今朝の朝日新聞の土曜版のフロントランナーは、弁護士の紀藤さんでした。ココを見ると写真がでていますが。紀藤さんの事務所にある「正義の象徴」の女神テミスの彫像が後ろに見えています。その像は最年少の依頼者からのプレゼントだそう。「出会った時は小学4年生の男の子で『牧師が暴力を振るうので裁判をしたい』と言ってきた。その後、母親と入信したカルト集団から一人離れ、社会人になった初月給で贈ってくれました。このあいだ結婚し、子どもも生まれた」とのこと。
外国映画でみたことのあるような話に引込まれました。山口出身、丸刈り原則で髪が伸びて「家の事情で散髪にいけない」と伝えたら、いきなり頭を殴られるなどの管理教育の息苦しさに中卒で働くことも考えたという。最難関の高校に進学。入学後、学帽着用の拘束に従わず、教頭に頭を殴られ、今度は「教育委員会に訴えますよ」と抗議した。「法律を武器に自分を守ろうと思って」と、最初の動機は利己的だったと本人は振り返るが、弁護士になった。
大学時代の家庭教師をした教え子が統一教会に入信。その脱会支援の課程で、信者との接点が増えたという。
「他国のように総合的なカルト対策の検討を」と政治家や官僚に陳情を繰り返し、去年の秋には旧統一教会にビデオメッセージを寄せた安倍氏宛に公開抗議文を提出した。マスコミはほとんど報じず、10ヶ月後に安倍氏に悲劇が起きた。街頭で自分を批判する人たちに、「あんな人たちには負けない」と言い放ち、異論に耳を傾けなかった。耳を傾けて対処していれば・・・。公開抗議文も、きっと一蹴されたのだろう。
「被害者救済に取り組む中で、我々の抗議文に反応がなかった時には驚いたが、それでも動く。与野党問わず様々な政治家とやりとりし、官僚にも協力を仰ぎながらやっています」という紀藤さん。
その話を読んで、「こどもの貧困」の著者で、キッズ・ドアの代表・渡辺由美子さんのことを思い出しました。彼女も、今、この瞬間に子ども達は成長していく。だから、あらゆる手段で、政治家に働きかけて制度を変えていくことに力を注ぐ。でも、それだけでなく、具体的なこどもたちの学習環境を少しでもよくしていく活動にも同時に邁進している。
問題に気づいた人が、その問題から目をそらさずに解決に努力を重ねていく。その声に人々が段々耳を傾け、社会をより良い方向に前進させる。
道にゴミがあって汚い。その場ではゴミを拾う。そして、ゴミをきれいにすべきと行政にいう。
その場でゴミを拾うのも、大切。コミュニティーを快いものに皆でする気持ちは大切。でも、自分の周囲でその問題解決されても、他の場所では? だから、行政にも働きかける。
よく、道の両側にきれいに花壇が植えられているところを見る。それは、いろいろなケースがあるが、「道路愛護団体」という地方自治体で公認され、少ないが補助金をもらって維持されていることが多い。他にも、調べると、よいと思われることの後ろには、外国で活動が進み、それを真似て日本の政府に誰かが働きかけて、それが取り入れられて広がった活動が多いようだ。
自分だけの問題を、その場で解決し、さらに、その解決をその場で終わらさずに広げていく。この両輪が機能して、よいことが、社会にひろがっていくこと。それを、この記事を読んでいて再確認できた。
そして、この記事の最後は、次の文章で終わっていた。
どんなことも「風化」していく。いつまでも悲惨な過去にとらわれるのは人間の営みとして良くない、もう忘れようよ、と。それでも警鐘を鳴らし続けます。なかなかうまくいかないですが。
統一教会問題も、原発問題も、敵基地攻撃能力保持の問題も。忘れてはならない。嫌なことは忘れてもらい、さっさと先へ進もうと政府はしているが、国民に大切なのは、「風化」させないこと。そのために、紀藤さんも、渡辺さんも、声をあげつづけている。私も、風化させまいと、ここに書いて、忘れない。
長くなってしまったが、木枯らし紋次郎の中村敦夫さんの本が、復刻版が文庫で出たそうです。「狙われた羊」(講談社)。中村さんの「線量計は鳴る」という原発問題を扱った一人劇で全国を回り、友人と見に行ったことがあります。その中村さんが、議員になったことがありますが、その時議員になった動機が統一教会問題を国会の場で議論するためだったのはご存じでしょうか?ココに、読みやすいようにその時の国会質問を掲載して下さっている方がいました。タレント議員にも、いろいろな人がいます。中村さんは本物の政治家でした。
もっと国会でしっかり、この1998年の国会質問について詰めた話ができていたら・・・マスコミ、与党、野党、国民が真剣に取り組んでいれば・・・。 「たら」「れば」で、話をしなくていいように、今の私たちが頑張らねばなりません。「風化」させることなく!!!