NHK1月1日の「混迷の世紀 2023巻頭言 世界は平和と秩序を取り戻せるか」を最初のところだけ見た。すると、ノーベル賞作家のアレクシエービッチさんが、ロシアのことで凄い話をしていた。それは、下に挙げた、ココで活字で読むことができる内容とダブっている部分も多かったが、決定的な言葉がそこにはあった。
最近のyoutubeに、母親がロシア軍にいた息子の葬儀をする様子が上がっていました。母親はジャーナリストに対して、とても恐ろしい言葉を言いました。「あなたの取材をうけると、死んだ息子に支払われるお金がもらえなくなる」「そのお金で娘の家を建てるつもりだ」と。私がアフガニスタン侵攻の取材をしていた時に、母親たちはこのような話はしませんでした。彼女たちは戦死した息子の記憶をお金に換算しませんでした。反対に息子の死を忘れないためにお墓を作ることにお金を使いました。彼女たちはクレムリンを呪いました。今とは全く違う態度でした。これだけみても、社会がいかに退廃しているかが分かるはずです。
という部分だった。「お金が先に働く」思考が蔓延しているということ。
今、時間ができたので、その強烈な言葉を思い出して、ネットで調べて出てきたのが、ココで活字で読むことができる下の文章(一部のみ転載)だ。意外なことに、去年のインタビュー記事だった。<2022年4月2日(土)放送「ウクライナ侵攻が変える世界 私たちは何を目撃しているのか 海外の知性に聞く」を基に作成>とあった。
でも、同じ人の話で考えは同じと思い、まず、その文を急いで読んでみた。すると・・・下のような言葉が、私の胸にズシンと落ちた。
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私はYouTubeにアップされた録音はすべて必ず聞くようにしています。捕虜になったロシア兵が自宅に電話した際の音声をウクライナの諜報機関が盗聴したものがあります。
兵士が家に電話をして言います。
「ママ、僕だよ」
「今どこからかけているの?」母親は演習に行くと聞かされていたのです。
「ママ、僕たちはここに人を殺しに来たんだ」
「どういうこと?どうしてそんなことに?」
「とにかく人を殺したんだ。略奪もしたよ」
ほかにこんなやりとりもありました。
「僕たちはハリコフ(ハルキウ)を爆撃している。ハリコフはがれきの山になってしまった」
それに対して母親はなんと答えたか。
「あなたのおばさんがハリコフに住んでいるわ。私は(プーチン)大統領が好きだし、信頼している。あなたが何か嘘を言っているんじゃないの?」
分かりますか?人々はまともな情報を入手できていないのです。ロシア社会は深いこん睡状態に陥っているという気がします。
情報が統制されると、人間は人間でなくなってしまう。日本の戦争時代の時に「天皇陛下万歳」とさけび、人が自分の命を捧げて、敵の命ある兵隊がたくさん載っている戦艦に突撃して殺戮する。それが「特攻隊」と言われ賞賛された狂気の時代。それと同じ時代に、世界全体が、後戻りして、また過去の愚かな戦争を繰り返すことになりそうな予感がして、目が眩む思いがした。
彼女はロシアの話すことn生活を送っているようにしているが、日本もロシアと変わらない。怖いほど当てはまる方向へ向かっていると思えた。日本には、いまでも、「天皇陛下万歳」と言ったあの時代に戻る素地がある。
長期政権の人たちは、「美しい日本」といい、「愛国心」といい、「誇れる日本を教育に!」と言った。そして、こともあろうに「教育勅語」をよいところがあると言いつづけてきた。文部科学省の大臣も。 「軍艦マーチ」を歌う幼稚園に首相の妻が「素晴らしい」といって学園の名誉校長になるとか、三原じゅん子が「八紘一宇」なんて戦時中の言葉を持ち出し賛美したり、そんな恐ろしい日本になっているのに、それがテレビや新聞で少し報じられても、すぐ忘れられていった。
