のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

12月の読書

2009年12月31日 23時19分19秒 | 読書歴
118.ホワイト・クロウ「インディゴの夜 シリーズ3」/加藤実秋
■ストーリ
 スタイリッシュで、個性的なホストが集うクラブ「インディゴ」は
 オープン三年目を迎え、リニューアルを決定。ツテで有名インテリア
 デザイナーに内装を依頼した。改装工事の間、店は仮店舗で営業する
 ことになる。そんなバタバタの中、ホスト達はそれぞれトラブルに
 見舞われて。
■感想 ☆☆☆*
 シリーズ三作目になり、ジョン太、アレックス、犬マンなどの
 今までは「脇役」だったホストたちにもしっかりとスポットライトが
 あたり、ますます親近感を持てるシリーズになってきました。
 連作短編集の醍醐味で、それぞれ1編ずつは、ホストたちが
 プライベートで巻き込まれた事件とそのの顛末を描き、それぞれの
 伏線が、ラストの1編で「インディゴ」リニューアルに絡む騒動として
 見事につながります。こういう「短編集だけど、全体的に見ると
 長編」というつくりは、お得な気持ちになるので大好きです。

119.大きな熊が来る前にお休み/島本理生
■ストーリ
 徹平と暮らし始めて、もうすぐ半年になる。だけど今が手放しで幸せ、
 という気分ではあまりなくて、むしろ転覆するかも知れない船に乗って
 岸から離れようとしている。そんな気持ちがまとわりついていた。
 新しい恋を始めた3人の女性を主人公に、人を好きになること、
 誰かと暮らすことの危うさと幸福感を描く。

■感想 ☆☆☆☆
 島本さんの文章が好きです。島本さんの描く「真面目なオンナノコ」
 が好きです。不器用で、他人を信じたり甘えたりすることが苦手な
 オンナノコたち。読んでいて、ちょっぴり痛々しいけれど、
 ほほえましい気持ちにもなります。でも、痛々しいほうが大きい
 かもしれない。文章がさらりとしているので、非常に読みやすいです。
 ただ、読み終わった後に、さらりと忘れてしまう危うさもあります。
 疲れたときに、つい手にとってしまうのは、このさらりとした
 読み心地故かもしれません。
 
120.向田邦子 暮らしの楽しみ
■内容
 脚本家、エッセイスト、小説家として活躍する一方、暮らしを
 愉しむのが上手だった向田邦子さん。手軽でおいしい手料理、
 食いしん坊ならではの器えらび、終の住処での暮しぶり、
 行きつけの店、旅。そのライフスタイルには「自分らしく生きる
 とはどういうことか」を知るヒントがたくさん詰まっています。

■感想 ☆☆☆☆
 テーマが好みだった場合のどんぴしゃり率がずばぬけて高い
 「とんぼブック」です。写真がたくさん、でも文章もたくさんで
 お得な気持ちになるムック本です。ただ、お値段が少々高いのです。
 ま、写真の多さやカラー写真の質感などを考えると当然というか
 むしろ、少々お得なのかも、という値段ではありますが。
 向田さんの美人振りが際立つ写真ばかり。そして、彼女の
 センスの高さに感服しっぱなしの一冊です。つくづくかっこいい。

121.ささらさや/加納朋子
■ストーリ
 事故で夫を失ったサヤは赤ん坊のユウ坊と佐佐良の街へ移住する。
 そこで次々に起こる不思議な事件。けれど、その度に亡き夫が
 他人の姿を借りて助けに来るのだ。そんなサヤに、義姉がユウ坊を
 養子にしたいと圧力をかけてくる。
 ゴーストの夫とサヤが永遠の別れを迎えるまでの愛しく切ない日々を
 描く連作ミステリ小説。

■感想 ☆☆☆☆*
 疲れているとき、優しい気持ちになりたいときにお勧めの一冊。
 文庫本の表紙イラストも優しい一冊です。
 男性にはあまりお勧めしません。でもたういていの「オンナノコ」は
 この世界、大好きだと思うのです。

122.てるてるあした/加納朋子
■ストーリ
 親の夜逃げのために高校進学を諦めた照代。そんな彼女の元に
 差出人不明のメールが届き、女の子の幽霊が現れる。
 不思議な街「佐々良」で暮らし始めた照代の日々を、
 彼女を取り巻く人々との触れ合いと季節の移り変わりを通じて
 鮮明に描いた癒しと再生の物語。

■感想 ☆☆☆☆☆
 「ささらさや」の続編。とは言うものの、「ささらさや」のヒロイン
 さやは、今回、脇役に回ります。変わって、ヒロインを務めるのは
 素直で人を疑うことを知らなかったお人よしのさやと正反対、
 ひねくれ者で、憎まれ口ばかりたたいているてるよです。
 そんな彼女が「佐々良」町の人々に見守られ、少しずつ少しずつ
 変わっていく様子に胸がぎゅっと熱くなりました。
 何度読み返しても、毎回毎回、目頭が熱くなります。
 ヒロインとしてはさやのほうが好きですが、お話としては断然、
 こちらのほうに胸を打たれます。

123.春になったら苺を摘みに/梨木香歩
■内容
 「理解はできないが、受け容れる」それがウェスト夫人の生き方
 だった。「私」が学生時代を過ごした英国の下宿には、女主人
 ウェスト夫人と、さまざまな人種や考え方の住人たちが暮らしていた。
 ウェスト夫人の強靭な博愛精神と、時代に左右されない生き方に触れて
 「私」は日常を深く生き抜くことを、さらに自分に問い続ける。

■感想 ☆☆☆☆
 梨木さんの作品が好きです。梨木さんの選ぶ言葉が好き。
 でも、それだけでなく、梨木さんの考え方、生き様、人との関わり方
 それらが好きだと気付いた一冊。彼女のシンプルな生き方、
 ぶれのないスタンスに憧れを覚えました。

