正直言って、今回、検査の数字が簡単に知ることができる統計があまりに少なかった。報道でも、感染者数は報道されるものの、検査数へのコメントが非常に少なかった。そこで、厚生労働省のHPや東京都の発表している数字を素人ながらに追いかけてきた。
そして、統計を見ながら感じたことは・・・
1)厚労省の公表している統計数字は累積の数字が多く、日別で都府県別に検査数を出している統計が少なく不便なこと。しかも、グラフに表したりすることがなく、不親切(→厚生労働省の統計は、数字を見せづらくすることにこそ力を入れているように思えた)。
2)地方からあがってくる数字が統一した基準によって行われないために、注意書きが非常に多く、数字が不揃いで、読みづらい(→厚生労働省が、国のトップとしての統率力を発揮してなかった証左ともいえるだろう)
3)途中から、表記を数回変えて、統計の項目も変わったりした(→ こういう時の準備がまったく想定されていなかった?オリンピックという疫病が入る可能性もある祭典の前に、無防備だったと推測された)
例えば、検査に関する統計のトップページの表で見てみよう。
(表1) (表2)
実は(表1)の前にも2回ほどすでに変更されてきた表だ。それが、やっと3月下旬からは左の(表1)のような表がスタートし、しばらく続いていた。日別の変化は(括弧)の数字で前日との増減を表しただけ。基本は、累積した数しか表示されていない。実に、不親切な表だ。それまでの日別推移を見たいと思えば、自分で過去のデータをいちいち取り出して並べてみないと 分からないのだ。よほど時間のある人しか、そんなことはできない。
しかも、5月10日からは、(表2)のように変えられた。有症状と無症状の人、確認中とあった項目が、10日からはなくなった!
正直言って、「確認中」という数字が多すぎて、下の入院状況の表でも「症状を確認中」が入院治療を要する人の半数となっており、(ずいぶん中途半端な表だな~)という印象だった。まるで、(厚生労働省が、実態把握ができていない証左)のようにもみえた。だから、その項目を取り去ったのだろうか?
さらには、「入院待機中のもの」という数字もあったのが、5月10日以降は なくなってしまった。最近は、各地で陽性だが入院病床が不足しているので、貸し切りホテルとか、軽症で自宅待機などバリエーションが生まれたが、それをどこの数字にどう振り分けているのかも不明だ。
随分ざっくりした表にしてしまったものだ。しかも、注のコメントが多くて・・・。取りあえずは、首相が「新たに陽性になった方の数と、退院者の数を比べると参考になる」とか言っていた数は、これで拾える。この新しい(表2)では(陽性者数が+104 で 入院治療を必要とする人が-52、退院または療養解除となった者の数が+166)
どう見るか? 陽性者の「症状の有無」が分からなくなったから、これでは 病院が楽になるのか、大変になるのかが読み切れない。やはり項目を削ったのでデータが不足になる。
さて、さらに、以前も書いたが、もっと知りたいと思ったら、必要と思われる資料は、この上の表からず~~~~っと下にスクロールして、「国外のコロナウィルス発生状況」の長い長い表の下まで行って、下記のようなタイトルだけ出されている(参考資料)をクリックして開けなければならない。
(参考1)(参考2)
何だか、こちらも、5月10日をすぎてからは、項目が少なくなっている。勿論、時々しか発表しない統計というのも存在する。だが、それにしても少なくなった印象だ。残念だが、今回は、減ってどうなったかの詳細検討をする時間がない。
でも、「帰国者・接触者相談センターの相談件数等」というのは、実態を知る上に重要な気がする。よかったと思う。以前出したことがあるが・・・大きい表なので、関東があるあたりまで出してお見せしよう。
(表3)
読めるように大きくするのは、無理そうだ。
この(表3)では、各都府県別に
「帰国者・接触者外来相談センター(全相談件数)」
「帰国者・接触者外来相談センター(症状などの相談件数)」
「帰国者・接触者外来受診者数」
「PCR検査実施件数」
の4項目について、日別に数字が記されている。
この「帰国者・接触者外来相談センター」と窓口を通さないと、ほぼ3月末までは検査を受けることができなかった。だから、検査数というのが、いかに絞られていたかが、この表で ひと目でわかった。窓口に電話してから検査に辿り着くには、相当大変だったことが分かる。
コロナウィルスに感染している不安を抱いた(症状の相談をした人)の数の大半が、受診や検査にスムーズに行けるようでなければ、陽性率の数字を信じろと言われても難しいだろう。
5月14日の最新の統計を上に転記したのだが、見ると千葉は4月27日まで、東京・神奈川などは5月7日までの数字しか出ていない。なんで検査の数字をもらうのに、そんなにも時間がかかるのだ!? 厚労省が中央省庁でありながら、周りをリードする力に欠けているようだ。
東京都の4月28日~5月7日までの10日間で(症状で相談してきたのが1日平均ほぼ1000人→受診できたのが140人→PCR検査できたのが120人。それ以前は、ざくっとみて1800人相談して→140人受診→PCR検査が100人とかの印象だ。ということは、少しは改善してきているといえる?
