温故知新中国料理 「喜臨軒」(キリンケン) 定期再訪→前回。

当店の2015年のスタートは1月2日から。
この時期、店はまだお休みだったり、仮に営業していても正月の特別メニューが多い。
私事で恐縮だが、正月期間中に誕生日を迎える。
当店でディナーをお願いできれば願っても無い幸運である。
今回は、予算を伝えた上での、シェフお任せコース料理の記録です。
リザーブしてくれた席は、いつものカウンター席。
テーブル・セッティングは、夜仕様。変りがないため、省略する。
コース料理は、一部を除き、各自分での提供。
サーブ時に説明を受け、取り分けが必要なものはセルフ。
また、乾杯のため、スパークリングでプリヴァット・ブリュット カヴァ@5,200 をフンパツ。
すると、卓上にワインクーラーがセットされた。

前菜3種
仕切り皿に盛り付けサーブ。

①花咲クラゲの冷菜・・・クラゲの傘の大ぶりなところをざっくりとネギ塩ソースで。
山クラゲのピリ辛炒め煮、大根の甘酢漬けを添えて。
②牛スネ肉の冷菜・・・風味の良い香菜とナッツのソースで。下には野菜のマスタードソース和えも。
③ピータン豆腐・・・下層に豆腐。ピータンソースを挟み、上には烏骨鶏の皮蛋、刻みネギ。
仕上げに散らされた辣油が味のポイント。混ぜ合わせるようにいただくと美味し。
味の変化をつけ、ボリューム感もある前菜盛り合わせに心が浮き立つ。

喜臨軒名物 手切り豚肉と天然海老のシューマイ
ランチで必ず別注文する、別名“キングオブシューマイ”
は自身の大好物。
そのため本日のコース料理にも組んでくれたのだろう。感謝。
(寝太郎) いやあ!久しぶりに食べたけれど、シェフのシューマイは超絶美味いよ。
肉の旨味がぎゅぎゅっと詰まって、さすが、絶対のエースだね!

蟹肉の春巻
きつね色にからりと揚がった蟹肉の春巻には、好みで使えるようマスタードがセット。

(レンタロー) んん?中の餡、色味が濃いで。

噛むと、ぱりぱりと心地のよい音をさせ、とろりとした餡が出てきた。
味噌も入り、蟹味濃厚。
聞くと、上海蟹、タラバ蟹、ズワイ蟹のミックスなのだそう。濃い目の味つけだが、リッチだ。
これにはマスタードは不要。手づかみでかじりつく。
上海蟹はもう食べる機会がないものと思っていただけに、感激もひとしおだった。

カキの香り炒め
衣をつけて揚げたカキを、朝天干辛椒(朝天唐辛子)・鷹の爪・山椒・ニンニクなどと炒め合わせ、
味付けには黒酢などを使い、香りと辛味に程よい甘酸っぱさとコクをつけている。

(ノブロー) おお!シェフは四川料理の修業経験もある言うてたな。

衣はかりっと、カキはふっくら旨味濃厚。
巧妙なスパイス使いで、山椒の痺れる辛さが味をきりっと引き締め、比較も憚られるが
中華定食テイストと一線を画するクオリティだ。
特色鮮明!旨辛痺れは恍惚の味わい。酒にも合うので、次は紹興酒(ボトル)を注文。

上海蟹甲羅詰めオーブン焼き
上海蟹!再び!!
タマネギ、キノコも入って、熱々を口に運ぶと、蟹濃度が高く、甘みがしみじみと美味い。
優しい味わいのオーブン焼きだ。

干しなまこと2種鮑の煮込み(2名分)
2種類の鮑は、エゾアワビと干しアワビ。ほか、青菜、タケノコ、干しシイタケ、ネギ。
高級乾貨、干しなまこと干しアワビを使った本日のスペシャルは、片手鍋での提供。
オイスターソース、醤油などで調味。じっくり煮込まれたシェフ渾身の料理!
凝縮した旨味と独特の食感を堪能できた。感謝の念に堪えない

(ノブロー) 正月3日はまだ市場も休みだで、管理人好物の鮮魚は入荷できねえ。
そん中で献立を考えてくれたんだ。力を尽くしてくれただ。ありがてえことだよ。
皆さんに、オラも礼を言うだ
美味かっただ。

香港風シチュー(2名分)
予約するにあたり、(市場の関係上)自身は、手に入る食材で、
素朴な家庭料理っぽいものでOKと話していた。
街場感ものぞかせる香港風シチューは、自家製腸詰、自家製干し肉、フクロタケ、
アヒルの塩漬けの代わりに手羽先、タロイモの代わりに京芋とアレンジをきかせ、
生姜、ココナッツミルクなどで調味したコクがあって、お腹も心もほくほくと温まる
冬が似合う土鍋料理になる。

(レンタロー) この香り、香港を感じさせるだなー。
(寝太郎) 手羽も力使い果たしてなくて、ジビエのような味の濃さ、歯触りがあったよ。

広東風ちまき
「食堂料理っぽいかもしれませんが……」とシェフ。

いえいえ、ハスの葉の柔らかな香りがうつる蒸しご飯は、お正月感も味わえ、大歓迎。
――よい香りだ。
具材は、カットしたエビ、チャーシュー、干しシイタケ、干しエビなど。
家庭料理的な味わいの中に、品の良さがある。ボリュームもあって、お腹も満たされた。

デザート3種
馬拉糕、あん入り胡麻団子、杏仁豆腐は、桂花(金木犀)香りをつけたシロップで。
プレートにはチョコレートで“Happy Birthday”の文字が――。
寝太郎さんのものに比べ、はるかに大きい馬拉糕にはバースデーキャンドル。
嬉しいサプライズだ!
手作りの温もりがひしひしと伝わってきた。何物にも代えがたい素晴らしいご馳走だ。
正月早々、流通等が万全ではない中、諸々の配慮と工夫。至極感激した。
趣向を凝らした本日のコース、メニューを構成するにあたっては当方の好みなども
念頭においてくれたのだと思う。味に振幅があり、料理によっては男っぽさを感じさせる
ダイナミックさもコントラストが利き魅力的に楽しめた。
ゴオォォォォーーー!!ボヴォォォーーー!!ジュゥゥゥー!!カンカンカン!!
厨房内のサウンドが食をそそる。このライブ感が私はたまらなく好きだ。
当店、お正月の営業も大盛況。
満席でタイミングが合わず、お客様をお断りする場面もあった。予約は正解だった。
アラカルトも良いが、予算を伝え相談のうえ、シェフのおもてなしの心の入った
お任せコース料理が楽しいと思う。
喜臨軒 (キリンケン)
東京都世田谷区池尻3-2-5 コンフィアンス流来 B1F
TEL 03-5787-6982
営業時間/ 11:00~14:00 (L.O)18:00~22:30(L.O)
定休日 日曜(但し、第1日曜日のみ営業)
※中国料理満足度数は5.0 (*^・^)ノ特別。