■私、結婚できないんじゃなくてしないんです
■2016年春クール 金曜22時TBS放送
■脚本 金子ありさ
■出演
中谷美紀、藤木直人、徳井義美、平岩紙、夏木マリ、長谷川京子
松井珠理奈、大政絢、マルシア、蘭寿とむ、瀬戸康史
■感想
中盤辺りにふと見始めて(おそらく夫さんのいない夜、アイロンかけのお供にテレビをつけたと思われます。初回時点ではまったくもってノーマークでした。)あまりに思い当たる節があるというか、痛いところをぐさぐさと突きつけられるので、毎回、録画して見るようになりました。
・・・でも、まあ、私は結婚「しなかった」わけではなく「できなかった」んですけど。
ヒロインが再三にわたって「できないんじゃなくて、しないんです!」と力いっぱい主張していましたが、そりゃそーだ。このふたつはかなり大きな違いだと思うわけです。そして、私は断然「できなかった人」なのです。母上にも祖母にも、そして親戚にも何度「結婚しないんじゃなくて、できないんです!相手がいないんです!殿方からまったくもって相手にされないんです!」と言って来たことか。(書いてて悲しくなってきました。でも、事実。)
つまり私は、このドラマのヒロイン雅さんのように美人さんでもないし、成績もよければ頭もよい、行動力もある、なんていうハイスペック女子ではまったくもってなかったわけで。共感できるところなんて、これっぽっちもあるわけないのに、それでも見ていたら、思い当たる節がありすぎて胸が痛くなりました。なんだろなー。「自分のことはちゃんと分かってますから」と客観的な目線で自分を評価しているつもりなのに、その自分に対する客観的評価が年を重ねて変化していることに気付けないでいる感じとか、自分で自分のことを分かっているつもりで自虐的なことを言っては空回りし、周囲にかえって気を使わせてしまう感じとか、「無理をしてまで結婚する必要なんてない」と思いながらもひとりで生きることに寂しさを感じてしまう瞬間とか、時が来たらごくごく自然に(特に苦労なんてすることなく)好きな人と結婚できると思っていたのに、みんなが自然にしている「結婚」がものすごく難しいことだと感じる瞬間だとか、なんか・・・分かる・・・・と思うところ満載で、時には真剣に泣いちゃうぐらい感情移入して見てしまいました。
またね、きらきら輝いていた高校時代を回想する場面が毎回毎回あって、そこでまさに私世代にとってどんぴしゃのBGMが流れているんです。そりゃ、胸が締め付けられてしまうというもの。
スピッツ「空も飛べるはず」、プリプリ「M」、ミスチル「抱きしめたい」、サザン「涙のキッス」、井上陽水「少年時代」、今井美樹「PIECE OF MY WISH」、中山美穂「世界中の誰よりきっと」、ドリカム「すき」、ユーミン「卒業写真」・・・って、どの曲も私自身の高校時代も彩ってくれた曲ばかりで、ドラマのストーリーを追いつつ、自分の高校時代も懐かしく思い返しました。どの曲聴いても自分の高校時代の具体的なエピソードが蘇ってくる・・・。曲の持つ力ってすごいです。
面白かったし、切なかったし、ヒロインのことを心から応援してみていましたが、でも私は紹介された手法なんて使えないなー、と思うクチです。紹介された手法をアドバイスに従って使えるような器用な人だったら、「結婚できないんじゃなくて、しないんです!」とか「私は結婚できなかったクチです!」なんて声高に主張するようなメンドクサイこじらせ方をせず、早いうちに結婚して王道の幸せを手に入れてるんじゃないかしら?と思います。
それにしても藤木さん、かっこよかった!
どれだけひどく罵倒されても、全然嫌になりませんでした。なれるわけがない!むしろテンポよく的確に具体的にヒロインのダメなところを指摘する藤木さんはものすごーーーーーーーーーーーくかっこよかった!