しかも、もう一つの4月後半から「国内における新型コロナウイルスに係るPCR検査の実施状況」(5月14日版)をみると、これも正確な数字は5月10日までしか分からないのだが、連休辺りから、厚生労働省の統計や、東京都の統計で最初は外されて見えていなかった「民間検査会社の医療機関から直接受託した分」というのが、1日多めの時は3000件を超えるようになってきている。
ということは、以前は保健所が中心で受診や検査に辿り着けなかった人は、検査もできなかった。だが、今は、そこでダメでも、それも改善され始め「民間検査会社の医療機関から直接受託した分(医療機関→民間検査)」で検査してもらい、陽性でも治療してもらえているかもしれない。何か、少し安心できる状態になっては来ているようだ。自治体や地域の医師会などの努力のおかげだろう。
「収束にむかっている?」「医療の現場に少し落ち着きが出ている?」とテレビで言っているのを、信じてもいいのかもしれない?
死者数が最近以前に比べて2桁の数字がよく聞かれるので確かめてみた。残念だが、これも日別死者数のグラフは、どこをみてもなかなか見つからなかった。そこで、上の(表1)の死亡数をデータから取り出して傾向をまとめてみると・・・ずっと1桁だった死者数が徐々に上がりだし、4月中旬から少しずつ2桁の日がみられるようになり、4月下旬にはとうとう毎日10~20人の死者が続くようになった。そして、連休中には、さらに10~34人と増えていき、連休明け辺りからは少し下がってきた。でも、今も2桁の日が続いていたりしている。今日は、若いお相撲さんが亡くなった。今は1日に10~20人の死者数というところだ。
下にあるグラフは東京都の出したもの。東京都はグラフが多い。分かりやすい。さて、最近東京都が出し始めた「陽性率」のグラフだが、陽性率が、予想より少ない気がするが、どうなのだろうか? *ただ、このグラフは、東京都独自でなく、他の自治体と共通フォームのようだ。
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棒グラフが5月7日の以前が、7日以降に比べて 低い数字に留まってみえるのは、(医療機関→民間検査会社)の数字が確定できないためか入っていないため。
それこそ(表3)の東京の「帰国者・接触者外来相談センター」を通して検査に辿り着けた人たちの人数しか現してないのだから、このとき陽性率が高いのは、(相談→受診→検査)とふるいを2回通して検査した人は、重症化して緊急、もしくは接触や帰国者と、感染確率の高い人だったのでは?という気もする。
そういえば、上のグラフの感染者数が、テレビで言っていた感染者数より極度に少ない理由が不明だったのでNHKに問い合わせてみていた。最近になって、「都が新たに発表することになった陽性率は1日ごとの陽性判明者の数を基に算出した数字で、5月1日から7日にかけての日々の陽性判明者は以下の通りとなっています。▼1日:21人▼2日:17人▼3日:30人▼4日:7人▼5日:8人▼6日:4人▼7日:69人 という数字だった。一方「東京都が毎日発表している感染者の人数は、その日までに都が区市町村の保健所から報告を受けた人数で、その日だけでなく前日や前々日に確認された感染者も含まれています」との返事だった。教えてくれたのは有難かったが、でも、この説明だけでは、まだよく分からなかった。
「陽性判明者というのが、東京都の保健所の検査での判明者ということで、東京都の感染者発表はもっと人数がたとえば(▼1日:165人▼2日:158人▼3日:91人▼4日:87人▼5日:58人▼6日:38人▼7日:23人)と多かった。その差は、どこから来たのかというと、「保健所には、他の民間検査会社などからも連絡が入るので、その合計の感染者数だったということか?」と思えるが、確証はないので、再度問い合わせてみようと思っている。
それにしても、この棒グラフが低い部分の「民間検査会社の陰性確認を除外した検査の数字」とか、そこで分かった陽性判明者数も入れて計算しないでおいて、こんな風に比較するのは、乱暴ではないかと私は思う。現実を知るためには、もっとしっかりしたデータが必要だろう。
ああ、ここまで辿り着いても、不明なことがいっぱいの日本の検査の統計。実に嘆かわしい。
しかも、話がそれるが、東京都の感染者数の数字が100人漏れていた話を、ご存じだろうか?ココから見られるが、「一度端末に入力したものを手で書き写して都に報告していた保健所もあってミスが起きた」らしい!手書きして報告とは、私たちはいつの時代にいきているのだろう?
