さて、やらねば~と思いつつのびのびになった久しぶりの5紙比較をしてみた(今回は日経は省略)。
昨日(10/5)、その前日(10/4)のミサイル発射を受けて新聞の朝刊を買ったのだが、なんと今朝(10/6)も北朝鮮は2発のミサイルを発射したという。今年はこれで今年になって26発となる。
だいたい5紙を読むと、共通しているのが、
1.政府発表の断固として北朝鮮に抗議をしたということ。そして、これから米国、韓国と足並み揃えて、これに対抗しようとしていること。
2.自民党の中には「防衛力を強化しないといけない」「あらゆる選択肢がそこには入り、(「敵基地攻撃能力」=「反撃能力」)が必要」という主張があり、それが今も主流を占めていること。
3.軍事行動をエスカレートしている北朝鮮。国情院(韓国の国家安全保障に係わる情報・保安及び犯罪捜査などに関する事務を担当するために大統領直属で設置された情報機関)の見方では、中国の習近平の顔を立てて、しかも、バイデン米政権が成果をあげられないように、10月16日開幕する中国共産党大会と、バイデンの中間選挙のある時期のちょうど間に、北朝鮮が核実験を実施するのではないかと憶測されていること。(その結果、北朝鮮にとっては、少なくとも「交渉のテーブルにはつこうとするトランプ」に選挙で有利になる可能性が起きる)
このあたりは共通認識とした記述になっている。そして、実は、今回は5紙の中で、産経と読売は自民党の敵基地攻撃能力に乗っかったどころか、それを押すような主張があり、怖さが増した。
<北朝鮮のミサイルを「日本への脅威」として利用し、日本を軍拡の道へ移行させていく動き>をマスコミがどれだけけん制できるのか、心配が強くなった。政府の発表をそのまま出していて、2にあるような「反撃能力」をつけようとする動きへの強い懸念が伝わってこなかったことに、危機感をもった。
戦後77年たって、日本人には戦争の悲惨さや怖さがまったく理解できなくなっているのか。
ウクライナの悲惨な戦禍をみて、「ひとたび戦争が始まってしまうと、正義があってもいかに国民が犠牲を強いられるか」、一方戦争を仕掛けた国の国民は自分たちが火の粉をあびるまで、いかに反戦に動かないものなのか。ロシアの反戦の声は非常に小さく思えた。
国際社会の非難も経済制裁もほとんど効力を発揮せず、戦争は長期化して、いまだに先が見えない。
日本の歴史を繰り返しているようにさえ見えるウクライナ戦争。
太平洋戦争で、沖縄上陸、本土に空襲が来てもなお戦いを止めず、広島/長崎に原爆投下されてやっと終戦となった日本。ロシアもそんな惨めな敗戦に至るまで、戦いを止められないのか。日本人は、酷い戦争を最後の最後まで自分たちでは止められなかった。ロシアもいま、逃げ出した人が20万人を超えたと言われるが、戦争を止める強力な内部の力をもてないで、長期戦で最悪の事態を迎えるまで自分たちでは戦争をとめられないのか?
逆に一部のロシアの軍人からは、核の使用の声まで出ているとのニュースも、耳にはいった。
そんな中、戦争の実相が分かっていない国民に、ミサイルが高度化してきていると恐怖を煽ることはしても、それなら軍を強化しようという政府の話を右から左へ垂れ流している新聞が多いことに驚いた。どうしたことか?
