中国料理 郷村菜 蔬菜「蓮香」再訪。
この日のお任せコースは下記の通り。
盛り合わせ
①とうもろこしの葉 怪味ソースがけ・・・怪味ソースは、30種類ものスパイスを使用した
シェフのオリジナル。旨味に仄かな甘みも感じられ実に精妙な味わい。
②豆モヤシ野生ミント木姜子風味・・・ミント使いに小山内シェフらしさを感じる1品。
フレッシュなミントの香りが爽やかで、素材どうしの相性の良さに加え、
その持ち味を巧みに生かしています。
③押し豆腐 細セロリエシャロット醤あえ・・・エシャロットは揚げてあるのかしら。
香りとコクを味方にしたワンランク上の押し豆腐の和え物です。
④黄瓜と傣族の干し肉トマトサラダ<黄瓜菜干巴>・・・キュウリの瑞々しい食感に
トマトの酸味、干し肉のコクと、どれもが突出しすぎず協調させる
味のまとめどころは流石。形容しがたい味わい深さが光ります。
⑤王様アスパラのフリットレモンスパイス・・・お酒のつまみに大歓迎。
雲南ポテトのフライ、炙り山羊チーズ
シェフのサジェスチョンにより加えてもらった料理。
仕上げにスパイスを効かせた雲南ポテトのフライは程よい厚みがあり、カリッと
ほくっと充実食感。また、炙った山羊のチーズはクセがなくあっさりとして美味。
搨菜雲南大豆唐辛子漬け強火炒め
雲南大豆はひきわり納豆のような形状で、迷いのない強火炒めに深いコクをプラス。
食感を残した搨菜にオイルを含んだスープは「乳化」という言葉が相応しく、
円みがあって飲み干せる旨さ。味に雑さが全くないのです。
毎度のことながら、シェフの炒蔬菜には感心するばかり。
もはや神の域に達しているといっても過言ではありません。
発芽大豆プーアル茶サクサク炒め<普耳酥豆牙>
「鬼は外! 福は内!」と唱えたくなるようなお豆たち。
節分のお豆をイメージして口に放り込むと、外側は香ばしく、軽くカリッとして
中はホクホク。この心地よい食感の変化に、クミンかしら?
スパイスと茶葉の風味が入り混じり、想像を凌駕するおつまみ力の高さ。
一度食べ始めたら止まらなくなる美味しさです。
(レンタロー) カリカリに見せてほくっ!いい意味での“裏切り”が心を鷲掴みにするだ。
鶏肉の傣族スパイス腐乳蒸し
生キクラゲをメンバーに刻み生姜と香菜をトッピング。
油を乳化させ、淡白な素材でも物足りなさのないリッチな味わいに仕上げています。
「傣族のスパイスのお陰ですよ」と苦笑していたけれど、
技量の高さが際立った、このお料理は本日の一番のお気に入り。
シェフは「乳化」においても筋金入りのテクニシャンであります。
虎拳茸の春巻
こちらもシェフのサジェスチョンにより加えてもらった料理。
辛子と黒酢を合わせたタレもセットしてくれました。
きつね色に揚がったパリパリの皮を噛むと虎拳茸を使った熱々の餡がお目見え。
その瞬間にキノコの濃厚な芳香が鼻腔をくすぐります。
甘めにしっかりと下味がついているので、勿論そのままでもOKですが、
先ほどのタレをつけていただくと、味にメリハリが利き美味しさもアップしました。
エビと色々キノコバナナリーフ包み焼き<包焼全菌>
殺菌効果のあるバナナリーフで包み、調理することで香りもプラス。
レモングラスの風味も相まりエスニックな味の余韻を紡ぎます。
豆腐と生シラス新生姜香り蒸し こがし醤油がけ
小山内シェフというと中国各地を駆け巡り、強靭なフットワークで味を追求する
中華料理界のインディ・ジョーンズというイメージがあったので、ちょっと意外。
味に“和”を感じさせる要素があるのです。
とはいえ、新生姜は香りも辛味も新鮮で、滑らかな豆腐ととろんとした生シラスが
口に優しく、素材の持ち味を存分に活かした味わい。
また、オイルを含んだタレはコクうま油ドリンクと化し、飲み干さずには
いられないほどの美味しさ。シェフは油使いの鬼才なのだとしみじみ思う。
雲南水腌菜と豚肉の香り炒め<水腌菜大肉>
中国では水腌菜を下にして供されるという話でしたが、味が濃く感じられるため、
レタスを下に敷き日本人に向けたプレゼン。
柔らかな肉の食感に辛味が後追いをかけてくる、エッジの効いた炒めです。
生あおさの和えそば
〆はいつもの丸麵に今宵は生あおさをトッピング。
磯の香り豊かなご馳走に不足はないのですが、私としてはちょっと大人しい味に
感じられたので、鹹菜が欲しいところ。
う~ん、さっきの香り炒めを残しておくべきだった……。
普洱茶とともにサーブされたデザートは前回と同じく氷粉ですが、
この日は赤砂糖シロップでいただけました。
他の追随を許さぬ発酵系調味料使いと抜群の料理センス。
本場の中国の少数民族料理を食べたことはありませんが、
小山内シェフの料理をいただくと、鮮烈なその一皿一皿を通じて、
個性のきわだった豊饒な食文化の清冽な源流に触れたかのような感動を覚えます。
食材や調味料に対する小山内シェフの精緻な感性がそう感じさせてくれるのでしょう。
――料理を媒介として、まだ踏み入れたことのない世界へのイマジネーションを
かき立ててくれる食のスポット。
味覚のセンス・オブ・ワンダーを求め、今日も多くの人が白金の小さな店へと
足を運ぶことでしょう。
蓮香(Renshan)
東京都港区白金4-1-7
TEL 03-5422-7373
営業時間/18:30~21:00(L.O)
定休日 不定休 -店舗情報「食べログ」より-