124.三谷幸喜のありふれた生活
125.大河な日々-三谷幸喜のありふれた生活3-
■内容
 女優の妻、2匹の猫と愛犬とびとの生活、締め切り破りの日々、
 松たか子など仕事で出会う様々な人たち。人気脚本家の慎ましやか
 だがエキサイティングな日々を綴った朝日新聞で人気のエッセイ。

■感想 ☆☆☆☆☆
 三谷さん大好きです。三谷さんの脚本も映画も好きですが
 何より好きなのは、三谷さんの人柄がダイレクトに伝わってくる
 エッセイです。人見知りでひきこもりなのに、なぜか表に
 出ることになる、むしろ進んで表に出てしまう使命感に燃えている
 三谷さんの呟きが大好きです。
 何より、三谷さんの文章から垣間見える奥さんや家族の猫たちへの
 暖かいまなざしが大好きなのです。

126.ピーコとサワコ
■内容
 「テレビのウラ話をめぐるホンネで爆発!」
 「テレビタレントをめぐる寄らば斬るゾ」
 「ファッション・チェックをめぐる卑しさと品格」
 口から生まれた阿川佐和子さんとピーコさんが丁丁発止とわたり合う
 対談集。

■感想 ☆☆☆*
 つくづくサワコさん、大好きです。サワコさんの聞き上手な部分が
 存分に発揮されている対談集です。私もこういうふうに人の話を
 聴ける人にならねば・・・という気持ちにさせられました。
 語り口がさばさばしているので、爽快な気持ちを味わえます。

127.僕は悪党になりたい/笹生陽子
■ストーリ
 僕の名前は兎丸エイジ、17歳。父親は不在だが、奔放な母親と
 腕白な異父弟・ヒロトと3人で平凡な生活を送ってる。
 毎日炊事、洗濯、ゴミ捨てと家事全般をこなす高校生が「平凡」か
 どうかは我ながら疑問なんだけど。
 ある日、弟のヒロトが病気で倒れ、僕の「平凡」な日常が少しずつ
 崩れ始める。

■感想 ☆☆☆
 小心者で事なかれ主義のイマドキ高校生が、「日常」を打ち破り
 「非日常」へ一歩踏み出す過程が無理なく描かれていて、
 「ありそうだなぁ」と素直に思えました。
 思春期にありがちな勘違いや「失敗したくない」「うまくやりたい」
 というイマドキの若者らしい気負いに、数年前の自分を思い出して
 いたたまれない気持ちにもなりました。

128.今夜も宇宙の片隅で/笹生 陽子
■ストーリ
 「ネットにアクセスしてる時って、無限の宇宙空間にほうりだされた
 小さな星になっている気がしない?」ぼくたちはつながっている。
 ちょっぴりの勇気があれば、いつだって誰とだってつながれる。

■感想 ☆☆☆*
 爽快な青春小説。
 話の筋だけを追うと、平凡・善良な男子中学生が興味とノリでヤバい
 クスリを買おうとしたら、その売人が過去の悪い同級生で・・・と
 まったく「爽快な」青春小説にたどり着かなさそうですが。
 そして、予想通り、ストーリーは青春小説の王道からは外れたまま
 終わりを迎えるわけですが。
 それでも、読み終わった後に爽快な気持ちを味わえます。
 「ま、いっか。」「なんとかなるさ。」そんな明るい気持ちになります。
 トモダチっていいな、と心から思える小説。

129.少女七竈と七人の可愛そうな大人/桜庭一樹
■ストーリ
 わたし、川村七竈(ななかまど)十七歳はたいへん遺憾ながら、
 美しく生まれてしまった。鉄道を愛し、孤高に生きる七竈。
 淫乱な母は、すぐに新しい恋におちて旅に出る。
 親友の雪風との静かで完成された世界。
 だが可愛そうな大人たちの騒ぎがだんだんと七竈を巻き込んでいく。

■感想 ☆☆☆☆
 痛い痛い辛い、そして熱い恋愛小説でした。
 読み終えた後、この世界観に呆然としました。今も思い返すだけで
 胸が痛い。美しい言葉で紡がれた世界と、できあがった世界観に
 圧倒されます。
 何がどう変わっていたら、彼らは幸せに向かい合えたのだろう。
 考えても仕方がないやるせない疑問が、読み終わった後に
 ぐるぐると胸を渦巻いていました。

130.モダンタイムズ/伊坂幸太郎
■ストーリ
 「実家に忘れてきました。」「何を?」「勇気を。」
 渡辺拓海は、多忙を極めるシステムエンジニア。ある日、課長から
 失踪した社員にかわってプロジェクトを継続実行するよう命じられる。
 その日から彼の周りで奇妙な事件が続く。先輩社員の失踪、同僚の
 誤認逮捕、上司の自殺、不倫相手の失踪。
 それらは、パソコンである言葉を検索した者に降りかかるようなのだ。
 この謎を解くべく、渡辺と同僚、そして彼の妻や、失踪していた
 先輩社員も加わって、一大冒険活劇が繰り広げられる。

■感想 ☆☆☆☆
 誕生日プレゼントにいただいた本。ハードカバーなので休みに
 じっくりと、と手を伸ばすのをためらっていたのですが、予想通り。
 読み始めたら手放せなくなりました。
 さすがさすがの伊坂ワールドです。圧倒。先が気になって、気になって
 物語から離れられず、この本を常に持ち歩いていた一週間。
 「魔王」「ゴールデンスランバー」に続く第三弾。
 「個人情報保護法」なるものができて、情報に過敏になっている現代で、
 本当に起こるかもしれないストーリー。
 「個人では太刀打ちできそうもない」事件に巻き込まれた
 ごくごく平凡な主人公たちが、置き忘れた勇気を取り戻し、
 底力を出す様に手に汗握りながら、読みました。
 ・・・が、それだけに、結末はほんの少し拍子抜けなのです。
 そうだよね、と主人公に共感はするのです。でも、
 「小説だからこそ!もっと他の結末が・・・」とも思ってしまうのです。