ヒロイン雅さんとの遠慮のない、でもつかず離れずの関係は少し物足りませんでしたが、でもきっと二人はこうやってお互いの気持ちを分かりつつ、でも素直にはなれず、ふたりで一緒に時を重ねていくんだろうな、ということが伝わってくる終わり方で満足しました。最終回でいきなり藤木さん演じる戸倉さんが今までの毒舌キャラを脱ぎ捨てて甘い言葉を雅さんに投げかけてたら、違和感しかなかったと思うし。そんな「いかにも最終回」みたいな無理矢理、かつ少々違和感のあるハッピーエンドを選択せず、自然で「このふたりでこそ」な素敵な終わり方を見せてくれたことで、なおさらこのドラマを好きになりました。
しっかし、雅の初恋の相手、桜井さん。
彼と雅さんの関係を見ていたら、つくづく結婚って縁とタイミングだな、と思いました。ずっと両想いだったのに、結ばれないし、ようやく思いが通じ合えたと思ったら、40目前の女性に対して「好きだ。でも結婚はまだ考えられない。」とか「え?今、この年でそんな告白しちゃいます?」というようなセリフを悪気なくまじめに誠実に(あくまでも「誠実」ゆえのセリフっていうあたりが本気で厄介・・。)伝える厄介な男性だし、それでも、付き合いを重ねることでようやく彼も雅さんと「結婚したい」と自然に思えるようになったというのに、その時には雅さんの心は自分から離れているなんて。本当に恋も結婚も、つまるところ人の心というものは厄介極まりないったらないのです。
■2016年春クール 金曜22時TBS放送
■脚本 金子ありさ
■出演
中谷美紀、藤木直人、徳井義美、平岩紙、夏木マリ、長谷川京子
松井珠理奈、大政絢、マルシア、蘭寿とむ、瀬戸康史
■感想
中盤辺りにふと見始めて(おそらく夫さんのいない夜、アイロンかけのお供にテレビをつけたと思われます。初回時点ではまったくもってノーマークでした。)あまりに思い当たる節があるというか、痛いところをぐさぐさと突きつけられるので、毎回、録画して見るようになりました。
・・・でも、まあ、私は結婚「しなかった」わけではなく「できなかった」んですけど。
ヒロインが再三にわたって「できないんじゃなくて、しないんです!」と力いっぱい主張していましたが、そりゃそーだ。このふたつはかなり大きな違いだと思うわけです。そして、私は断然「できなかった人」なのです。母上にも祖母にも、そして親戚にも何度「結婚しないんじゃなくて、できないんです!相手がいないんです!殿方からまったくもって相手にされないんです!」と言って来たことか。(書いてて悲しくなってきました。でも、事実。)
つまり私は、このドラマのヒロイン雅さんのように美人さんでもないし、成績もよければ頭もよい、行動力もある、なんていうハイスペック女子ではまったくもってなかったわけで。共感できるところなんて、これっぽっちもあるわけないのに、それでも見ていたら、思い当たる節がありすぎて胸が痛くなりました。なんだろなー。「自分のことはちゃんと分かってますから」と客観的な目線で自分を評価しているつもりなのに、その自分に対する客観的評価が年を重ねて変化していることに気付けないでいる感じとか、自分で自分のことを分かっているつもりで自虐的なことを言っては空回りし、周囲にかえって気を使わせてしまう感じとか、「無理をしてまで結婚する必要なんてない」と思いながらもひとりで生きることに寂しさを感じてしまう瞬間とか、時が来たらごくごく自然に(特に苦労なんてすることなく)好きな人と結婚できると思っていたのに、みんなが自然にしている「結婚」がものすごく難しいことだと感じる瞬間だとか、なんか・・・分かる・・・・と思うところ満載で、時には真剣に泣いちゃうぐらい感情移入して見てしまいました。
またね、きらきら輝いていた高校時代を回想する場面が毎回毎回あって、そこでまさに私世代にとってどんぴしゃのBGMが流れているんです。そりゃ、胸が締め付けられてしまうというもの。
スピッツ「空も飛べるはず」、プリプリ「M」、ミスチル「抱きしめたい」、サザン「涙のキッス」、井上陽水「少年時代」、今井美樹「PIECE OF MY WISH」、中山美穂「世界中の誰よりきっと」、ドリカム「すき」、ユーミン「卒業写真」・・・って、どの曲も私自身の高校時代も彩ってくれた曲ばかりで、ドラマのストーリーを追いつつ、自分の高校時代も懐かしく思い返しました。どの曲聴いても自分の高校時代の具体的なエピソードが蘇ってくる・・・。曲の持つ力ってすごいです。
面白かったし、切なかったし、ヒロインのことを心から応援してみていましたが、でも私は紹介された手法なんて使えないなー、と思うクチです。紹介された手法をアドバイスに従って使えるような器用な人だったら、「結婚できないんじゃなくて、しないんです!」とか「私は結婚できなかったクチです!」なんて声高に主張するようなメンドクサイこじらせ方をせず、早いうちに結婚して王道の幸せを手に入れてるんじゃないかしら?と思います。
それにしても藤木さん、かっこよかった!
どれだけひどく罵倒されても、全然嫌になりませんでした。なれるわけがない!むしろテンポよく的確に具体的にヒロインのダメなところを指摘する藤木さんはものすごーーーーーーーーーーーくかっこよかった!
ヒロイン雅さんとの遠慮のない、でもつかず離れずの関係は少し物足りませんでしたが、でもきっと二人はこうやってお互いの気持ちを分かりつつ、でも素直にはなれず、ふたりで一緒に時を重ねていくんだろうな、ということが伝わってくる終わり方で満足しました。最終回でいきなり藤木さん演じる戸倉さんが今までの毒舌キャラを脱ぎ捨てて甘い言葉を雅さんに投げかけてたら、違和感しかなかったと思うし。そんな「いかにも最終回」みたいな無理矢理、かつ少々違和感のあるハッピーエンドを選択せず、自然で「このふたりでこそ」な素敵な終わり方を見せてくれたことで、なおさらこのドラマを好きになりました。
しっかし、雅の初恋の相手、桜井さん。
彼と雅さんの関係を見ていたら、つくづく結婚って縁とタイミングだな、と思いました。ずっと両想いだったのに、結ばれないし、ようやく思いが通じ合えたと思ったら、40目前の女性に対して「好きだ。でも結婚はまだ考えられない。」とか「え?今、この年でそんな告白しちゃいます?」というようなセリフを悪気なくまじめに誠実に(あくまでも「誠実」ゆえのセリフっていうあたりが本気で厄介・・。)伝える厄介な男性だし、それでも、付き合いを重ねることでようやく彼も雅さんと「結婚したい」と自然に思えるようになったというのに、その時には雅さんの心は自分から離れているなんて。本当に恋も結婚も、つまるところ人の心というものは厄介極まりないったらないのです。