産経新聞の「主張」では、「北の暴挙拒む体制をとれ」(クリックするとネットで全文読める)と、<反撃能力保有の方針を早急に固め公表すべきだ。一部野党や中国、北朝鮮は反発するかもしれないが、臨時国会などを通じて堂々と必要性を説けばよい><「重大かつ差し迫った脅威」が現実化した事態で、Jアラートに不備があったのは問題だ。ただちに是正してもらいたい。退避施設(シェルター)不足も解消していない。警報で住民が避難しようと思ってもシェルターが足りないのは平和ボケした政府と自治体、国会の怠慢である>などと、「平和ボケ」と、現政府まで非難するという危険な主張を繰り出している。<一部野党や中国、北朝鮮は反発するかもしれないが>と書いているが、まさに自分たちが北朝鮮の挑発に乗った行動をしていて、相手は冷静にそれを受け入れると思うのか? 相手も、これで交渉のテーブルに他国をつかせようと意図しているとの見方もあるようだが、向こうも馬鹿だが、受けて立ち軍拡すると主張する方も、その愚かさを分からない「平和ボケ」そのものだ。戦争の実相をしらず、今のウクライナを見ても学べないなんて。
武器で平和を構築することはない。武器は人間の「死」「憎しみ」「恐怖」「不安」しか生み出せないものなのに。
読売新聞で「防衛力強化議論加速へ」として、<最近の北朝鮮のミサイルがレーダーやミサイル防衛網をかいくぐる低高度、変速軌道が目立つ。今年に入って音速の極超音速ミサイルの発射も繰替えされていて、迎撃困難なミサイルに核が搭載されれば格段に脅威レベルがあがる>と困難なことを認識しつつ、解決を「反撃能力」「防衛力強化」「抑止力」に求める政府の見解を出してお終い。こんな政府の話の垂れ流しの新聞が、日本で一番読まれているということが怖いと思えた。
そして、5日の社説は、今回のミサイル発射で迎撃措置がとられなかったが、Jアラートは一部で発せられたが問題があったことをやや問題視している位だったが、調べると読売新聞は9月30日の社説でココで、産経新聞と同じで「韓国は北朝鮮のミサイル発射の兆候を探知した場合の先制打撃、独自の迎撃、報復攻撃――の三つの能力の拡充を進めている。日本も、北朝鮮の攻撃に対し、相手方のミサイル基地などを壊滅させる反撃能力の保有が急務だ」と書いているのに気づいた。その社説に気づいて、また5日の新聞を見直すと、「論点スペシャル」で「北ミサイル通過 狙いは」というところで、「北朝鮮の攻撃に対する準備強化」を図ろうという2人の人の意見と、「有事のために、国民のための避難施設やマニュアルなどの整備を進めよう」とする意見1人が大きく載っているのに気づいた。つまり、読売新聞は、反撃能力の保有を進め、逆に国民の身に危険が及んだ時には避難の方法を準備という考えに立っていることがしっかり浮かび上がった。武器で平和が作り出そうという間違った方向に産経新聞と同じで読者を誘導しようとしているのだ。怖い!!!
毎日新聞も 「政府、防衛力強化急ぐ」(反撃能力」求める声も)と、今回の毎日新聞は、意外にも自民党の人の「撃たれたら撃ち返す能力を持っていなければ、こういう(挑発される)状態が続いてしまう」とか、もっとひどいのは、佐藤正久副外相の「北朝鮮はミサイルを撃ち落とす能力がないので、自国にミサイルが飛んでくることを警戒している。つまり抑止が利く可能性が十分ある」など、根拠もない「抑止力効果」の話を新聞社としての意見も書き添えずに記事として垂れ流して伝えていて驚いた。(政府の人間がこんなことを言っている。)で止める記事は、言ったことは事実でも、間違っている。新聞は、隅から隅まで読まれるとは限らない。政府の言い分を伝えただけの記事だけを読んで納得する読者を生み出す危険性がある!
毎日新聞は、別のページで、「ミニ論点」というコーナーで磯崎慶応大教授の「日本は強いメッセージを出すのみならず、米国に北朝鮮と交渉を進めるように働きかけることも重要」と述べてあるのと、社説で「危機高める北朝鮮の暴走」として、浜田防衛相の「反撃能力を含め、あらゆる選択肢を排除せず検討する」の言葉に、「専守防衛との整合性屋抑止効果など地に足の付いた議論が求められる。外交面を含め、日米韓の連携強化と、ぎくしゃくしていた日韓の協力体制の立て直しが急務。日本が中国へ北朝鮮に自制を促すように働きかえるべき」との意見を書いていたので、産経や読売とは同列ではなく、救われるが、政府の意見のところでも、垂れ流しで書くのはまずいやり方だ。
朝日新聞は、元気がないと感じた。さすがに政府側のこのミサイル発射を利用して防衛力強化を声高にさけぶ声を垂れ流しはしてなかった。しかし、北朝鮮の変速軌道飛行や超音速ミサイルを、複数、しかも、発射も鉄道車両や潜水艦から発射を可能にするなど多様化して、さらに核兵器も小型化。非常に防衛が難しくなっている。さらに、その北朝鮮を抑える力が国連安保理にはなく、いっしょに北朝鮮を非難・制裁したロシア・中国が、制裁から抜けてきて、先が見えないと憂いと嘆きの声。「ミサイル抑止 手詰まり」では、小野寺元防衛大臣が、「反撃能力について1日も早く明記することが抑止力につながる」という言葉に、力強い反対ではなく、「ただ、敵のミサイル発射拠点を狙うには高度な技術と多額の費用が必要。仮にこうした能力を備えても、北朝鮮のミサイル発射を思いとどまらせる抑止力になるか疑問視する声は少なくない。と、何だかお腹に力の入っていない、批判というより、これも「憂い、嘆き節?」 なんだこれは??? と思わされた。社説についても「北朝鮮の挑発を敵基地攻撃容認に安易に結び付けようとする動きがあるが、立ち止まって慎重に考えるべきだ」と全然迫力がなくて驚いた。敵基地攻撃なんて、トンデモナイ!!!と明確に言いきれないなんて、何を考えているのか。元気を出して、しっかりしろ朝日新聞!