私は、森友学園の園児達の映像をみて頭から離れなくなった。国会で「八紘一宇」といった三原じゅん子、文科大臣になって、教育勅語を復活させてもいいような言動を放置されることに背筋が冷たくなった。「歴史は繰り返す」。平和ボケしている内に、まさかそれが本当になるとは!と気づき愕然とした。
「長期政権の暴走を止めないといけない」と、このブログに書き続けてきたり、自分なりに人に伝え続けてきた。でも、まだまだ、この日本では自民党が一番国民に支持され続けている(嘆)。ノーベル平和賞を受賞したアレクシエービッチさんも、この社会で蠢いている動きは、非常に止めるのが難しい。いくら頑張っても、力が弱いのが事実と認めていた。だから、止ってしまうのではないけれど・・・
日本は、ロシアと同じくらい危険な状態だと思う。統一教会問題が出て、「選挙に勝つためになら、大きな被害を与えた霊感商法の宗教団体の広告に使われてもいい」と、魂を売り渡した政治家がウジャウジャ中心にいる政党。それを、まだ国民が37%も指示し続けている日本。これが、ロシアを愚かな国とはまったく笑えない!日本という国の現状だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/45/386bad39f1666b96cf529d8bc12fa8fe.png)
ロシアよりまだ情報統制がされていないだけ日本にはまだ希望があるだろうか?
さらに続きを読むと、こう書いてありました。
権力を握った当初、プーチンは民主主義者を演じました。でも、たちまちその仮面を投げ捨てると、社会の最もダークな連中を頼りにしたのです。現在、権力の周辺にいる哲学者や宗教者など、民主主義的な考え方を拒否したエリートたちです。彼らはみなカネを崇拝し、偉大なロシアの再来を欲しています。プーチンは私たち民主派の失敗につけこみました。私たちは90年代にあまり国民と話し合いませんでした。共産主義は崩壊し、これまでと全く違う新しい生活が始まるのだということについて、彼らにすべて説明しなければいけなかったのです。
プーチンは政権の座にあった20年間、巨額の費用をプロパガンダと軍備に費やしました。そして私たちがいま目にしているように、国民を征服して判断力を失わせることに成功したのです。今ロシア国民は、完全に人間らしさを失ったような状態です。しかし今後、経済制裁でロシアの生活が悪化すれば、「テレビと冷蔵庫の戦い」が始まります。テレビが従来どおりロシア国民に影響力を持つのは、冷蔵庫がいっぱいの時だけなのです。冷蔵庫が空になれば人々は考え、起きていることに対して何らかの反応をするようになると思います。
やっぱりそうだ。これは、ロシアに当てはまるだけでなく、日本にも当てはまる!
国民と話し合わず、民主主義者を演じているけれど、今の自民党の人たちは、金を崇拝し、敗戦前の日本に回帰しようとしている! ロシアだけでなく、右傾化し始めている多くの国が、この日本と同じように、民主主義のような顔をした人たちが、プロパガンダと軍備に巨額の費用を使って、国民を操ろうとしているのだ。
国民は冷蔵庫がいっぱいの間は、テレビの言うとおりに考えてしまっているのが、今の日本の状態なのだと思えた。経済が悪くなり、「冷蔵後が空になれば、人々は考え、起きていることに対して、何らかの反応をするようになると思います。」と、アレクシエービッチさんは言っていますが、ロシアも日本も、まだ冷蔵庫は空になっていないということか。
自民党の怖さ、愚かさ、時代錯誤の考えが報道で流されても、一時目を貸しても直ぐ忘れ、見なかったことにして、ともかく「経済優先」。株が上がっていて、自分の懐にお金が入ってきて、日々の自分の生活が安定していればいい? 自民党を支持し続ける37%の人たちは、冷蔵庫が空になるまでは、自民党を支持していくのだろうか?
