2013年後半から心がざわついているせいか、じっくり本と向き合えず。
2014年1月も5冊からのスタートです。
本をじっくり読めるか、読めないか、が、私の心の元気を測るバロメーターなのですが
それでいうと、弱っていること甚だしいのです。自覚はあまりないんだけどな。
でも、ドラマもあまり見ていないし!
(あくまでも当社比。世間一般的にはとても見ているほうだと思われます。)
はよ心を落ち着けて、本やドラマと向き合いたいものです。
がんばれ、わたし。(←他人事)
1.ガソリン生活/伊坂幸太郎
■感想 ☆☆☆☆
なんとも愛すべきマイカー小説でした。「マイカー小説」というジャンルを見事確立させてました。ぜひとも続編を出してほしいよ!と熱望せずにはいられない作品でした。
主人公は望月家のマイカー、緑のデミオ。彼目線で物語が描かれるため、事件に巻き込まれた望月家やその周辺にいる面々の行動をすべて知ることはできません。彼が知り得るのは、持ち主たちが車に乗っていたり、車のすぐ傍で立ち話をしていたり。「さあ、ここからが事件の核心部分!」と思っても、持ち主たちが車を出てしまうと、その核心部分を聞き逃してしまう。かと思えば、車同士のネットワークで人間が知り得ない情報を車たちから得ていたり。けれど、その情報を望月家の面々にはまったくもって伝えれなかったり。そういった「不完全」なストーリー軸があって、その隙間を縫って、いろんな小さなエピソードがちりばめられていて。なおかつ、「散りばめられていたエピソード」が見事な伏線で、クライマックスに向けてすべての謎が回収されていくさまを感嘆しながら読み進めました。すごいカタルシスだったなー。
ユーモアあふれる語り口でしたが、描かれている現実は決してユーモア交じりではなく「世の中には分かり合えない人間がいる」というもので、やりきれなさの残る作品でした。やりきれない、けれど、実際に起こりそうな事件。だからこそ、ラストにデミオを待ち受けていたあたたかい運命に胸が熱くなりました。
2.復活の日〜ありふれた生活8〜/三谷幸喜
3.さらば友よ〜ありふれた生活9〜/三谷幸喜
本読むのがきついわー、でも、文字に触れたいわー、というときに必ず頼ってしまう三谷さんのエッセイ。彼のどんなときもユーモアを忘れないサービス精神が大好きです。この2作は映画「ザ・マジックアワー」の宣伝活動でテレビによく出ていた頃から、三谷さん生誕50周年に向けての活動が始まるか始まらないか辺りまで。本当によく働いている人だなぁ、と感嘆します。そして、そんなに忙しいにも関わらず、好きな映画もよく見返していて、何をどうやったら、そんな時間をひねり出せるのかしら?と自分の時間の使い方の下手さ加減を呪いたくなります。
最も好きな話は、かつてお世話になった劇場(シアタートップス)が閉鎖するため、久々にサンシャインボーイズの劇団員が集まって再結成し、舞台を作り上げるまでのあれやこれやを書いたもの。たった10日間でひとつの作品を作り上げるプロ集団のカッコよさ、劇団が休止してからもう何年も経つけれど、集まれば「かつての仲間」としてよみがえる空気感とか「彼らならやってくれるはず」という仲間に対する絶大な信頼感とか、それぞれが忙しく活躍しているにも関わらず、飄々と稽古場に集まってくる劇団員たちとか、そういったかっこいい大人たちがが存分に描かれていて、この舞台をぜひとも見たかったな、その空間に私もいたかったなぁ、と心から思わされました。
4.人生の旅をゆく/よしもとばななな
5.人生の旅をゆく2/よしもとばななな
ばななさんの作品が大好きです。けれど、ばななさんのエッセイは私にとって「好きだけれど、苦手」「苦手だけれど、やっぱり好き」という気持ちにさせられるものばかりです。それでも、やはり折に触れ、彼女のエッセイを手にしてしまうのは、おそらく私がばななさんのはっきりとした物言いやスタンスがとても苦手で、でも、その一方で、彼女の揺るぎない強さを持った極端すぎる物言いやスタンスに憧れ続けているからなのだろうと思うのです。
彼女は自分の周囲にいない人、自分が大切にしようと心に決めた人以外の意見には耳を貸さないし、彼らがどんなに自分を非難したとしても傷つかない。と、決めているように見えます。おそらく実際には「傷つかない」と決意して傷つかないでいることなんてできない。だから彼女は、聞こえてくるいろんな批判に胸を痛めることもあると思うのだけれど、でも、そういった自分を決して見せない。大切な人以外の意見は、「雑音」と決めて「聞かない」ことを選択している。
私はその姿勢に、これからも違和感と憧れを抱き続けるんだろうと思います。そして、ばななさんのエッセイを読むときに感じるこの中途半端な姿勢、ぶれこそが私の人となりを象徴的に表しているんじゃないかな、とも思うのです。
2014年1月も5冊からのスタートです。
本をじっくり読めるか、読めないか、が、私の心の元気を測るバロメーターなのですが
それでいうと、弱っていること甚だしいのです。自覚はあまりないんだけどな。
でも、ドラマもあまり見ていないし!
