温故知新中国料理 「喜臨軒」(キリンケン) 定期再訪→前回。
某日はディナー訪問。
予算を告げ、リクエストはコース料理に紅焼魚を入れ、お任せでお願いした。
リザーブした特等席は、カウンター中央のシェフズテーブル。
厨房を前にするカウンター席でも棚がないこの位置ならば、ダイナミックな作業工程を
観ながら食事ができるし、シェフとの会話も楽しめる。これもご馳走の一つである。
テーブル・セッティングなどは、変わりがないため省略。
当店、卓上への菜譜の用意はなく、サーブ時に口頭説明を受けるスタイル。
料理は、基本的に各人ごと のポーションで供されるが、紅焼魚は大皿のため
各自での取り分けが必要となる。
(レンタロー) シェフー!オラだよ。 今日はよろしゅう頼むだあ。
私達同様、当店が大好きなブログマスコットの必死のジャンプ。この子も楽しみにしていたのだ。
今日は、きりんさんの底力が見れるはずだからね!
ドリンクは、ザ・プレミアム・モルツ樽生@600×3からスタートし、
ヴェルデホ(ボトルワイン白)@3,400×2に進行した。
拼盘(前菜)
①押し豆腐の和え物・・・豆もやし、ニンジン、キュウリを合わせた中華風のサラダ仕立て。
単にゴマ油で和えたものではなく、まろやかでミルキーな味わい。
②蒸し鶏の冷菜、香菜とカシューナッツのソース・・・しっとり蒸し鶏の下には茄子。
コクのある自家製ソースは様々な食材に応用がききそう。
③スルメイカ、サーモンの紹興酒漬け・・・漬け加減良好。
イクラとカブも加勢し、個々の素材の味も楽しめ、おつまみ力も優秀である。
夏香海胆春巻(夏の春巻)
自家製の辛味ソースもセットされる。
きつね色に揚がったパリパリの皮を噛むと、中は、ウニ、マッシュ状につぶしたソラマメ、
茄子とトマトの炒め、という3種構造。これだけ個性豊かな夏の素材が入っているのに
味が衝突せず均衡がとれているのは素晴らしい。
それぞれ調味を控えており、酸味と辛味の効いた自家製ソースを活用することで
味に立体感が生まれる。シェフの感性が光る独創性に富んだ春巻きだった。
鲍鱼焼売(エゾアワビ姿煮のせ鮑焼売)
(レンタロー) “クイーンオブシューマイ”だで。会いたかっただあ~。
ブログマスコットが勝手に命名した“クイーンオブシューマイ”(エゾアワビ姿煮のせ鮑焼売)。
最近は、お客様にもじわじわ認知されてきたらしいが、この焼売は処理にたいへん時間を要し、
トップの姿煮は程よい柔らかさを念頭に置いて、肉餡に入れるカットアワビはシコシコとした
歯触りを大切に丁寧に作られている。
まろやかでコクのある特製海鮮ソースでコーティングされた鮑焼売を頬張ると
その贅沢な美味しさに酔いしれることでしょう。
(寝太郎) キングもいいけどクイーンも好きだ。これは食べる価値ある焼売だよ!
介虫三兄弟
「甲殻類の三兄弟ということで……(笑)」とシェフ。
(寝太郎) 団子三兄弟ならぬ甲殻三兄弟か~!シェフ考えてくれたなあ。
①北海道産、背子ガニの五目甲羅詰めオーブン焼き・・・上海蟹(小)の殻に詰めた
五目オーブン焼き。中身は背子ガニ(ズワイガニの雌)、干しシイタケ、
ベビーコーン、エビ、貝柱などで、マカオ風のカレーテイスト。
②熊本、荒尾漁協、マジャクの唐揚げ香港風・・・マジャクはシャコに似たヤドカリの仲間。
殻が柔らかいので唐揚げにし、「避風塘」風味のスパイシーな味付けで調理。
さくさくぱりっとした香ばしい殻に、身はしっかり詰まってホクホク。味はエビに近いかしら。
これは甲殻兄弟の会心のヒット!定番メニュー化してもらいたいなあ。
聞くともう少し早い時期だと卵を卵を抱えているのだとか。超絶悔しい!!