そして、最後にやっとまあ評価できたのが、
東京新聞でした。朝日同様に、政府側のこのミサイル発射を利用して防衛力強化を声高にさけぶ声を垂れ流しはしてなかった。ただ、<「敵基地攻撃」でも対処難しく>という記事を読んでいて、政府がいっている「敵地攻撃能力を保有したとしても、北朝鮮のミサイル攻撃を完全に防げるのか不明だ。」と書いてある箇所には、がっかり。不明だなんて書くくらいなら、ちゃんと調べてほとんど無理だと情報提供するのが報道だろうと、つっこみたくなった。<「迎撃ミサイルで攻撃を完全に防げるなんて、絶対言えない」という立証は可能なはずだ>と私は思う。なぜなら、技術はいたちごっこで、日本が今のミサイルに対応する防衛力をつけても、相手がそこで留まる訳がなく、さらに技術を磨いていくからだ。
ただ、その後に稲田元防衛相の「反撃能力を持つべき」と述べたことと、毎日新聞に出ていた佐藤正久の「抑止力」について、こちらは詳細を語らずにその抑止力の考えの反論として、<だが、自民党のベテラン議員は「何発も発射されたら日本は迎撃できない。今は外交努力をいかに頑張るかなのに、党の会議では国防の意見ばかりだ」と懸念を示す。>と、付け加えているところが、毎日新聞と違い救われた。
自民党でもまともな人がいるなら、そういう人たちは自民党で強く主張するか、ダメなら離党して新勢力を作ってほしいと、ここを読んで思えた。
また、さらに社説でも「日米韓連携で抑止図れ」として、「北朝鮮の挑発に国際社会が結束して封じ込めを図る一方、対話の糸口も見つけるよう努めること。隣の中国にも友好国を止める責任がある。対話を通じて北朝鮮を国際社会に引き戻す努力を怠ってはいけない」と本道が外交にあることを喚起していた。
さらに、他の4紙と大きく違ったのは、「ウクライナでは、ロシア軍が原発を攻撃しており、安全保障上のリスクが顕在化している。日本国内には廃炉や未稼働施設も含め計60基の原発がある。ミサイル発射では政府がJアラートで国民に避難を呼びかけたのは、日本上空を通過する2分前。国民の避難も難しい状況だ」と、原発を保持し続けることが、核弾頭を国内で用意しているような非常に危険なことだということにしっかり言及しているところが、他紙より抜きん出ていた。
しかも、「こちら特報部」で、「警報出ても避難の時間なし」という大きめの記事をさらに書いて、Jアラートが国民に不安な気持ちを巻き起こさせるだけで、避難の時間はなく、実効性がないこと。敵基地攻撃論が際限のない軍拡や、現行憲法の専守防衛体制に変更を迫るものである指摘していたのもよかった。
東京新聞が、いちばん5紙の中では発行部数が少ないけれど、いい新聞記事を書いていると思った。東京新聞がしかも一番安くて手軽に読めるのに、なぜ、もっと東京新聞の読者が増えないのか、不思議だ。
5紙を読んでの感想は、読む新聞によって開きが大きい怖さをどれくらいの人が意識しているか、心配になった。
今、統一教会問題で自民党が「自由も民主主義からも遠く離れた」「国民から、まったく離反したうそつきの自己保身にしか頭のない政治家集団」だという事実が露呈した日本で、<以前の選挙前に北朝鮮のミサイルで森友・加計問題をごまかして嘘、改ざん、資料隠しで切り抜けた自民党を、今度はもうごまかすわけにはいかない!!!!>という報道機関としての強い決意が感じらなかったこと。産経、読売は、統一教会の問題がわかっても、相変わらず政権よりで呆れた。かえって、政権以上に敵基地攻撃能力には前のめりのようなのが怖い。
