8.耳をすませば/1995年日本
■原作:柊あおい
■監督:近藤喜文
■ストーリ
雫は中学3年生。両親と大学生の姉とともに東京近郊の団地に住む
ごく普通の読書好きの女の子だ。そんな雫が親しくなった同級生の
少年は、中学を卒業したらすぐに、バイオリン職人になるために
イタリアに渡ると言う。進路について深く考えていなかった自分に
気づいた雫が、自分のやりたいこととして選んだのは・・・。
思春期の迷いや焦り、そして出会いがもたらす成長を、変わりゆく
季節の様子とともにみずみずしく描き上げた作品。
■感想 ☆☆☆☆*
ジブリ作品の中で一番好きな作品は文句なく「ナウシカ」だ。
これはダントツ。迷うこともない。けれど、その後は甲乙つけ難く
色々と悩んだ末に、トトロ、ハウルを選ぶことが多い。
この「耳をすませば」はあまり挙がってこない。
けれども、テレビ放映されていると必ず見てしまう。それ故に
ジブリ作品の中ではおそらく最も多く見ている作品だ。
そう、私はこの作品が好きだ。けれども「一番」に挙げることはない。
それは、この作品が持つ「初恋」の雰囲気が私にとって
「照れくささ」や「気恥ずかしさ」とギリギリのライン上で
隣り合わせにあるからだ。
たとえばヒロイン雫と天沢聖司のお互いの呼び方。
知り合った当初、苗字で呼び合っていた二人は突如、下の名前で
呼びあうようになる。その前触れのない変化に、私はどうしても
違和感と身の置き所のないような気恥ずかしさを覚えてしまう。
そして、ラストの「結婚しよう」という告白。
この畳み掛けるような甘い展開に、私の恋愛偏差値では
どうしてもついていくことができない。
けれども、こんなに否定的なことを言っておきながら、私は
この作品がどうしようもなく好きだ。
この作品の持つ雰囲気が好きだ。町並みも坂の上にある図書館も
気まぐれに開いている雑貨屋も、雑貨屋の裏から見下ろす風景も
ふてぶてしい表情の猫も、すべてが大好きだ。
そして、何よりヒロインが好きなのだ。
ヒロインの抱える悩み、逡巡、両親への小さな反抗、未来への
焦り、そのどれもが愛おしい。彼女の初恋さえ、見るたびに
気恥ずかしく思いながらも、やはり愛おしく、ほほえましく
見守ってしまう。
最も好きな場面は、ヒロインが小説を書き終え、自分の小説の
稚拙さに泣きじゃくる場面。
己の力不足に泣きじゃくるヒロインは、泣きじゃくっていても
未来の持つ未知数の輝きによって、キラキラしている。
この場面だけではない。この作品は、その至るところから、
未来への希望を感じさせる。そして、同時に「大切な過去の
思い出」の持つ輝きも作品のそこかしこからこぼれ落ちてきている。
私は、そのきらめきに惹かれて、この作品を見返しているのだと思う。
…。
■原作:柊あおい
■監督:近藤喜文
■ストーリ
雫は中学3年生。両親と大学生の姉とともに東京近郊の団地に住む
ごく普通の読書好きの女の子だ。そんな雫が親しくなった同級生の
少年は、中学を卒業したらすぐに、バイオリン職人になるために
イタリアに渡ると言う。進路について深く考えていなかった自分に
気づいた雫が、自分のやりたいこととして選んだのは・・・。
思春期の迷いや焦り、そして出会いがもたらす成長を、変わりゆく
季節の様子とともにみずみずしく描き上げた作品。
■感想 ☆☆☆☆*
ジブリ作品の中で一番好きな作品は文句なく「ナウシカ」だ。
これはダントツ。迷うこともない。けれど、その後は甲乙つけ難く
色々と悩んだ末に、トトロ、ハウルを選ぶことが多い。
この「耳をすませば」はあまり挙がってこない。
けれども、テレビ放映されていると必ず見てしまう。それ故に
ジブリ作品の中ではおそらく最も多く見ている作品だ。
そう、私はこの作品が好きだ。けれども「一番」に挙げることはない。
それは、この作品が持つ「初恋」の雰囲気が私にとって
「照れくささ」や「気恥ずかしさ」とギリギリのライン上で
隣り合わせにあるからだ。
たとえばヒロイン雫と天沢聖司のお互いの呼び方。
知り合った当初、苗字で呼び合っていた二人は突如、下の名前で
呼びあうようになる。その前触れのない変化に、私はどうしても
違和感と身の置き所のないような気恥ずかしさを覚えてしまう。
そして、ラストの「結婚しよう」という告白。
この畳み掛けるような甘い展開に、私の恋愛偏差値では
どうしてもついていくことができない。
けれども、こんなに否定的なことを言っておきながら、私は
この作品がどうしようもなく好きだ。
この作品の持つ雰囲気が好きだ。町並みも坂の上にある図書館も
気まぐれに開いている雑貨屋も、雑貨屋の裏から見下ろす風景も
ふてぶてしい表情の猫も、すべてが大好きだ。
そして、何よりヒロインが好きなのだ。
ヒロインの抱える悩み、逡巡、両親への小さな反抗、未来への
焦り、そのどれもが愛おしい。彼女の初恋さえ、見るたびに
気恥ずかしく思いながらも、やはり愛おしく、ほほえましく
見守ってしまう。
最も好きな場面は、ヒロインが小説を書き終え、自分の小説の
稚拙さに泣きじゃくる場面。
己の力不足に泣きじゃくるヒロインは、泣きじゃくっていても
未来の持つ未知数の輝きによって、キラキラしている。
この場面だけではない。この作品は、その至るところから、
未来への希望を感じさせる。そして、同時に「大切な過去の
思い出」の持つ輝きも作品のそこかしこからこぼれ落ちてきている。
私は、そのきらめきに惹かれて、この作品を見返しているのだと思う。
…。