131.ピンクのバレエシューズ/L・ヒル
132.バレリーナの小さな恋/L・ヒル
■ストーリ
 イレーヌは、バレリーナになることを夢見てレッスンに励む少女。
 両親が亡くなり、住みなれた街パリと別れ、いなかに住むおじさん
 一家のもとにあずけられます。それでも夢をあきらめず、
 たったひとりでレッスンを続けていた彼女は、チャンスを掴み
 憧れのパリ・オペラ座のバレエ学校に入学します。
 ライバルたちがひしめくなか、異例の早さでバレエ団の正団員と
 なったイレーヌは・・・。

■感想 ☆☆☆☆☆
 バレエものは、漫画も小説も大好きです。しかし、小説はそんなに
 多くはなく、結果として、このお話を定期的に読み返しています。
 夢に向かって頑張っているイレーヌのまっすぐな姿が爽快。
 「ハッピーまりちゃん」も読み返すかな。
 
133.さよなら妖精/米澤穂信
■ストーリ
 1991年4月。雨宿りをするひとりの少女との偶然の出会いが、
 謎に満ちた日々への扉を開けた。遠い国からはるばるおれたちの
 街にやって来た少女、マーヤ。彼女と過ごす、謎に満ちた日常。
 そして彼女が帰国した後、おれたちの最大の謎解きが始まる。

■感想 ☆☆☆☆
 「哲学的意味がありますか?」
 マーヤの異文化をありのまま、理解しようとする姿勢。そして
 学んだ異文化から自分たちの国を作り上げようとする未来を信じる瞳。
 その何もかもが眩しいからこそ、ラストがやるせない小説です。
 しとしとと振り続ける雨、雨にぬれる紫陽花。
 そのしっとりとした雰囲気が読後に静かな余韻を与えてくれます。
 読み終わった後、世界中の未来を信じたくなる、そんな物語。

134.1ポンドのかなしみ/石田衣良
■ストーリ
 数百キロ離れて暮らすカップル。久しぶりに再会したふたりは、
 お互いの存在を確かめ合うように幸せな時間を過ごす。しかし、
 その後には、胸の奥をえぐり取られるような悲しみが待っていた。
 16歳の年の差に悩む夫婦、禁断の恋に揺れる女性、自分が幸せに
 なれないウエディングプランナー。迷い、傷つきながらも恋をする
 女性たちを描いた10のショートストーリー。

■感想 ☆☆☆*
 クリスマス、石田さんを敬遠していた私に、石田ファンの友人が
 贈ってくれました。
 色とりどりのキャンディのようなキュートなお話ばかり。
 ハッピーエンドの恋愛小説が10編。読み終えて幸せな気持ちに
 なりました。短編小説特有の物足りなさとは無縁。
 
135.4TEEN/石田衣良
■ストーリ
 東京湾に浮かぶ月島。ぼくらは今日も自転車で、風よりも早く
 この街を駆け抜ける。ナオト、ダイ、ジュン、テツロー、中学2年の
 同級生4人組。それぞれ悩みはあるけれど、一緒ならどこまでも行ける。
 もしかしたら空だって飛べるかもしれない。

■感想 ☆☆☆*
 ありがちな青春モノ。それなのに、読み進めていくうちに、
 主人公4人組への親近感はどんどん大きくなります。
 弟たちを見守っているような気持ちになります。
 「読んだ後に思い返すとね、思っていた以上に、彼らのことが
  好きなんだよね。」と伝えてくれた友人の言葉に心から共感。
 男の子たちの友情って、なんだかいいな。


どうしても今年中に今年の本の感想をまとめたかったのです。
ようやく終えました。ええ、自己満足です。
今年もたくさんの本を読みました。
1年の終わり、そして1年の始まりは宮部さんと迎えています。
来年も読書生活を楽しみます。

年の瀬

2009年12月31日 11時00分57秒 | 日常生活
2009年もいよいよ終わりです。
最後の1ヶ月は飲んで食べて飲んで食べて飲んで飲んで食べて食べて
と、胃袋に大変優しくない一ヶ月でした。
ただ、胃袋には優しくなかったものの
大好きな友人との久しぶりの再会だったり
今年を忘れて、来年に向かうための会合だったり
心に元気をたくさんもらった一ヶ月でもありました。
この1ヶ月で、どれだけ毒を吐いて、どれだけ笑ったことか。

というわけで、昨日。
今年最後の目標を達成するべく、
体重計に乗ってきました。

・・・よし!
なんとか暴飲暴食を乗り越えて体重キープに成功。
体脂肪率は範囲外です。
ちょっぴりジーンズがきつくなろうが
腰の辺りがぷよぷよしていようが知ったことかー。
したがって。
お正月には、心置きなくお餅三昧の日々を過ごします。
「身になる」ことで有名なお餅が、ワタクシは大好きなのです。
お餅をついている最中から、つきたてお餅に
手を伸ばさずにはいられないほど愛してやまない食べ物なのです。
まだまだ胃腸にお休みをあげられない日々が続きそうな予感大の年末です。

そんなこんなで、2009年も終わり。
2009年は2008年に引き続き、じっと巣篭もりの一年でした。
そして、巣篭もりしていたにも関わらず
私にも、私をとりまく大好きな人々にも変化の多い一年でした。
変化が苦手な私にとって、少々いっぱいいっぱいだった2009年は
新しい出会いよりも、
今目の前にある出来事に対応するだけで精一杯の日々でした。

が。
2010年は巣篭もることなく
前へ前へ進んでいく1年にしていきたいな、と思います。
前に一歩を踏み出す1年にしようと思います。
「今日できることは今日する」。
この気持ちを大切に。
日記も1ヶ月まとめて書いている場合じゃないですよ。(サイテー)

走ることも駆け抜けることも相変わらず苦手なので
2010年もゆっくりマイペースに。
でも、得意分野の「じっと動かず」は封印して前へ前へ。
体を動かして、たくさん怒って、たくさん笑って。
たくさん泣いて、たくさん感動して。
心も体もちょっとだけエンジン始動開始。

