峰野裕二郎ブログ

私の在り方を問う

since 2005

将棋ワールド その5 食事の注文

2022年02月03日 | 将棋
将棋順位戦B級1組、藤井聡太竜王対阿久津主税八段戦が今日午前10時から東京千駄ヶ谷の東京将棋会館で始まっている。

藤井竜王は今期、これまで8勝2敗で待望のA級入りまであと一歩のところまで迫り、対する阿久津八段は3勝7敗で降級の危機に瀕している。両者、何が何でも勝ちたい一局だろう。

いつものように、対局開始時刻前からAbemaTVで視聴しているのだが、フルで観ていると色々面白いことに出会う。

先ほど両対局者、昼食休憩を終えて対局室に戻って来た。
きょうの2人の昼食の献立は、藤井竜王が「日替わりカレー」で阿久津八段が「山椒ポークカレー」と「パッションフルーツラッシー」と紹介があった。

面白いのが昼食を注文するときの様子だ。
きょうは、午前10時半頃、対局場に将棋連盟のおそらくは女子職員が献立表を抱えて現れた。
先ずは、藤井竜王の傍に座り、数種類の献立表を藤井竜王に手渡した。最近は出前をする店が増えたそうだ。コロナの影響だろう。

将棋盤から献立表に目を移した藤井竜王は、しばらくあれこれ眺めていたが、間もなく女子職員に選んだ食べ物を告げると同時に、バッグの中から財布を取り出し、その中から千円札を出して手渡した。
女子職員は、その千円札を受け取り、用意していた硬貨の中からお釣りを返した。

次に、記録員の後ろを通り、阿久津八段にも同様に注文を取った。
阿久津八段も、バッグから財布を取り出し千円札を女子職員に渡したが、お釣りはなかったようだった。

余談になるが、藤井竜王の財布は二つ折りだが、大抵の棋士は長財布を使用しているようだ。ただし、共通して硬化入れが付いているのが面白い。お釣りを直ぐにしまえるからなのだろうか。

この様子を全てカメラがとらえ、テレビに映し出されているのだ。
画面の片隅には、AIの何百億手先を読む中での候補手が表されている。棋士も、高価なAIを使用して最先端の将棋を研究するという時代にあって、何とものどかな風景も残っている。将棋界の面白いところだ。
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その先へと

2022年01月29日 | 将棋
NHK杯将棋テレビトーナメント・佐藤康光九段対佐々木大地五段戦は、私の思い違いで、先週の金曜日ではなく先週土曜日の深夜に放送された。

結果は佐々木大地五段の負け。
残念ながら、多くの将棋ファンの注目が集まるNHK杯の、それも準々決勝という大きな舞台での長崎県出身者による師弟対決はならなかった。

「師匠と対決するのが恩返し」と語っている大地五段にとって悔しい一戦となったことは想像に難くないが、師匠の深浦九段はどんな思いでこの勝負を見守ったのだろう。
大地くんの奮起を期待している。
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思わぬ余波

2022年01月18日 | 将棋
一昨日の日曜日に放送が予定されていたNHK杯テレビ将棋トーナメント本戦・佐藤康光九段対佐々木大地五段の一戦は、トンガの大規模噴火に伴う津波警報、注意報に関する報道のため、放送を見合わせた旨、案内があった。
 
NHK杯は録画なので、既に結果は出ているのだが…。
さてさてお楽しみは、今週金曜日の深夜に持ち越された。

あらためて、ガンバレ大地くん!
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夢の師弟対決に向けて

2022年01月14日 | 将棋
先週日曜日放送のNHK杯将棋テレビトーナメント本戦において、深浦康市九段が広瀬章人九段に勝利した。

今から12年前、深浦九段は、第51期王位戦でタイトルホルダーとして広瀬九段を挑戦者に迎え、番勝負に臨んだ。

結果は、2勝4敗で敗れ、それまで3期連続して防衛してきた王位のタイトルを失うことになった。
広瀬九段は因縁の相手だ。

そんな難敵を破り勝ち上がった深浦九段は、一昨年度の優勝を始め、このところNHK杯戦で好調だ。これでベスト8入りを決めた。

さて、今週日曜日のNHK杯テレビトーナメント戦は、師匠の後を追いかけるように弟子の佐々木大地五段が登場する。対戦相手は佐藤康光九段。

佐藤九段は、ばりばりのA級棋士、佐々木五段にとっては格上の相手だ。しかし、今後のことを考えても、ここは何としても勝たなければならない。

佐藤九段に勝てば、夢の師弟対決が実現する。
ガンバレ、大地くん!
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勝利の秘訣

