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Hanshin Tigers Series 2024

広池、特攻!(7日・広島市民)

2005-04-08 14:30:44 | Hiroshima Carp
「2対2」の同点で迎えた【4回裏】バッターは5番・前田智徳。初球カーヴ(115㎞)がすっぽ抜け。2球目、ストレート(143㎞)を空振りした3球目。マウンド上には、タイガース先発「エース」井川慶。この空振りで自信(過信)を持った井川。同じコースにストレート(144㎞)。これを振り抜いた前田。打球はライトスタンドに一直線に飛び込む、勝ち越しのホームラン! 「2対3」。やはり、前田は「怖い」。ベテランの意地炸裂!! 地元で3連敗は何としても阻止する、という気迫が漲る。

 しかし、今年のタイガースはもっと「怖い」。【6回表】カープの先発・高橋建に2アウトを取られながら、この日「5打数1安打」だった6番シェーン・スペンサーが、この日唯一のヒットをレフトスタンドに放り込む! 「3対3」。尚も“新・恐怖の7番打者”鳥谷敬がセンター前(内野安打)にヒットを飛ばし、8番・矢野輝弘に「繋ぎ」、矢野が「2-2」からの高めの“クソボール”を振り抜き、打球はレフトスタンドへ! 矢野が「8番」に座っていることこそ、“恐怖”そのものだろう。「5対3」タイガースが逆転に成功!

「エース」井川が普通の調子なら、このまま逃げ切れただろうが、今日の井川は「普通」ではなかった。今シーズンは、と言い直すべきか? 【6回裏】先頭の新井貴浩に「0-3」にして、四球(フォアボール)。そこから、4番・嶋重宣、5番・前田、6番・木村拓也に3連打を浴びて、「5対5」同点。マウンドにいるのが「エース」でなければ、「交代」を命じられていただろう。球は走らず、変化球(チェンジアップ)は悉く高めに浮く。最悪のピッチング!! さらに「サード」今岡誠のエラーで「痛い」6点目を喫する。サード正面の何でもない、ゴロだった。恐れていたことが現出した!

 タイガースは尚も【7回表】にアンディー・シーツの2ランで勝ち越すが、その裏に藤川球児とジェフ・ウィリアムスの「共同作業」で1点を失い、「7対7」同点。【9回表】に「信じられないことに」再びシーツに2ランが生まれ、「9対7」。誰もが「勝利」を確信したが、【9回裏】緊迫した場面での抑えは、今シーズン初めてになる、クローザー久保田智之。此処は広島市民球場。2点差は「セーフティー・リード」ではない。しかも地元ファンの熱狂的な応援で異様なムードに包まれている。結末は……「9対10」サヨナラ負け!!

 久保田はオープン戦を無失点で切り抜け、地元【ABC】や【MBS】のアナウンサーや解説者がこぞって「絶好調!」と囃し立てていたが、決してそうは思わなかった。球は速いが、棒球気味だし、これが「怖いな…」と思っていたが、案の定だった。やられた。クローザーで試合を落とした。しかし、元はといえば、先発の「エース」が普通に試合を作っていれば、こんな試合展開にはならなかったのだが……しかし、カープの気迫も凄かった。【8回裏】にはピッチャーが2塁にヘッドスライディングして、盗塁を成功させていた。

 そのピッチャー=広池浩司。昨日(6日)に続き、今日(7日)も登板したが、シーツにこの日、2回目の勝ち越し2ランを喫した。【9回裏】のベンチで、タオルで顔を覆い、嗚咽していた広池。その広池をも救う、このカープのサヨナラ勝利。やはり「気迫」。それが大事。広島市民球場の熱狂的なムードが呼び込んだのか、それとも選手の気迫がスタンドに伝染したのか? タイガースは仕切り直し。明日(8日)からホーム・甲子園球場に帰って、「天敵」三浦大輔(横浜ベイスターズ)を迎え討つ。