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Hanshin Tigers Series 2024

福原、エースの貫禄(23日・安芸)

2005-03-04 11:56:17 | Aki Camp
 白組の先発は右のエース、福原忍。第1球は真ん中に快速球を投げ込み、空振り! その「速さ」にスタンドから、どよめきが起きている。バッターは1番・的場寛一。2球目は辛うじてファウル。3球目、高めに浮いた速球を打ち返したが、セカンドライナー。2番・藤本敦士には、初球、内角の速球で詰まらせて、ショートゴロ。3番・鳥谷敬への初球も同じ球。ショートフライに打ち取り、3アウト。5球で【1回表】を終わらせた、福原。さすが! 

【2回表】4番・今岡誠への初球も速球(外角)でストライク。2球目、今度は内角を突いて、ストライク。3球目はファウル。4球目はウェストして、5球目の速球でファースト・ファウルフライ。東洋大学の先輩に対して、臆することなく真っ直ぐ勝負で制した。そして5番・これが実戦初登場、シェーン・スペンサー。初球の外角速球を見逃して、2球目を打って出て、サードゴロ。これだけでは判断できない……この男の真の実力は? 6番・葛城育郎には初めてカーヴを投げ、ストライク。2球目の速球は高めに浮くが、3球目で詰まらせて、セカンドゴロ。

【3回表】7番・喜田剛には初球の外角・速球が際どく外れた後、2球目の内角・速球で詰まらせて、セカンドゴロ。8番・野口寿浩が打席に入るが、マウンド上の福原に手で合図、「ちょっと待ってくれ」。打席を足で均す。キャッチャーらしい、巧みなインサイドワーク。ここまでポンポン、リズムよく投げ込んできた福原のリズムを狂わす作戦か。それが図に当たったか、初球、明らかなボール。2球目、カーヴを投げた、これが真ん中に入り、打球は三遊間の真ん中へ! レフト前ヒットの当たりだったが、そこに飛び込んだのは、久慈! 白いユニフォームを真っ黒に汚し、1塁へ正確な送球。鳥谷とは違う。違いすぎる。今シーズンは鳥谷の御守り(バックアップ)で「出番」が増えそうだ。

 9番・上坂太一郎も速球で詰まらせて、セカンドフライに打ち取り、3イニングスをパーフェクトに抑えた、福原。もはや「右のエース」というより、「エース」そのもの。キャンプ前の井川慶のポスティング騒動の際には、内心では「エースは俺に任せろ」と思っていたかもしれない。今シーズンは名実共に「エース」交代の年になるかもしれない。

【4回表】白組の2番手は、左腕ジェフ・ウィリアムスだったが、1番・的場に三遊間を破られ、2番・藤本にもセンター前へ。藤本には(昨年の)アテネ五輪の「借り」を今になって返された。あのとき、このヒットが出ていればな……いきなり、ノーアウト、一・二塁のピンチを招くが、3番・鳥谷、4番・今岡を連続空振り三振! 貫禄を見せる。そして5番・スペンサーも「2-0」と早々に追い込み、高めの速球で詰まらせ、キャッチャー・ファウルフライ。今年もウィリアムスは健在、を見せ付けたイニングだった。

【5回裏】マウンドに上がったのは、左腕・筒井和也。「あの」筒井和也、だ。翌24日に事件が発覚する筒井、だ。本人は当然、承知していた。「覚悟」のマウンドだった。大きく息を吐き出して、8番・浅井に第1球を投じた。そういえば、思い詰めたような顔をしている。最初に見たときは今日は随分、落ち着いているな、という印象だったが……浅井をレフトフライに打ち取り、9番・庄田を3球三振! 1番・中村豊も空振り三振に斬って取る。見事なピッチング! このキャンプ中、一番のピッチング、だった。

 筒井はいつ帰ってこれるのか? この事件をきっかけに精神面が強化され、ピッチングが向上すればいい。ただ背番号「19」が重たすぎるのかもしれない。2003年の自由獲得枠選手。このまま伸び悩みが続けば、「19番」も剥奪されるかもしれないし、トレードに出されるかもしれない。そうなると、「自分に」負けたことになる。ライヴァルに勝つ、相手バッターに勝つ、その戦場に戻ってくる為にも、己に克たなければ……!!