年末に行った今年最後のライブで、
苦手だった言葉「がんばれ」がほんの少し好きになりました。
軽々しく言われる「がんばれ」は相変わらず好きではないけれど
心のこもった「がんばれ」にこもっている暖かさ、優しさを実感して
それらの存在を信じられるな、と思いました。
だからこそ。
2010年の私に向けて。

がんばれ。
がんばれ。
がんばろう。

でもって、関係各位の皆々様。
今年も一年、本当に本当にお世話になりました。
来年も引き続き、よろしくお願いいたします。
生あたたかく見守っていただけると、とっても嬉しいです。

11月の読書

2009年12月23日 17時05分35秒 | 日常生活
読書感想文、今年も追いつきそうにありません。
11月にインフルで倒れたときに離されました。
あの頃までは順調だったんだけどなー。

104.鹿男あおによし/万城目学
■ストーリ
 「さあ、神無月だ。出番だよ、先生」
 二学期限定で奈良の女子高に赴任した「おれ」。
 ちょっぴり神経質な彼に下された、空前絶後の救国指令とは。

■感想 ☆☆☆☆
 読書好きな方々大絶賛だったこの作品。図書館派の私はすっかり
 乗り遅れていましたが、ようやく読破。おもしろい!
 よくこんな話、思いついたなー。と尊敬しながら読み終えました。
 ただ、ちょっぴり期待が高すぎた感がなきにしもあらず。
 この作品をドラマ化したフジテレビはもっともっと尊敬です。
 再放送早くしてくれないかなー。非常に見たいです。

105.冷たい校舎の時は止まる/辻村深月
■ストーリ
 ある雪の日、学校に閉じ込められた男女8人の高校生。
 どうしても開かない玄関の扉、他に誰も登校してこない時が止まった
 校舎。不可解な現象の謎を追ううちに彼らは2ヵ月前に起きた
 学園祭での自殺事件を思い出す。しかし、死んだ級友の名前だけが
 思い出せない。死んだのは一体、誰!?

■感想 ☆☆☆☆☆
 一体、何回読み返したことやら。でも、何回読み返してもやはり好き。
 推理小説で種明かしまで分かっていてもなお楽しめる小説です。
 若かりし頃の切ない気持ちや焦燥感を思い出してくれます。

106.人形の部屋/門井慶喜
■ストーリ
 ある春の日、八駒家に持ち込まれたプラスチックの箱の中身は、
 「冬の室内」といった趣の舞台装置と、その右のほうに置かれた
 椅子に行儀よく腰かけている少女の人形。子供らしい快活さを
 示すように、ひょいと天を向けた少女の左足のつま先は、粉々に
 砕けていた。破損の責任を押しつけられそうな敬典の姿を見て、
 娘のつばめは憤慨するが、敬典は不思議と落ち着いていて。
 主夫業に専念する父親とその家族を巡る日常の謎。

■感想 ☆☆☆
 大好きな「日常の謎」カテゴリの作品。丁寧な文章で落ち着いて
 読めます。さらりと楽しめます。こういう「日常の謎」に薀蓄が
 つまったものは読んでいるだけで賢くなったような気持ちが
 味わえるところが大好きです。
 でも、読み返すことはないかなー。

107.対話篇/金城一紀
■ストーリ
 「恋愛小説」「永遠の円環」「花」の3編を収録した中編集。
 親しくした人間がかならずこの世を去ってしまう数奇な運命の男が
 ただ一度経験した恋愛の顛末を描いた「恋愛小説」。
 余命いくばくもない主人公の復讐をミステリー調に描いた「永遠の円環」。
 老弁護士と青年が過去の記憶をたどりながら、ある目的のために
 旅をする「花」。

■感想 ☆☆☆☆☆☆
 「つべこべいわずに、とにかく読みなさい!読め!」とぽこりんに
 薦められた作品。油断してました。通勤時間に読む本ではありません。
 帰宅時のバスの中で泣いてしまった・・・。
 どれも死、別離といった暗くなりがちで、少しベタなテーマを扱って
 いますが、泣いてしまったのはそのテーマ故ではありません。
 悲しくて、とか、感動して、でもありません。とにかく幸せな気持ちに
 なります。幸せすぎて、切ない気持ちになり、そして涙腺を刺激され
 ます。
 特に最後の「花」。この一編だけのためにこの本を購入したい。
 そう思いました。「間違いない。この世界は素晴らしい」という
 言葉が今も胸に迫る作品。

108.GO/金城一紀
■ストーリ
「これはオヤジでもなくオフクロでもなく、僕の物語だ」。
 都内の私立高校に通う在日コリアンである主人公「僕」は、
 ダンスパーティーでコケティッシュな魅力をもつ「在日ジャパニーズ」
 の女の子に出会い、恋に落ちた。

■感想 ☆☆☆☆
 「売れた本」や「話題になった本」とめっきり縁遠いため
 こちらも今頃、ようやく・・・の感が。話題になる本は
 話題になるだけのことはあるな、と認識いたしました。
 面白い!かっこいい!「在日」や「差別」が通り一遍ではなく
 しっかりと描かれています。その視点の新しさに説得力がある気が
 しました。たしか窪塚さん主演で映画化されてたような。
 見たい。けど、なんとなく登場人物とイメージが一致しないかな。

109.向田邦子愛
■内容
 向田さんのファンの方々が作ったファンによるファンのための本。
 カテゴリ別に作品の人気投票が行われています。

■感想 ☆☆☆*
 向田さん関連の本が我が家のすぐ近くの図書館に大量に巡って
 きました。小説を読むことに疲れていたため、これからしばらくは
 向田さん三昧です。向田さんの文章を大好きだと語る方々の
 文章に「私も!私も!」と納得したり、「いや、私はこのエッセイの
 ほうが!」と反論したくなったり。楽しみました。
 久々に向田さんのエッセイも読み直したいな。

110.立命館小学校メソッド/深谷圭助
■内容
 子どもの力をあなどっていませんか?
 「勉強しなさい」と言わなくても、子どもが自ら生き生きと
 学びはじめ、小手先の知識だけに終わらない一生モノの学力を
 身につける。そのために親ができること。教育界の注目を一身に
 集める立命館小学校のメソッドには、そのヒントがたくさん
 隠れています。

