温故知新中国料理 「喜臨軒」(キリンケン)
例年どおり誕生日ディナーでの再訪。
リザーブされていたのは、会話も楽しめるカウンター中央のシェフズテーブル。
この席へ座るのも随分と久しぶりです。
前菜盛り合わせ(2名分)
シェフが台湾で購入した料理映え抜群の大皿で提供してもらえました。
①ソラマメと里芋の和え・・・マッシュ状につぶした里芋は自然薯のような粘りがあり
ソラマメと和え、ネギ油などで味をまとめています。
②細切り干し豆腐と春菊の和えもの・・・松の実が食感をプラス。
③白レバーと豚タンの香り煮・・・レバーのねっちりとコクのある旨さに豚タンは
しっとりと柔らかく、ふわりと五香粉が香ります。
④天使エビの上海風煮・・・殻ごといただけるエビは、ほんのり甘めの味付けで、
あざとさのない濃さをキープ。金針菜とマコモダケが同席。
⑤花咲クラゲの冷菜・・・ブロッコリーと山クラゲを添え、クラゲはネギソースで和え、
うまざっぱりと。
シェフが上海で食べた味のイメージをベースにアレンジを加え作ってくれた
天使エビの美味しさもさることながら、春菊のほろ苦さと青い香りが鮮烈な印象を残す
干し豆腐の和え物が特に気に入りました。
芳香が鼻腔をくすぐり、あっさりとして爽やかな味の余韻を引く、
そのマッチング力の高さに唸らされたのです。
焼売
(レンタロー) やったー! オラの“キングオブシューマイ”だっ!!
ブログマスコットも大好き!
お肉もりもり、肉汁じゅわじゅわ。"焼売王”と呼ぶに相応しい突き抜けた美味しさです。
蟹甲羅詰めオーブン焼き
(タクロー) 甲羅に詰めたオーブン焼きは久しぶりだね。
タラバと毛カニの身肉に、叉焼、鶏肉、エビ、菱の実と助っ人お宝食材が参加し、
具だくさん。味付けはマカオ風のカレーテイストで味わいマイルド。
菱の実はホクホクとしてクワイと同じような食感です。
季節の春巻き
とろみのある黒酢たれがセットされたところで――
きつね色に揚がったパリッパリの皮を噛むと中にはフォアグラと鴨肉が。贅沢だー。
めっちゃリッチな味わいで黒酢たれとも好相性です。
大海老、フランス産発酵バターを使った煮込み
エビトースト揚げをサイドにヌーベルシノワ見参!
ソースにはエシャレットを使っているのかしら。
独特の風味がまろやかな発酵バターと結びつき、重たすぎないコクが味全体の柔らかさへ。
北海道産ホタテの春雨のせニンニク蒸し
歯触りを残す春雨にレア感のある貝柱は健やかな弾力でぷりぷり。
甘みのあるたれとも協調して美味しさに安心感があります。
A菜のサクラエビ、蝦醤炒め
サクラエビの食感をアクセントに特有の風味をもつ蝦醤のコクと旨みが食を進めさせる1品。
鶏肉、唐辛子炒め(宮保鶏丁)
鶏肉を調理するにあたってはいくつか提案を受けられたのですが、四川の代表的な
調理法“宮保”でお願いしました。
“宮保”は油に唐辛子や花椒の辛味と香りを移し、醤油、砂糖、酢、酒などの調味料を
用い食材を炒める調理法ですが
ここでは、ノブローの中華な日常(第7話)より
宮保鶏丁はさいの目切りの鶏肉を唐辛子と炒めたもの。と簡略化させていただきます。
片手鍋で供され、具材はほかに金針菜、長芋、シイタケ、ピーナッツ。
唐辛子の辛味に、調味料の甘辛さが効き、そこに花椒の痺れる辛さが後追いし、
味をきりっと引き締める。このウマからスパイシー路線に酒もハイピッチで進みます。
スープ餃子(灌湯餃)
金華ハムを使った上質な上湯に浮かぶビッグサイズの餃子。
もちっとした皮に餡は毛ガニの身肉を使い、ふわっとして柔らか。
自身のエイジングのせいか、スープが若干濃く感じられたので、もう少し淡い味で
いただければなお嬉しかったな。
(ノブロー) 灌湯餃は久しぶりだけんど、喜臨軒さんでごっちゃんになるのは
はじめてかもしんねえな。シェフの熱気が伝わる味だで。
咸魚炒飯
当店の炒飯は絶品。シェフの凄腕にかかると 米粒一粒一粒がべとつき感もなく
パラパラにほぐれ、まんべんなく味が絡まっているのです。
――まるで星の砂のようね。
と言うとシェフは苦笑していたけれど、私は本当にすごいなあと感心しているのです。
自宅で作る焼飯が少しでもパラパラに近づくには、またたまごの粒がどうして
こんなに小さいのか食らいついて尋ねると、卵は割って溶きほぐすだけではなく
丁寧な作業工程を経ていることを知ったのですが、最大のポイントは「乳化」。
油をかなり入れているにもかかわらず、油っこくならないのはこのことにあるようです。
供された咸魚炒飯は塩味をベースにハムユイ特有の香りが食欲を焚き付けるもの。
とは言うものの、お腹もそろそろ満ちはじめてきています。
ですが、一粒残さず美味しく完食できたことが話の裏付けにも繋がり
自身の腕ではパラパラ炒飯への劇的な変身は程遠いと現実として実感。
結局のところ、私にとってシェフの炒飯が一番いいのです。
食後のデザートタイム。
例年どおりと言ってよいかと思います。
プレートにはチョコレートで“Happy Birthday”の文字と馬拉糕にはバースデーキャンドル。
そして緑豆湯と桂花杏仁豆腐も用意してもらえ、嬉しさ倍増。
シェフとスーシェフ、男性お二人で切り回す中、これを用意するのは
大変だったのではと、感謝の念に堪えません。
(ノブロー) 予約手配をした寝太郎のプレートは“Good Job”な。ええ仕事しただ。
(寝太郎) 誕生日に喜臨軒さんへお邪魔するのはライフスタイルの一環じゃあないか。
ご無沙汰ばかりなのに、快く予算の相談に応じてくれ、お任せコースを組んでくれた
安澤シェフにはお礼の言葉もみつかりません。
お店は2018年12月30日から2019年1月2日までがお休みだったという話。
折を見て、また寄らせていただきたい大事な1軒です。
喜臨軒 (キリンケン)
東京都世田谷区池尻3-2-5 コンフィアンス流来 B1F
TEL 03-5787-6982
営業時間/11:45~14:00(L.O.13:30)
ディナー 月~金 18:00~23:30(L.O.22:15 最終入店22:00)
土 17:30~22:30(L.O.21:15 最終入店21:00)
定休日 日曜 -店舗情報「食べログ」より-