2021年12月03日 | 将棋
昨日、行われた将棋・順位戦B級1組9回戦、藤井聡太竜王対近藤誠也七段の一戦は藤井竜王の勝利で終わりました。
長い勝負の決着がついたのは、日付が変わった深夜0時過ぎでした。

AIの評価値では近藤七段が序盤からリード、森内九段他の解説陣の見解も同様でした。
その後、AIの評価値は次第に広がり、夜に入ると近藤七段70%:藤井竜王30%前後に。
ところが、午後11時頃に指した近藤七段の一手で流れが変わりました。

近藤七段の一手により評価値は互角に。
その局面をチャンスと捉えた藤井竜王が見事な手順で一気に形勢を逆転してしまいました。

藤井竜王の必勝パターンは、序盤のリードをじわりじわり広げてそのまま勝ち切るというものです。滅多なことでは逆転を許しません。

だが、この日の近藤七段のように往々にして終盤に逆転を許す棋士は少なくありません。
さらに、そこから二転三転ということも割とあることです。たとえ、それがトップ棋士であってもです。
最終盤、90:10が10:90になり、投了に追い込まれる将棋をしばしば目にします。

才能に恵まれた上で、豊富な研究量に裏打ちされた深い読みと確かな形勢判断、さらには感情をコントロールする力が、藤井竜王の快進撃の原動力でしょうか。
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因縁の対決

2021年12月02日 | 将棋
きょうは、午前10時から藤井聡太竜王が近藤誠也七段を相手に順位戦を戦っています。

藤井竜王が属するB級1組は、ここまで佐々木勇気七段が7戦全勝と首位を独走、藤井竜王が7勝1敗と単独2位につけています。

順位戦B級1組は、全12戦の総当たり戦で、成績上位者2名がA級への昇級となります。

順位戦は持ち時間が各々6時間です。昼食・夕食の休憩時間もありますから、展開が一方的にならない限り、日付をまたぐような長い勝負になります。

午後3時現在で、AIの評価値は近藤七段58%に対し藤井竜王42%です。
ただし、まだ駒がぶつかっていない段階ですので、勝負の行方はまだまだです。

藤井竜王にとって近藤七段は、C級1組の時に唯一黒星を付けられた相手です。それにより、藤井竜王は連続昇級を逃してしまいました。
そんな因縁のある相手を前に、藤井竜王の胸に去来するものは‥。

先が長いので、ちょっと庭仕事をしてきます。
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師弟対決に向けて

2021年11月26日 | 将棋
昨日記した将棋NHK杯テレビトーナメント、山崎隆之八段対佐々木大地五段戦は、佐々木大地五段が鮮やかに勝ち切りました。

この結果、大地五段は、師匠の深浦康市九段と共にベスト16に進出しました。お二人が次戦を共に勝利すると準決勝進出をかけの直接対決となります。

昨年でしたか、藤井聡太竜王と杉本昌隆八段の師弟対決が話題になりましたが、
共に藤井竜王に勝ち越している佐々木大地五段と深浦康市九段の師弟対決も実現すれば話題を呼びそうです。

ちなみに、藤井竜王に勝ち越している棋士はわずかに5名、深浦康市九段は2つ勝ち越している唯一の棋士として話題になっています。

師弟対決、ぜひ見てみたいものです。
ガンバレ、佐々木大地五段!
ガンバレ、深浦康市九段!
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ネクタイ

2021年11月25日 | 将棋
毎週日曜日午前10時半から正午の間、NHKTVで放送されている将棋NHK杯テレビトーナメントを楽しみに視聴しています。

先の日曜日は、山崎隆之八段対佐々木大地五段戦でした。
私たち夫婦にとって、お二人はご縁のある棋士です。お二人にとって、この対局が初手合いということもあり、どんな将棋になるのか、もちろん、どちらに軍配が上がるのか、いつもより数倍ワクワクしながら勝負の行方を見守りました。

我が家では、次女と三女が小学生の頃から将棋を指し始め、小学・中学と県大会・全国大会などに出場する機会に恵まれました。
そのことから、郷土の深浦康市九段始め、多くのプロ棋士のみなさんと交流させていただくご縁を得ました。

山崎八段のことを、私たち夫婦は親しみを込めて「やまちゃん」と呼んでいます。もっとも、2人の間でだけのことですが。

山崎八段は今期、悲願のA級入りを果たしたトッププロです。そのお人柄からファンの多い棋士のお1人のようです。
私たち夫婦も、何度かお会いしてお話をさせていただくことがあり、明るく、さわやかで、ユーモアがあり、その上、謙虚なお人柄にすっかり魅了されたものです。

佐々木大地五段は、さらにご縁の深い棋士です。
各都道府県の予選に毎年3,000人以上の選手が参加するという「小学生将棋名人戦」という大会があります。これまで多くのプロ棋士を輩出してきている歴史のある大会です。