2017年衆議院選挙に勝利したことを、麻生副総理兼財務相が「自民党が大勝した先の衆院選結果について『明らかに北朝鮮のおかげもある』と述べた」(ココから)のを、新聞に携わっている人たち、新聞を読んでいる人たちはぜひ忘れないでほしい。
北朝鮮のミサイルで日本が脅かされて、またもや日本の将来の選択を間違えないようにしなくてはならない。
「『北朝鮮のお陰』で選挙に勝てたというような政治家が大臣職に突き続けられるような政権」、「統一教会のお陰で選挙に勝てたといえそうな議員がたくさんいる政権」に、一刻も早く決別できるようにしないで、どうやってこれから子ども達にまともな日本社会を手渡せるのですか? 「嘘つきの政治家が、平気で嘘をついて居続けられる国会」なんて、子ども達に恥ずかしくないですか?
統一教会の問題を元首相の殺害事件がなければ弁護団や、鈴木エイト氏や、中村敦夫さんや多くの人たちが訴え続けてきたのに、報道をせずにきたマスコミの関係者の方々。この長期政権、嘘とごまかしと、北朝鮮のミサイルと、統一教会に支えられてきた政権を「たたき直して?」または「たたき出して?他のまっとうな政党」に変えて日本の将来を立て直せるかどうか、日本はいま大事な岐路に立っている自覚がなさ過ぎます!!!!新聞に関わる人に、心底性根を入れ替えて、まともな報道をしてほしいと思います。
科学的に、今の状態で迎撃など不可能です。可能であってもそれが、国民の生活への予算を削って行われるなんて、あってはならないことです。ひとたび、迎撃能力が高い軍備が実現しても、相手国を刺激して、さらなる軍拡を呼ぶだけです。
「世界平和」や「SDGs」と、それは真逆の方向になるのは目に見えています? 持続可能な世界を目指すと口にする人間が、人間を殺す兵器に多額の費用と資源を使うことを許していて何がSDGsですか。笑わせないで下さい。
兵器を拡充する「防衛費増大」、「敵基地攻撃能力」をいう政府も、その言動を批判抜きに垂れ流しするマスコミも、SDGsを口にする資格はありません!!!! 子ども達に、きれい事のSDGsの嘘は見抜かれます。
「何よりも大切な人命を失い」「憎しみと悲しみを生み」「平和な街を破壊し」「地球を汚染する」兵器を増強する行為が、持続可能な地球のゴールにいちばん排除しなくてはいけないこと。
そんなことも分からない人には、「SDGs」を口にする資格はありません。
冷戦から「抑止力の考えの嘘」を学ばなかった人類には、破滅の道しかありません。
読売新聞は、元文科省事務次官の前川喜平さんを貶める週刊誌まがいの記事を載せたあたりから、本当に報道の筋から離れた新聞に落ちてしまったと思います。読売新聞を、「日本の代表的な新聞だから」という理由で特に他の新聞を読んだ経験がなく読んでいる方は、東京新聞の方が安いですし、ぜひ一度比較して読んで見ることを強くお薦めします。
「なんとなく、他の党よりよさそうだ」と思って今の政権を支持してきた方も、統一教会の問題でさすがに「おかしいぞ」と思えたのではないでしょうか。産経新聞、読売新聞も、あなたが「SDGsの動き」や「平和」を愛し、日本がロシアのようになりたくないと思うなら、「他の新聞よりよさそうだから~」という思い込みを一度疑ってみることをお薦めします。ちょうど、偶然にも、10月5日の読売新聞の14,15面はSDGsがらみの宣伝とSDGs@スクールの特別面になっていました。私は、読売新聞がSDGsなんて掲載する資格は、まったくないと思います。