(縦置き)、レンゲ、ペーパーナプキン。
着座後、タオル地のおしぼり(トレー置き)、茶杯、メニューをもらう。
ほか、卓上には、紙ナプキン、爪楊枝、食べる辣油。
本日のリクエストは、江南地方の料理と乞食鶏を組んだコース料理。(8,000円)
4名での利用に際し、予め人数分の菜譜が用意され、料理は、大皿で供されるものと、
各人ごとのポーションで供されるものが入り混じり、サーブ時には口頭説明も受けられる。
自身のドリンクはキリン一番絞り 生ビール(中)@700からスタートして、
古越龍山(瓶出し)デキャンタ@2,800、グラス@700に進行。
コース料理に先だち、各人に大根の紹興漬け、青海苔カシューナッツが供された。
江南六小碟 4名分
一度に6品が運ばれてくるため、卓上は前菜で花盛りだ。
同時にスプーン、フォーク、取り皿、取り箸が置かれるため、各自での取り分けが必要。
①老醋海蜇头(花咲きクラゲの熟成黒酢風味)
熟成黒酢がしっかりしみこんだクラゲは、軽やかなコクとさっぱりとした味わいでキレも良い。
②四喜鹵烤麸
キクラゲ、ピーナッツ、干した金針菜、干し椎茸。
日本人シェフが作る四喜烤麸。
基本に忠実だけれど、その味にベタベタとした嫌な甘さはなく、さじ加減に繊細さが
表れているように思う。上品だ。
③香菜拌干丝(押し豆腐と香菜のゴマ油和え)
松の実を食感のアクセントに、極細切りの押し豆腐に香菜がマッチし、
強すぎない調味加減が品の良さにつながる。
④拉皮十八鮮(手作り生春雨と彩り野菜の腐乳和え)
菜譜には腐乳和えと記されているが、独自のクセはなく、つるんとした生春雨と
適度な歯触りを残す季節野菜とのあっさりした和え物になる。
⑤龙井熏鰆魚(西湖龍井茶でさっとスモークした旬の鰆)
付け合わせは白髪ネギとカブの甘酢漬け。スモーク香が食欲をアップさせてくれる。
赤酢、黒酢はお好みで。 拉皮十八鮮と龙井熏鰆魚には活用の余地ありかな。
⑥本帮三黄鶏(蒸し鶏 上海の三黄鶏ソース)
滑らかでミルキーな生湯葉を敷き、香菜が頂を飾るビジュアル。
この本帮三黄鶏は、中国醤油をベースに黒酢や蝦子などで味を整え、刻み香菜を
散らしたつけダレで食す。舐めてみると、コクがあり、ほんのりとした甘みも感じた。
しっとりと柔らかい三黄鶏と、濃厚な大豆の風味と旨味を含んだ生湯葉とは好相性である。
宋嫂鮮魚羹(杭州名菜“宋おばさんのスープ”)
各人ごとのサーブ、蓋は目前にて外される。
スタッフさんの説明によると、当該スープは
魚の骨を揚げ、湯で油をとり、その後、じっくりと骨を煮込み出汁を取るのだそう。
たいへん手間をかけているのだ。
具材には糸切りの押し豆腐、キクラゲ、ニンジン、タケノコ、ネギなど。
とろみをつけているので、口当たりはもってりとした感じだが、魚臭さは皆無。
レンゲで捜索すると、細かくカットした揚げイシモチの身も確認でき、
この部分にヒットすると、身のほんのりとした香ばしさも楽しめる。
(レンタロー) つまりは魚の白湯だな。で、魚はその日の入荷のもん使うそうだで。
苔条春笋 外公肉圆(春筍のあおさ炒め 張家の肉団子) 4名分
今回の参加メンバーの中には当店の常連さんがいらして、話によると、
この肉団子は二度挽きしたミンチ肉を使用。
そのため、外側はカリッと香ばしく、中はふわっと柔らかいという食感の対比が楽しめ、
これが限りなく口に優しい。
また、旬のタケノコはシャキッとした歯触りで自然な甘みもあり、あおさの風味と見事に調和。
両者はまさに秀逸という言葉が相応しい出来栄えであった。
別添えで塩もいただけたが、あおさ炒めの塩気だけで十分。使用の余地はない。
金沙煎羊扒(JASMINE風ラムのステーキ 蚕豆のくずし炒め添え)
ナイフとフォークがセットされ、各人ごとのサーブ。
歯を入れると、外側のかりっと感に続き、ラム肉独特の旨味を感取し、
脂身からじゅわっとにじみ出る美味さに笑みがこぼれた。
最後は手掴みで骨まわりの肉をかぶりつく。これがまた美味いのである。