三女のくるみさんは、小学2年生の時に初めて参加したその予選を兼ねる県大会で、並み居る上級生・男の子を次々と撃破し、あれよあれよという間に優勝してしまいました。

翌年、連覇を果たし、3連覇のかかった4年生の時に決勝戦で相対した選手こそ、当時小学1年生だった対馬から参加していた佐々木大地くんでした。
結果は、くるみさんの完敗でした。それまで戦ってきた県内の強豪とは比較にならない程の大地くんの強さでした。

後にプロ棋士になり、その世界でも毎年、高い勝率を誇っている大地五段ですから当然のことではありました。

厳しい奨励会を勝ち抜き、晴れてプロ棋士となった大地くん。故郷でそのお祝いをすることになりましたが、その司会を私が務めさせていただきました。
その時、大地くんに、何かプレゼントしたいけど何がいいかなという話をしました。色々話しているうちにネクタイがいいねということになりました。

その後、このコロナ禍です。イベントなども出来ない状況が続いています。
長崎県に深浦さんや大地くんが帰ってくる際には、お声を掛けていただくようお願いしています。

その折には、遅ればせながら大地くんにお祝いのプレゼントを持参したいと思っています。
もちろん、ネクタイを、ですね。
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失意の先へ

2021年11月14日 | 将棋
ついにと言うか、やはりと言うべきか、将棋界史上最年少の四冠王が誕生しました。

第34期竜王戦七番勝負の決着がついたのは昨日の午後6時41分、豊島前竜王が持ち時間をちょうど30分残したところで「負けました」と投了を告げました。

敗者である豊島竜王はもちろんのこと、敗者の痛みを知る藤井三冠も無言のまま、ただ空調の音だけがわずかに低く響く、重苦しい時間がしばらく流れました。
ややあって、なんとか気持ちの整理を付けたであろう豊島さんが口火を切り、勝負どころの感想を語り始めました。

間もなく、取材陣が対局室に入って来て、インタビューが始まります。
先ずは、勝者の藤井新竜王に対して、一局を振り返っての質疑応答に始まり、竜王位戴冠について、四冠の最年少記録について、一連の豊島前竜王との戦いについてと続きました。

目の前で行われている勝者に対するこのやりとりを、失冠した敗者は、うつむいたままただ黙って聞いていました。その場を逃げ出すわけにもいかないまま。

豊島さんは、今年に入り、王位戦、叡王戦、そして竜王戦と立て続けに藤井さんを相手にタイトルをかけた戦いを繰り広げてきました。
かつて、豊島さんが全て手にしたタイトルです。それを、この日ですべて失うことになったのです。

あの日の栄光と歓喜が失意に変わった瞬間でした。
勝負の世界に生きる者たちの定めと言えば、それまでですが、厳しい勝負の世界の非情さがそこにありました。

藤井さんへの記者のインタビューの後、豊島さんにもマイクが向けられました。
勝者へのインタビューの間に気持ちを整えたであろう豊島さんは、「竜王戦もそうですが、王位戦や叡王戦も合わせて実力不足を痛感したので、実力をつけていかないといけないと思います」と、顔を上げ、はっきりとした口調で答えました。

好漢・豊島さんの新規まき直しを期待しています。
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将棋の楽しみ方色々

2021年11月13日 | 将棋
第34期竜王戦七番勝負第4局の2日目が午前9時から始まっています。

昨日、74手目を封じたのは藤井三冠でした。
豊島竜王は、封じ手から先を一晩中考えていたのでしょうか。少なくとも、あまり眠れなかったように見えます。

髪の毛に櫛が入った様子がなく、慌ただしく着付けてもらったのでしょうか、和服の襟元にも乱れが見られます。

将棋は勝負事ですが、ボクシングや空手や柔道のように直接、打ち合ったり、蹴り合ったり、投げ合ったりすることのない分、逆に心に感じる痛みは相当なのだろうと想像出来ます。

棋士にもよりますが、特に勝負がついた直後の敗者の様子に、それははっきりと表れるように思います。

将棋には、戦略とか戦術とか勝った負けたというような面白みがある他、いや、それよりもむしろ、その周辺にある諸々の機微にこそ、より深い面白みが潜んでいるのかもしれません。
いやいや、少なくとも私にとっては棋士そのものが興味深い存在なのです。

さて、竜王戦第4局2日目も午後2時半を過ぎ、AIの評価値は豊島竜王28%対藤井三冠72%と藤井三冠に大きく傾いています。

評価値が10%対90%ぐらいに傾いていても、一瞬でそれがひっくり返ったりするのは、ままあることです。
しかし、藤井三冠の場合、逆転することはあっても、されることはまずありません。
史上最年少四冠が間もなく誕生しそうな流れです。
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