■感想 ☆☆☆☆
 非常に楽しく読みました。子育てとは縁がないまま、終わりそうな
 予感大ですが、たくさんのちびっこたちに、ぜひ勉強の楽しさとか
 学んだり知ったりすることの面白さとか、そういうことを学校では
 学んでほしいなあ、と読みながら思いました。
 それにしても、学校の先生は自分の中に軸が必要で、大変な職業
 だなぁと改めて思いました。

111.清張さんと司馬さん~昭和の巨人を語る~/半藤一利
■内容
 「虫の眼」清張と「鳥の眼」司馬。
 松本清張と司馬遼太郎という戦後文学の二大巨匠は、また、昭和史
 そして激動する現代社会にも厳しい批評を提示し続けた。二大巨匠の
 活動が最も旺盛であった昭和30年代後半から40年代にかけて、
 著者は担当編集者として二人に出会い、多くのことを学んだ。
 間近に接した巨匠の等身大の実像を描く。

■感想 ☆☆☆
 もはや、私にとってはこのおふたりすら「歴史上の人物」に
 感じられるほど、偉大な作家おふたり。そのおふたりの担当を経験
 したことのある著者がおふたりの人となりを、親近感あふれる言葉で
 振り返っています。彼らの作品の裏側には膨大な量の資料の読み込みや
 旅行など、並外れた努力があったのだと今更ながらに知り、
 改めて彼らの作品を読み返したくなりました。
 特に松本さん。小倉出身の作家なのに、あまり手に取ったことが
 ないため、来年はチャレンジしてみたいと思います。

112.向田邦子の全ドラマ~謎を巡る12章~/小林竜雄
■内容
 向田邦子が残した数々の名作ドラマ。そこにはいくつか共通した
 謎が存在する。なぜ弟は兄を憎むのか。なぜ青年は「他人の家族」が
 好きなのか。ホームドラマの底に秘められた作家の真実とは何か。

■感想 ☆☆☆
 今となっては、見ることのかなわない向田作品。
 わずか20年前は、こういった骨太の作品がゴールデンの連続ドラマ
 だったんだな、とその傾向にも感慨を覚えました。
 つくづく時代は変わったんだな・・・。

113.太陽の昇る場所/辻村深月
■ストーリ
 高校卒業から10年。クラス会に集まった男女の話題は、女優に
 なったクラスメートの「キョウコ」。彼女を次のクラス会へ
 呼び出そうともくろむものの「キョウコ」と向かい合うことで
 高校時代の「幼く、罪深かった」出来事が記憶の中から蘇る。

■感想 ☆☆☆*
 大好きな辻村作品を久々に図書館で見つけ、すぐに手に取りました。
 相変わらず面白く、あっという間に読み終えました。そして、
 今回も変わらず、辻村さんにしっかりとだまされました。
 悔しい・・・。読み返すと、いたるところにちらちらとヒントが
 ヒントどころか、そのものずばりの種明かしも転がっているのに
 なんでだまされてしまったんだろう・・・。と作者のレトリックの
 うまさに舌を巻きました。
 それにしても、突如として、作風が大人テイストになっていて
 びっくり。ほろ苦いどころではないビターな作風です。
 優しすぎるぐらい「いい人」たちばかりだった今までの作品が
 まるで嘘のよう。読み終えて「スロウハイツ」を読み返したく
 なりました。私には少しビターすぎます。

114.向田邦子の恋文/向田和子
■内容
 脚本家として独立して二年。姉、向田邦子はやっと探していた
 「なにか」をつかみかけていた。惜しみなく愛情をそそぎ、
 あたたかく見守られながら過ごした日々の記録。捨てられなかった思い。
 それはいかにも姉らしい「秘め事」だった。
 急逝直後に見つかっていた向田邦子の手紙とN氏の日記、
 そして妹和子の回想で綴る姉とわたしの「最後の本」。

■感想 ☆☆☆☆*
 こちらも発売当初に話題になった作品。向田さんの美しいポートレート
 が非常に印象的な一冊。恋も仕事もすべてに全力を傾けていた向田さん
 の姿が鮮明に蘇ってくる一冊でした。そして、「生涯に一度の恋」を
 実践した向田さんの気持ちが切なくなる一冊でした。

115.2100年の人魚姫/折原みと
■ストーリ
 あたし、小泉ルウ。なんと2100年からタイムトラベルして来た
 未来少女。ある「使命」を果たすために、人気大学生モデルの
 藤谷冬也(とーや)と一緒に暮らすことになったんだけど。
 どうしよう!?あたし、とーやを殺すなんてできないよ!
 だけど彼を殺さないと、あたしの命がなくなっちゃうの。
 「恋」と「命」どっちをとる??

■感想 ☆☆☆*
 うーわー!あらすじを自分の手で打っているだけで、ちょっぴり
 こっぱずかしい気持ちになってしまいましたとも。でも、未だに
 定期的に読み返しています。読み返しちゃいます。
 だって、力技のハッピーエンドですもの。落ち込んだときに
 ぴったりなのです。今回も風邪で寝込んでいるとき、朦朧とした
 頭で読み返しました。
 ティーンズハート、流行ったなぁ・・・。

116.死神の精度/伊坂幸太郎
■ストーリ
 「俺が仕事をするといつも降るんだ」
 クールでちょっとズレてる死神が出会った6人の人生の終わりの物語。
 音楽を愛する死神の前で繰り広げられる人間模様。

■感想 ☆☆☆☆
 ちょっぴりずれていて、でもかっこいい死神に、突如再会したくなり
 久々の再読。伊坂作品は再読率が非常に高いです。定期的にまた
 会いたくなるキャラクターが非常に多いです。
 6人それぞれの人生の終わり。ラストの1編がこの作品に深みを
 与えている気がして、特に大好きです。