(あくまでも当社比。世間一般的にはとても見ているほうだと思われます。)
はよ心を落ち着けて、本やドラマと向き合いたいものです。
がんばれ、わたし。(←他人事)
1.ガソリン生活/伊坂幸太郎
■感想 ☆☆☆☆
なんとも愛すべきマイカー小説でした。「マイカー小説」というジャンルを見事確立させてました。ぜひとも続編を出してほしいよ!と熱望せずにはいられない作品でした。
主人公は望月家のマイカー、緑のデミオ。彼目線で物語が描かれるため、事件に巻き込まれた望月家やその周辺にいる面々の行動をすべて知ることはできません。彼が知り得るのは、持ち主たちが車に乗っていたり、車のすぐ傍で立ち話をしていたり。「さあ、ここからが事件の核心部分!」と思っても、持ち主たちが車を出てしまうと、その核心部分を聞き逃してしまう。かと思えば、車同士のネットワークで人間が知り得ない情報を車たちから得ていたり。けれど、その情報を望月家の面々にはまったくもって伝えれなかったり。そういった「不完全」なストーリー軸があって、その隙間を縫って、いろんな小さなエピソードがちりばめられていて。なおかつ、「散りばめられていたエピソード」が見事な伏線で、クライマックスに向けてすべての謎が回収されていくさまを感嘆しながら読み進めました。すごいカタルシスだったなー。
ユーモアあふれる語り口でしたが、描かれている現実は決してユーモア交じりではなく「世の中には分かり合えない人間がいる」というもので、やりきれなさの残る作品でした。やりきれない、けれど、実際に起こりそうな事件。だからこそ、ラストにデミオを待ち受けていたあたたかい運命に胸が熱くなりました。
2.復活の日〜ありふれた生活8〜/三谷幸喜
3.さらば友よ〜ありふれた生活9〜/三谷幸喜
本読むのがきついわー、でも、文字に触れたいわー、というときに必ず頼ってしまう三谷さんのエッセイ。彼のどんなときもユーモアを忘れないサービス精神が大好きです。この2作は映画「ザ・マジックアワー」の宣伝活動でテレビによく出ていた頃から、三谷さん生誕50周年に向けての活動が始まるか始まらないか辺りまで。本当によく働いている人だなぁ、と感嘆します。そして、そんなに忙しいにも関わらず、好きな映画もよく見返していて、何をどうやったら、そんな時間をひねり出せるのかしら?と自分の時間の使い方の下手さ加減を呪いたくなります。
最も好きな話は、かつてお世話になった劇場(シアタートップス)が閉鎖するため、久々にサンシャインボーイズの劇団員が集まって再結成し、舞台を作り上げるまでのあれやこれやを書いたもの。たった10日間でひとつの作品を作り上げるプロ集団のカッコよさ、劇団が休止してからもう何年も経つけれど、集まれば「かつての仲間」としてよみがえる空気感とか「彼らならやってくれるはず」という仲間に対する絶大な信頼感とか、それぞれが忙しく活躍しているにも関わらず、飄々と稽古場に集まってくる劇団員たちとか、そういったかっこいい大人たちがが存分に描かれていて、この舞台をぜひとも見たかったな、その空間に私もいたかったなぁ、と心から思わされました。
4.人生の旅をゆく/よしもとばななな
5.人生の旅をゆく2/よしもとばななな
ばななさんの作品が大好きです。けれど、ばななさんのエッセイは私にとって「好きだけれど、苦手」「苦手だけれど、やっぱり好き」という気持ちにさせられるものばかりです。それでも、やはり折に触れ、彼女のエッセイを手にしてしまうのは、おそらく私がばななさんのはっきりとした物言いやスタンスがとても苦手で、でも、その一方で、彼女の揺るぎない強さを持った極端すぎる物言いやスタンスに憧れ続けているからなのだろうと思うのです。
彼女は自分の周囲にいない人、自分が大切にしようと心に決めた人以外の意見には耳を貸さないし、彼らがどんなに自分を非難したとしても傷つかない。と、決めているように見えます。おそらく実際には「傷つかない」と決意して傷つかないでいることなんてできない。だから彼女は、聞こえてくるいろんな批判に胸を痛めることもあると思うのだけれど、でも、そういった自分を決して見せない。大切な人以外の意見は、「雑音」と決めて「聞かない」ことを選択している。
私はその姿勢に、これからも違和感と憧れを抱き続けるんだろうと思います。そして、ばななさんのエッセイを読むときに感じるこの中途半端な姿勢、ぶれこそが私の人となりを象徴的に表しているんじゃないかな、とも思うのです。