でも、今日のニュースでも、マイナンバーになったのに、カードの失効や引っ越しすると暗証番号が変わる?などで市役所に手続きに来る人が集まって「3密」になっているとかやっていた。何だか、日本って、こんなに統計も、電算化してもアナログから離れられないお粗末な国だったのかと、がっかりが続く。
施策の決め方も国会でしっかり説明もできない大臣が続き、それでいて説明責任を果たさないままの強行採決。それが、最近はすっかり常態化してしまって、国会もボロボロだ。質問しても、答えにならない答えしか返ってこず、論議が進まない。ごまかし、はぐらかされる国会軽視が平気が続けられている。自民党内にもこのやりとりの酷さに批判を言う人も現れた。検察幹部の定年延長を可能とする検察庁法案について「国民のコンセンサスは形成されていない」と自民党泉田議員がTwitter投稿したという。ところが、なんとも速やかに彼を法案を審議する内閣員会から外してしまったという自民党(ココから)。自由にモノも言えない党が、国会で答えをはぐらかし続ける。これは民主主義ではない。国会にいる議員全員が「国民の代表」という意識が、この政権には欠如している。自分たちだけが代表との誤解が甚だしい。
マスクは妊婦用の分の不良品の回収で8億円かかるというし、そもそも、「ユースビオ」とか「シマアトレーディング」とか、聞いたこともなくマスクも扱ってなかった業者がこのマスク輸入にかかわっていたという話が何とも不可思議すぎて、また大きな問題になってくるかも?週刊文春とか、また雑誌でじっくり取り組んでほしい! 最近は、特にテレビは突っ込みが1部の番組を除いて、非常に甘い。政府発表の言葉を右から左へ垂れ流して伝えるのをわたしは「報道」と言わないと思う。
こんな情けないことが続く日本。それでも、奇跡的に他国で見られるような大量の死者が出ている中で、2桁で収まり、合計も700人に満たない日本。これは、コロナウィルスの押さえ込みに成功しているといえるのだろうか。本当にそうなら、それは市民ひとりひとりの犠牲と努力の賜物だ! 私たち市民が、これからも頑張っていくしかない!
追伸)今日(5月14日版)の厚労省の統計を見たら、これまで見てきた「新型コロナウィルス陽性者数とPCR検査実施人数(都道府県別)」がなくなって、「各都道府県の検査陽性者の状況」というのに変わったようです。
(表4) (表5)
(表4)と、(表5)では、(表5)の方が内容が増えているが、注意書きが少なくなっているものの、逆に数字が連続性を失っていないのか? (統計って、こんな風にすぐに変えていくものなのか?)と、頭が痛くなってくる。しかも、累積の数だけの表示なのは、相変わらずだ。
さらに、今日は、久しぶりに新しい「PCR検査の1日あたり実施可能件数(都道府県別)」(5月11日時点)が発表されていた。
ただし、東京都は、相変わらず1日235件の能力だ。ここずっと変わっていない。4月27日の前回が全国合計4990件。今回が5186件も、ほとんど変わりがない。検査体制の1日2万を目指すと政府はいつも言い続けているが、どこをどうして実現するつもりだろう?検査の道は、本当に開けてくるのだろうか?
先ほど、全国のPCR検査実施件数の統計も調べてみたが、連休明けの5月7日からみても、相変わらず少なく7~8000件しか実施がない。まだ、1日1万件の検査が行われたことは、日本には1度としてない。もっている検査能力を、フル活用したことすらないのだ!
あまり希望に満ちた材料は見あたらないので、やはり楽観は禁物というべきだろう。少なくとも、政府が滞りなく次のステップのために準備をしてくれているという妄想だけは、抱かない方がよさそうだ。
マスクも結局お金ばかり無駄に使って、届かない。みんなが手作りして、もう用は足りてきている。次は、ゴミ袋で医療用防護服が作れるという動画がココにあったので、それを作って医療崩壊にならない小さな力になれるか、やってみよう!
3Dプリンターのある方はフェースシールドをお願いします。
*下は、各地の保健所の実施可能検査数の新しい表だ。
ああ、今日も嘆きながら、検査の統計をみていたら、月が上ってきた。さあ、「お月様、私たちに力を下さい。嘘をつかない、私たちに力を下さい」
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