ロシア料理「サラファン」
御茶ノ水駅より徒歩7分ほど。
駿河台下交差点方面へ向かい、手前の道を右折するとすぐにグリーンの電飾看板を見つけられた。
お茶の水で40年という歴史のある当店は振天堂ビルB1。
表には、当店の看板料理が組まれた“小さな壺焼きセット”が手書きのボードで紹介されている。
「これ、ロシア料理を代表するものだよね!」
ロシア料理について素養がないため、連れ(寝太郎さん)に確認しつつ、細い階段をおりていくと、
フロアサービスにあたっていた店主より「いらっしゃいませ」と声掛けを受ける。
ちょうど先客が上着を脱ぎ、ハンガーにかけていたので、私達もそれに習う。
「段になっていますので、お気をつけください」 案内を受け店内に足を進めた。
某日は席のみの予約。店内に足を進めると、左手の厨房にはコックさんが2名。
ぐるなびによると総席数19席という小体な造りで、地下ということもあり、隠れ家的雰囲気。
店主が机をひいてくれ、一番奥の片側ベンチソファのテーブル席に着く。
柱時計が、ボーンボーンとゆっくり時を刻む。
視線を移すと、その上には招き猫(守り神?)だろうか……。
通常なら席の間隔も狭く、窮屈さを感じるところが大人の遊び心もうかがえるレトロな趣き。
BGMには静かにクラッシク音楽が流れ、神保町エリアに根付く文化の香りを当店に実体感する。
卓上のクロスは、布(2)、ビニール、ペーパー。
テーブル・セッティングは、ナイフ、スプーン、フォーク、ペーパーナプキン、ゴブレット。
着座後にメニューと消毒用のハンドジェルをもらう。
注文はアラカルトで、店主のアドバイスも参考にチョイスした。
お酒は、ロシアビール(バルティカNo.3 500ml)@1,000
などからスタートし、ワインに移行。 その際、
「さっきの(料理の)ラインナップでしたら、赤でも白でもどちらでもいけますよ」ということなので
通常メニューにあり、私達の手の届くお値段のものでと、リクエスト。
店主は、シュバリエ(ワイン騎士)の称号を持っているので、安心してお任せできるのだ。
・アルザス(南フランス)(白)@3,800・・・香りは甘いけれど、さっぱりとした味わいで食事を邪魔しない。
ブドウを3品種混ぜているとのこと。
・シエナ(ルーマニア)(赤)@4,500・・・濃縮された味わいで力強いけれど、渋みはなし。
もちろんワインはお店で管理してくれる。
サーモンの自家製マリネ 蕎麦粉のクレープ添え@900
身質の良いサーモンの中央には、素朴な食味を添える蕎麦粉のクレープ(パンケーキ)。
サーモンマリネといえば、オニオンとケッパーと疑いのない自分たちにとっては新鮮な発見!
オレンジ色に艶めく脂ののったサーモンマリネを口に含むと、とろけるような美味さ。
思わず頬が緩んだ。パンケーキともマッチする。
(ノブロー) 素材の旨味を直球で投げ込んでもろうただ。久々の洋食、こりゃあ、先が楽しみだでぇ。
ブリンチピロシキ(挽肉のクレープ包み)@500×2
ブリンチピロシキ?それって何?