117.向田邦子 恋のすべて/小林竜雄
■内容
 向田邦子のドラマに溶かし込まれた、秘められた「恋」とは。
 晩年の恋に関する取材から明らかになった新事実、新証言をもとに
 向田ワールドを再構築する。

■感想 ☆☆☆
 どれだけ向田さん関連作品を集中して読んだんだ!という感じですが。
 なんとなくはまってしまいました。向田さんのドラマ作品のあらすじや
 魅力を知ることができました。「見たい」という気持ちが更に
 強くなりました。なかなか叶いそうにないし、今、彼女の作品を
 リメイクしても、きっと受け入れられないだろうな、とも思いますが
 それでも、惹き付けられる作品群。関連本を読めば読むほど、
 向田さんのことを好きになります。


11月は小説以外がかなり多めです。
「人の人生を追うことに」疲れていたようです。

あえて否定はしませんでした。

2009年12月23日 10時53分14秒 | 日常生活
福岡で通っていた教会のクリスマス会が友人宅で行われました。
クリスマス会と言っても、同じ年代が集まって
飲んで食べて語って笑って飲む、というごくフツウの飲み会です。
クリスマス会らしいこと、と言えば
プレゼント交換、そしてあやうく忘れるところでしたが、感謝のお祈り。
これぐらいです。

しかし、久しぶりの再会に
そして、久しぶりなのに、なんら変わっていない面々との
楽しい時間に思う存分笑って過ごした夜となりました。
大満足の数時間を過ごしました。
そして、楽しい時間はあっというまなのです。
小倉へ帰宅しなければならない時間はすぐに訪れます。
みんなに別れを告げ、博多駅へ急ぎます。
うん。この時刻なら余裕で電車にも間に合うわ。

と、余裕をかましつつ、母上に帰宅時刻を連絡しようとしたところで
自分の携帯がないかもしれないことに気がつきました。

!!
携帯、忘れた?!
うわ!どうする?!どうする?!

普段、めったに使わないうえに
しょっちゅうどこかしこに落としたり忘れたりしてはいますが
とは言え、やはり携帯ないまま過ごすのは非常に不便!
しかも、「明日、連絡するね。」と言ったまま
連絡を途絶えさせている友人もいるのです。

うーわー。
と、落ち込みましたが、落ち込んでいるヒマはありません。
即刻、ユーターン。
反対方向の地下鉄に乗り込みます。

反対方向の地下鉄は福岡の中心地から住宅街へ向かう電車。
季節は忘年会シーズンまっさかり、時刻は終電間際。
当然のことながら、地下鉄は大混雑です。

あまりの混雑具合に、本を取り出すこともできず
周囲を見渡していると、見たことがある顔発見。
今年の新人君です。
にやりと笑う新人君。

「のりぞうさん。どこ行ってるんですか?
 完全に家と反対方向じゃないですか。
 明日、休みですもんね。
 みんなで心配してましたけど、なかなかやりますね。」

・・・みんなで心配してくれてたんだ。
そのお気持ちはヒジョーにありがたい。
ありがたい故に、しかもシーズン的にもなんとなく誤解を解きにくい。

というわけで、にっこり笑ってやり過ごしました。
次の駅でおりていく新人君。

去っていく新人くんを見守りつつ、
誤解を解けなかった自分の小ささにちょっぴり落ち込んでいると、
突如、呼びかけられました。
振り向くと、ついこの間、会社を去ったばかりの元同僚さんです。

「うわー。やっぱり、のりぞうさんだっ!お元気ですか?!
 こんなところで会えるなんて!嬉しいです!
 ・・・あれ?自宅、小倉でしたよねー?」

と、意味ありげに微笑みかけてくる元同僚さん。

・・・やっぱりそういう反応ですか。
でも、違うんですよ!
「行く」ところじゃなくて、
忘れ物のために、姪浜へ「いったん戻る」ところなんですよー、
と、やんわりと冷静に事実を伝えるワタクシ。
なんとなく、さっき落ち込んでしまったので
今回はちゃんと事実と想像が異なることをお伝えするのです。

「姪浜で飲んでたんですか?珍しいですねぇ。
 どこのお店ですか?」

誤解が解けたのか、意味ありげな笑いではなくなった彼女。
姪浜のすぐ近くに住んでいるため、
自宅近所でも飲めるお店があるのなら・・・と
新規開拓をしたかったらしく、場所を突っ込んで聞いてきました。

あぁ。今日はお店じゃなかったんです。
珍しく、家飲みで。友人の家で飲んでたんです。

と、お伝えすると、彼女の目の輝きが復活し、
更に含み笑いまでもが追加されました。

「あ。トモダチの家?トモダチの家での家飲み?
 あぁ、あぁ。そっちのほうが楽しいですよね。色々と。」


・・・世間は、(それとも、ワタクシたちの年代が?)
忘年会シーズンではなく、クリスマスシーズンだと実感した祝日前の夜。

おめでたいこと続き

2009年12月20日 09時54分13秒 | 日常生活
忘年会で飲んだくれていると、後輩から電話がありました。
一次会が終わった後にかけなおすと
「僕、パパになりました!」
というおめでたいご報告。

きゃー!!おめでとー!!

と、電話のこちら側でも大騒ぎしていると
「今日、生まれたばかりですよ!ついさっき!!
 絶対、のりぞうさんに伝えなきゃ、と思って。」
更に更に嬉しくなる言葉を続けてくれました。

今は宮崎で遠く離れているのに。
ゆっくり話したのなんて、随分前の出来事なのに。
それでも、ちゃんと思い出してくれたこと
こうやって嬉しいご報告のおすそ分けをしてくれることに大感激。

にたにたしながら、更に飲んだくれていると
隣に座っていた先輩から
「相方からのりちゃんに伝えとって、って言われとうことがあるんよ。」
と話しかけられました。

・・・な、なんですか??と、どきどきしていると
「明日ね、戌の日なんよ。
 戌の日って分かる?」
と、クイズのような回答。

戌の日?いぬのひ??イヌノヒ???
・・・すみません。勉強不足です。
ちっとも分かりません・・・・とうなだれていると
先輩が大きなおなかを抱えるようなポーズをしてくださいました。

おめでた?!
おめでたですか?!
きゃー!!めでたすぎるっ!!!