アレクシエービッチさんは、さらにいろいろ語った最後を、下のように結んでいました。
人間社会は3つのゾーンに分かれています。ひとつはアクティブなゾーン、つまり行動する人たちです。一方で、彼らに反対する人たちもいます。そして、いわゆる「グレーゾーン」があります。どっちつかずの人たちで、このゾーンがいちばん大きい。こういう時には物陰に隠れてやり過ごそう、自分の生活の質さえ変わらなければいいという人たちです。私たちは、これらの人たちと対話する術を学びとらなければなりません。ジャーナリズムは真実を語り、このグレーゾーンに働きかけなければなりません。グレーゾーンが広がるなら、私たちが目指す未来は訪れません。
この3つのゾーンの「グレーゾーン」の人たちは、「自分の生活の質さえ変わらなければいいという人たち」で、それが、「冷蔵庫がいっぱいなら、政治はどうでもいい」という「ほかの党よりよさそうだから」と自民党に票をいれ続けて支えて来た人たちなのではないかと思えました。そして、私だって、心のどこかに、自分の生活は安定しないと困ると思っていること。「お金はあればあるだけいい」と思う心があることを告白する。でも、私の中には、まだ「清貧」という言葉があるし、一番大事なのはお金ではないと思うところがある。
官僚が、忖度して、官僚が文書改ざんしたり、去年の国の税金で開催された「桜を見る会」の名簿を廃棄処分にする日本ではなかったように思う。でも、忖度が、横行した日本。国会の答弁もなおざりで、ひとたび票を得て議員の席が保障されれば、やりたい放題になってしまった日本。 日本の民主主義は、長期政権になって、壊れてしまった。それでも、長期政権を今も支えてしまっている日本(嘆)
自民党の一部には、自浄作用が残っているのか? そんな片鱗さえなさそうだ。みんな、自分大事と、早く嵐が過ぎ去ってくれることを願っているようだ。特に、経済が破綻しないなら、自分の生活が破壊される危機がなさそうなら、今の生活を維持するために、「原発再稼働もいい」「老朽原発の使用延長もいい」 そういう考えにも繋がっていく。 物事を判断する基準が、政治家の自分の生活の安定。だから、次世代を、自分の後継者にとする画策が、すぐ足をだす。
よその国のことと彼女の言葉を聞くのでなく、自分の国のこととして、ひとりひとりが「グレーゾーン」から抜け出して、自民党が酷い政党なら、すっぱりとうやむやに問題をしてしまわず、今すぐ、きっぱりと決別しないと!!! さもなくば、日本の行く先は、ロシアや北朝鮮のようになる。 民主主義とは真反対の方向へ進むばかりだ。強くそう感じた。
中途半端なお金持ちがいるせいでこうなったのか、なぜ、こんな戦前のような世の中に人間は戻ってしまうのか・・・。まずは、テレビを鵜呑みにしない。新聞を鵜呑みにしないことが肝心だろう。異論に耳を傾けよう。自分のことより、人の痛みや、苦しみを理解できる自分を忘れないようにしよう。
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実は、ここまで書いたのは、NHKの情報だが、1月1日には、朝日新聞にもアレクシエービッチさんの記事が大きく掲載された。 他の新聞はどうだか分からないが、彼女の言葉には、これからの社会をどうしていくかの大きなヒントが含まれていると思った。
どうぞ、あなたも、NHKの私が引用したココの前にアレクシエービッチさんにインタビューしたときの記事や、1週間以内なら見られるNHKプラスで配信期限 :1/8(日) 午後9:59 までですが<NHKスペシャル 混迷の世紀「2023巻頭言 世界は平和と秩序を取り戻せるか」1/1(日) 午後9:00-午後9:59>を見るか、朝日新聞の1月1日の記事を、図書館で探してでも読んでみて下さい。「グレーゾーン」の人にならずに、「しっかり平和に繋がる道を、子ども達に残すために!」。