クエスチョンマークの多い私達が興味を持って注文したのがこちら。
目にも優美な出で立ち。
聞くと、ピロシキにもいろんなスタイルがあり、これはその一つ。
フライパンでクレープとほとんど同じ素材の皮を1枚ずつ焼いて、その中に包んでいるのだそう。
たいへん手間が、かかっているのだ。
脇にザワークラウトと粒マスタードを従え登場した。
(ノブロー) ナイフとフォークの似合うお洒落なピロシキだで。
クレープの層が美しく、格式の高ささえ感じさせるブリンチピロシキ。
挽肉の間にキラキラと光るものは、春雨なのだそう。
ロシアだと鮭のスジを干したものを入れたりするらしく、その代用で使われているとの
ことだが、違和感なし。余計な味のしないナチュラルな味わいで、品が良く、美味しい。
(寝太郎) 歴史に培われたオーソドックスなものをちゃんと守っている感じがあって
必食の逸品だね。これは、ワインが進むよ。嬉しいなあ。
ボルシチ お野菜がいっぱい健康いちばん@900×2
「ボルシチは絶対おすすめです。」 アドバイスを受けチョイスした1品。
サーブ時に、その濁りのない美しい色味に2人とも目が釘づけになる。
「中央のサワークリームを溶いていただいて、ピンク色にしてお召し上がりください。」
(寝太郎) 最初から溶いてしまう感じですか?
タイミングはお好みでという返答をもらい、まずは溶かずに味わう。
――う・美味い!!
魂を揺さぶられるようなクリアで豊かな味わいに、連れともども歓喜した。
もとの出汁がきちんとしているのは当然ながら、野菜の柔らかい甘みが、
味に奥行を加え、美麗な見た目どおり、圧巻の美味さだ
(ノブロー) 丹念な仕事に裏打ちされた味だな。雑味がねんだよ。すげえ。
次に溶いて味わう。味の変化がでた。コクが増す感じで、2度美味しい
また、ここにパンを浸して食べる。お楽しみがいっぱいなのだ。
三十五年間不動の定番 お米入りロールキャベツ@1,600×2
「ロールキャベツもおすすめですよ。」 こちらもアドバイスを受けチョイスした1品。
(寝太郎) うぉぉぉーー!肉だ肉!ん、ん、んっ、すっごく美味しい!
寝太郎さんのツボを直撃した不動の定番
ナイフを入れると、ライスコロッケのようにお米がもりもり出てくるのかと思ったら違っていた。
米はしっとりと旨味を残した肉の中に点在している感じで、ガツンとボリュームがあり
メインとして力強さ十分。出汁もしっかり感じられる。
トマトベースのソースに、上にはサワークリームをソースとして合わせたものかしら?
一見すると濃厚そうだけれど出汁がしっかりしているので、味に嫌みがなく、
食べ進むにしたがい、甘味と滑らかな酸味が混じって感動的な旨さ。
付け合わせの人参、シイタケ、ジャガイモたちも、私達を幸せな気持ちにさせてくれた。
(ノブロー) ……フランス公認のカエルか?!おめとは、どこかで会った気がするだ。
(レンタロー) 店のあちこちにカエル居るな。おめ、ここのマスコットだべか?
さて、当店の壺焼きにも興味津々なわけだが、今宵はこれまで。
お腹も満足したのでデザートも含め、お楽しみは残しておこう。
会計はテーブルチェックにて。
1人当たり9,000円(千円未満四捨五入)
「どうもありがとうございます」 店主が笑顔で見送ってくれる。
ハートのある接客は、最後まで好感度の高いものだった。
今回、自身にとって、7年ぶりのロシア料理。新しい発見がいっぱいあったように思う。
お茶の水で40年の歴史。現在の店主に代わっても、その味は守られ続けているのだろう。
シンプルと思える料理も、実はとても手間をかけ丁寧に作られているのだ。
この安心感は高く、長く愛されている理由がわかった気がした。
伝統料理とワインのマリアージュを極めたロシア料理店。こちらには、また、お邪魔したいなあ。
サラファン (CAPAFAH)
東京都千代田区神田小川町3-10-3 振天堂ビル B1F
TEL 03-3292-0480
営業時間/ 月~金 11:30~13:30(L.O) 18:00~20:30(L.O)
土 11:30~13:30(L.O) 18:00~19:30(L.O)
定休日 日・祝 -店舗情報「食べログ」より-
※ロシア料理満足度数は、4.3~5.0
サラファン (ロシア料理 / 神保町駅、新御茶ノ水駅、小川町駅)