ただでさえ大好きなクリスマスの季節。
その大好きな季節に、さらに更に笑顔が弾む
嬉しいお知らせが続いています。
幸せのおすそ分け、たくさんもらっています。
本当に本当にありがとう。
そして、心からおめでとうございます。

また逢おうと竜馬は言った

2009年12月19日 11時34分51秒 | 舞台(キャラメルボックス)
■ストーリー
 ツアーコンダクターのくせに、すぐに乗り物に酔ってしまう岡本。
 彼は坂本竜馬を尊敬していて、竜馬のような男になりたいと
 願っている。しかし、いつもドジばかり。今日も、彼のミスが
 原因で同僚の本郷とその妻のケイコが大喧嘩。ついに、ケイコは
 家出してしまう。岡本は竜馬の力を借りて、喧嘩の仲裁に乗り出すが、
 絵画の密輸事件に巻き込まれて、話は思わぬ展開に。

■感想 ☆☆☆☆
 キャラメル作品の中で最も情けない主役で有名なこの作品。
 「カレッジ・オブ・ザ・ウィンド」と同じく、
 昔ながらのキャラメルさんファンに人気が高い作品。
 DVD発売を知って小躍りしながら、即購入しました。
 初演では上川さんが乗り物酔いがひどくて乗り物に乗れない旅行添乗員
 オカモト、という日本一情けない主役を見事に情けなく演じ、
 再演では、そんなオカモトを叱咤激励しつつ、見守り続ける
 坂本竜馬をこれまた非常に男らしくかっこよく演じていました。

 初演での今では考えられない情けない上川さんも魅力的ですが
 やはりここは時代劇が似合う上川さんに適役の竜馬から見たいっ。
 と、意気込んで見たのが今年の夏の出来事でした。

 ところで、現在、TBSで放送中のドラマ「仁」。
 このドラマで、内野聖陽さんが演じる坂本竜馬を
 「私のイメージにぴったり!こんなはまり役はない!
 もうこれからも、私の中で坂本竜馬といえば、内野さん!!」
 と興奮しながら見ては、母上から
 「坂本竜馬にそんな思い入れがないけん、合っとう、という
  感覚がわからん。」
 というつれない言葉をいただいていたワタクシ。
 久しぶりにDVDを見返し、
 「私のイメージにぴったり!」という「ぴったりイメージ」の原型は
 キャラメルボックスの上川さんだったことが分かりました。

 そっかー。この坂本さんが私の中での坂本さんだったんだー。
 坂本竜馬=キャラメルの坂本さん
 という公式が無意識に根付いていた模様。
 それぐらい上川さんと坂本竜馬が見事にシンクロしていた作品でした。
 キャラクターと役者が見事に合っていて、
 だから、ストーリーに説得力があって、という幸せな出会いをした
 典型的見本のような作品です。

 初期のキャラメルさん。
 今以上にがむしゃらで、熱く熱く、観客に語りかけています。
 見せ方も場面転換も、そして役者陣の演技も、
 「アマチュア」の域を抜け切れていないけれど
 でも、訴えかけてくる熱量は今よりもっともっと大きい気がします。
 今も昔もキャラメルさんの基本スタンスは全く変わっていないけれど
 やはり、年月を経て、劇団として円熟味を増しているし、
 その分、落ち着きが出てきているんだろうなと思うのです。
 よくも悪くも劇団草創期とは違う。
 そういったことをまざまざと見せつけてくれる舞台だな、と思いました。

 もっとも、じゃあ、どっちが好きなの?と問われると
 やはり私は「今の」キャラメルさんが好きなんだと思うのです。
 役者陣の演技力だって、格段に違うし。
 音楽の使い方も洗練されてきているし。
 ただ、このころの成井さんの作品(脚本)とか、
 舞台に込める想いは、今見ても格別に好きだなあ、と思ったのでした。

鶏びゅーと

2009年12月19日 11時22分52秒 | 音楽鑑賞
トリビュートアルバム、というものがどうにも苦手です。
いい曲は誰が歌ってもいいなぁ、と思うこともあれば
やっぱり本人が歌ったほうがいいやん!とがっかりすることもあり
あたりハズレが大きいイメージがあるのです。

結局のところ、企画物としては、
大好きなアーティストさんの曲を色々な人が歌ってくれるよりも
大好きなアーティストさんご本人が自分好みで
色々なアーティストの曲をセレクトして歌うほうが好き。
というのがここ数年のワタクシの結論でした。


が。

くるりのトリビュートアルバム「鶏びゅーと」。
すばらしいです。もうどの曲もハズレなし。
くるりが歌うオリジナルも大好きですが
そのくるりの曲のよさをきちんと守って
まったく新しい感じに仕上げている曲ばかり。
いろんなアーティストさんが参加しているのに
全体としてばらばらではなく、統一されている感じ。
聴いていて心地よいアルバムに仕上がっています。

あぁ。私、くるりというアーティストも好きなんだけど
それ以上にくるりの曲そのものが好きなんだなー、と
しみじみ思いながら聞き込んでいます。いいわぁ。

聴く前から、アーティスト一覧を見ていて
奥田民男さん、木村カエラさんは合うだろうな
絶対、外れないだろうな、と確信していましたが、予想以上!!
うわー。好きだー。何回でもリピートしたいぞー、
としばらく次の曲に進めませんでした。
でも、その他の方もとにかく素敵です。
特に好きなのは、ハンバートハンバートさんが歌う「虹」と
世武裕子さんが歌う「東京」。
どちらもアレンジが美しく、声に力があります。