③淡路島、川津エビのピリ辛強火炒め・・・軽く粉をふりさっと揚げた川津エビはそのもの
自体の味が濃く、これをインゲンなどと炒め合わせているが、紹興酒が風味づけにもなり
香りが良く、ぴりっと甘辛い。
(寝太郎) それぞれに味を違えて、手間をかけてくれてるなあ。
甲殻三兄弟、インパクトあるよ。
二吃猪腩
「腩」は、ばら肉を示す。今度は1つの食材で二つの調理法(味)を用意されていたようですが、
厨房に吊るされた臘腸(腸詰)も食べたいとその場でリクエスト。
こうして並んだのが自家製の腊腩肉(干し豚バラ肉)、脆皮燒腩肉(皮付豚バラ肉の
クリスピー焼き)、臘腸(腸詰)。
なかでも、皮付き豚バラ肉をローストして、皮目をカリカリにしたクリスピー焼きは
シェフの気まぐれにより作られるもので、その頻度は高くないらしい。
(寝太郎) うぉぉぉぉー。すげえ!シェフの本気を感じるよー!
調味料は、豆板醤、特製の香菜とナッツのソース、椒塩(山椒塩)の3種。
薬味のセロリは山椒オイルで和えている。
クリスピー焼きは、塗り込む塩に注意されたようで、気負いのないベストな味加減で
かりっとした皮目としっとりふわっとしたバラ肉が食感の対比として捉えられ
噛みしめ溢れ出す肉の旨味が満足度を高める。
また、腐敗の心配があり、本来この時期には作らないという干し肉は、熟成を控え目に
あまり乾燥させずに提供され、そのため、以前とは異なるジューシーな美味さを楽しめた。
欲張ってお願いした腸詰もスパイス使いが甘すぎず良好である。
红炆韧鱼段(2名分)
「お魚の煮込みということだったんですけれど、他の料理も召し上がっていただきたいので
姿ではなく切り身でご用意させていただきました。」
魚はぶつ切りで、先ほどの腸詰や干しシイタケと一緒に醤油で煮込み、味に深みをつけている。
(レンタロー) シェフとお魚当てクイズしただよ。ヒントは、小骨が多くて美味しいだ。
(寝太郎) んんっ。好味骨多??何だろう。
正解はウツボ。丁度200gぐらいの大きさのものを仕入れることができたそう。
魚はカサゴやオコゼ、イシモチも考えたそうだけれど、つまらないのでは?と、
シェフが昔お世話になった料理長(香港人シェフ)と訪台した際、まかない料理に出た
スープの魚(ウツボ)をヒントに、红焼炆で提供してくれた。
身がしっかりして、ゼラチン質が多く醤油味と好相性。
きっとこれはスープでもがっちり味が出て、美味いんだろうなあ。
(寝太郎) ウツボはじめて食べたよ!美味い。翌日お肌が、トゥルントゥルンだね。
蜆仔海苔湯麺(宍道湖シジミと生海苔のスープ麺)
実は島根県宍道湖でも区画によってシジミの美味しさに違いがあるそう。
極上品は市場ではなかなか手に入らないらしいが、本日のものも負けていない。
こってり煮込みのあとはあっさりで、別腹起動ー!
謙虚で頑張り屋さんなシジミの出汁が優しく胃袋をリセットし、ふわりと香る生海苔の風味が
心地よい浜風のように心を落ち着かせる。このマッチ力は鉄板です。
(寝太郎) 海のものコンビ!胃が浄化される感じで酒の〆にもいいね。
甜品(デザート)
①ジャスミン茶風味の蒸しカステラ(馬拉糕)、②黒胡麻プリン、③黒胡麻のお汁粉(冷)
作り手の温かい人柄を感じさせる癒しのデザートで、食事を終える。
酒は、グラス紹興酒、レモンサワー、グラスワイン(ハウス)などを追加して、
お会計は、1人当たり11,000円(千円未満四捨五入)
心を込め丁寧に作られたメリハリのあるコース料理にシェフの本気が感じられ、
今宵も満足度の高いディナーとなった。感謝であります。
さて、当店7月末でスタッフさんが一人卒業されてしまうとのこと。とても寂しいけれど
また新しいメンバーを迎えることだろう。その日を楽しみに定期訪問は欠かさぬようにしたい。
喜臨軒 (キリンケン)
東京都世田谷区池尻3-2-5 コンフィアンス流来 B1F
TEL 03-5787-6982
営業時間/ 月~土 11:30~14:00 (L.O)18:00~22:15(L.O)
日・祝のみ~21:00(L.O)
定休日 日曜(但し、第1日曜日のみ営業)・月曜日ランチ
※中国料理満足度数は5.0 (*^・^)ノ特別。 断然定期訪問。