付け合わせのソラマメのマッシュは、青臭さを抑え、雪菜のみの塩分で味を調整。
主役のラム肉を上手にサポートしていた。
素炒蟹粉(上海の精進料理“スーハーフン” 上海蟹みそもどき) 4名分
サーブ時には、専用のカニ酢(上海蟹用・黒酢)もセット。
具材は、ジャガイモ、ニンジン、キクラゲ、たまご、香菜など。
黒酢と合わせて、かにみそに見立てた料理です。
ひと口食べてみると、調味に使用したパームオイルが効き、たまごのコクと合わさると
奥ゆかしい旨さがあり、また、カニ酢をつけると、確かにそれらしい味になるのだから面白い。
冬菜蒸石斑(石垣島スジアラと冬菜の合わせ蒸し)
各人ごとのサーブ。
魚は切り身での提供だが、しっとりとして蒸し加減上々。
醤油の使い方もなかなかのものである。
菜譜によると、このあとが乞食鶏。
醤油味が続くため、口直し的にセロリの青山椒風味が供された。
しかし、酸味が勝っており、肝心の青山椒の風味が弱かった。
こちらも菜譜にはない1品。獅子頭。
甘めの味付けで、肉団子系は外れがなく、安定した美味しさを楽しめた。
傅式叫花鸡(杭州の名料理人傅先生直伝の“乞食鶏”) 4名分
さて、本日の目玉!乞食鶏の登場です。
卓上には、木槌、ハサミ、ナイフ、フォークが準備。
ここは常連さんに正義の鉄槌をお願いしよう!ドン!ドドドン!!
木槌で蓮の葉が見えるところまで叩き割り
手袋をしたスタッフさんが表面の土をはがし
ハサミを入れます。
何重にも包まれているので、丁寧に取り去り作業。
(乞食鶏) 皆さん、ご苦労さまですーー。
ようやくご対面。顔があるわー(汗)。
この後は、自分たちでナイスとフォークを入れ、取り分けて実食。
ハスの香りが漂う肉はむっちりとして美味い。
しかし、冬菜などの漬物で味に深みをだしたいところが醤油や砂糖が強すぎて、
甘さが口に残り、次第にくどさを感じ食が失速。
スープストック的なものを入れてはいるそうだが、スープが残っていないのも残念だな。
櫻虾凉面(桜海老出汁の一口冷麵)
各人ごとのサーブ。
桜海老出汁100%。これがまた強すぎて、かつ甘い。
春キャベツと合わせ季節感を味わえるものをと、組み込まれた冷麵だと思うけれど、
今回のコース料理の〆には重たい。
別の機会にこれだけ単品でいただきたいな。
このままでは往生できない私達。
さっぱりした汁そばが、ひと口で良いから食べたい、とリクエスト。
利用日は団体客も多く、厨房もフル回転で伝達ミス?運ばれてきたのがこちら。
ぱっと見は、トマトの冷製カッペリーニかと思いましたが、アメーラトマトとシソの冷製和え麵です。
〆のイメージが少し狂ってしまいましたが、「さっぱり」課題は酸味でクリア。
忙しい中、我儘を聞いてもらえて感謝です。
さて、次はデザート。おしぼりの差し替えを受けられ、菊花茶がポットでサービス。
甜品
2種(杏仁豆腐、マンゴープリン)からのチョイス。各人ごとのサーブ。
マンゴープリンは、ベースがフレッシュすぎず、甘み熟成タイプで味が濃厚。美味い。
杏仁豆腐にはトンカ豆を使用。香りが良いのだ。
酒の追加等を含み
会計は、1人当たり11,000円(千円未満四捨五入)
料理の組み立てや追加に細やかな心遣いをしてもらえ、お腹が一杯である。
デザートをいただいた頃には、シェフがテーブルへ挨拶に来てくれた。
その際、私達の忌憚のない意見にも耳を傾けてくれ、いろいろと失礼を申し上げたと思いますが、
笑顔での応対はシェフの人柄とさらなる向上に努めようとする姿勢の表れだと感心した。さすがです。
滞在時間4時間半弱、退店時にも温かい見送りを受ける。たいへんお世話になりました。
中華香彩 ジャスミン (JASMINE)
東京都渋谷区広尾5-22-3 広尾西川ビル 1F
TEL 03-5421-8525
営業時間/ 11:30~15:00(L.O.14:00) 18:00~23:00(L.O.22:00)
定休日 無休
※中国料理満足度数は、3.9~5.0