なんとなく、聴いているだけで
岸川さんのニコニコ笑顔が自然と眼に浮かびます。
でもって、くるりオリジナルのほうも聴きたくなります。
あぁ、元歌、探し出さなきゃ。

周囲の認識

2009年12月19日 11時12分20秒 | 日常生活
予定がない限り、お誘いは積極的に乗ろう主義のワタクシ。
本日は現在の部署の部長主催の忘年会です。

この忘年会、大々的に「やりますよー!」と開催する
堅苦しいものではなく、仲良しグループを介して
「忘年会するけど、来る?」というお誘いがある会員制のような形式。
とはいえ、誰でもウェルカム!な忘年会のようで
ある日の昼休み、お手洗いで歯を磨いているとき、
たまたま隣にいた後輩から突然
「のりぞうさん。この日、忘年介するんですけど、来ませんか?」
と誘われたのでした。

へぇ。なんか面白そう。
という好奇心と興味で、参加しまーす!と回答していましたが
昨日、隣の部署の先輩がこっそりとワタクシに近寄ってきました。

「のりちゃん。19日の忘年会やけど。
 のりちゃんも来るん?どこでかぎつけたん?」




・・・えっと。
ワタクシが無理矢理乱入してきた、みたいな言い方、
やめてもらえませんか・・・。

「ワタクシが」かぎつけたわけではなく、
「後輩が」ワタクシを誘ってくれたんですってば!

年末の目標

2009年12月19日 10時54分41秒 | 日常生活
忘年会シーズン真っ只中。
「お誘いがない限り、ひきこもり主義」のワタクシは
滅多にお誘いがあるわけではないからこそ、
予定がない限り、お誘いに乗って、ひきこもり脱却を目指します。

しかし、12月はそのおかげでとんでもなく遊び歩く結果に。
10月、11月とちょっぴり寂しさを覚えるほど
心穏やかにひきこもっていた日々が嘘のよう。
怒涛の忘年会、クリスマス会ラッシュです。

先週も今週も火曜日に胃腸をお休みさせて、
それ以外はひたすら
食べて飲んで食べて飲んで食べて飲んで飲んで飲んで、の日々。
胃腸の丈夫さに自信を持って過ごしているワタクシが
あまりの胃もたれぶりに「今日は朝食いりません」宣言をしました。
朝抜くなんて健康診断のときを除いて行ったことないのに。

この調子で、年末仕事おさめの日まで
ひたすら胃腸を酷使し続ける予定。
おかげで、最近はオソロシクて体重計にちっとも乗れていません。
もうね。あきらかにお腹の調子がよろしくないわけです。
お腹のラインの調子?
胃袋あたりから下半身にかけてのラインの調子?
腰の辺りのお肉の乗り具合とか??

・・・あれ?
と思う瞬間がしばしば。
というわけで、年末の目標。


年末までに一度は体重計に乗るっ!



・・・乗った後には更なる努力が待っているわけですが。
その更なる努力は来年に持ち越し
まずは、現実を直視して、来年に進みたいと思います。

わー。いつ乗ろう。
来週はホールケーキ2つも待ち受けてるんだけどなー。

あったかクリスマスコンサート

2009年12月14日 23時07分07秒 | 日常生活
日曜日は教会コンサートへ。
クリスマスシーズンに行われる教会コンサートですが
今年は入場料を無料にし、中で寄付を求められる方式に
変更されていました。
父上、母上、妹夫妻にも声をかけ
なおかつ、幼稚園時代からの友人とそのお母様もお誘いし、
総勢7名で参加する予定でしたが、
父上と義弟君の都合がつかず、5名で参加。

到着した途端、教会のちびっこくんたちに
「遅すぎー!なんでこんなに遅いとー?」
と責められながら、迎え入れられたワタクシたち。

いやいやいや!
ちっとも遅くないでしょうに!
17時開始でしょー?
まだ20分も前よ??

と、言い返すと、
「僕たち、ずっと前からおるもんね。」
と得意げに胸をそらされました。

「ずっと前からおるも何も、
お前ら、朝から帰ってないやろうが。
さっきまで昼寝しとったやんか。」
と突っ込む牧師。もとい、本日の主役アーティスト、谷本氏。
ボーカル兼バイオリニストの谷本氏と
ピアニストの中島由紀子さんによるクリスマスコンサートです。

開始時刻が迫るにつれ、会堂も人で埋まり
和やかな雰囲気の中、コンサートが始まりました。
マイクを使用することなく、集まった人たちへ歌声を直接届ける
ボーカルの温かい歌声が小さな会堂に響き渡ります。
集まった人たちの体温でゆっくりと温まる会場は
バイオリンとピアノの音色が美しく響き合い、
その音色に、人々が心地よさそうに耳を傾ける。
そんな光景が繰り広げられた1時間半。

大好きな山之口獏さんの詩にタカダワタルさんが曲をつけた
名曲「生活の柄」は、ホームレス支援コンサートのテーマ曲
とも言うべき曲で、何度も何度も聞いたことがあるのですが
何度聞いてもやはりよく、言葉の力、歌の力を実感。
どんなに丁寧に説明しても、どんなに分かりやすく説明しても
分かってもらえないことがあるし
かと思えば、このシンプルな歌詞と曲だからこそ伝わる
多くのこともあるんだなぁ、としみじみ思いました。
山之口さんの詩集、読み返したくなってきたな。

最も印象的だったのは、最前列に座っていたちびっこたち。
どの子もお行儀よく、とても楽しそうに音楽に耳を傾けていましたが
徐々に身を乗り出し、後半は椅子から降りて
ボーカルの目の前の床に座り込み、体全体で音楽を楽しんでいました。

ホームレス支援のためのチャリティコンサートだったので
曲の合間合間に、支援機構の想いや現状、今後の展望や
集まっている人たちひとりひとりへのお願いなどが盛り込まれていたのですが
子供たちは、それらの話にもしっかりと耳を傾けていました。

「子供だからわからない」ではなく
「子供たちにも届く言葉」で伝える谷本氏の姿勢に心から共感し、
この教会に出会えてよかったなぁ、と思えました。

さて、クリスマスまで11日です。
来週はクリスマス礼拝。
教会で、家庭で、クリスマスを楽しみます。