■ストーリ
工場で働く20歳の武島直貴(山田孝之)は、職場の人間とも
まるで打ち解けず、人目を避けるように暮らしていた。
唯一の家族である兄・剛志(玉山鉄二)は、直貴の学費欲しさに
盗みに入った邸宅で老婆を殺してしまい、現在、服役中だ。
兄が罪を犯したのは、自分のせいだと自責する直貴は、
せめてもの償いにと服役中の兄から届く手紙に丁寧な返事を
書き続けていた。しかし、兄のせいで夢も愛も失った直貴は
兄を捨てようと決意する。
■感想 ☆☆☆☆☆
見ている最中も十分に考えさせられ、泣かされる映画だが
見終わった後のほうがずしんとくる。何度、考えても
答えが出ない。単に「かわいそうだった」という感想で
終わらせてはいけないような気がする映画だった。
見終わった後にずしんと来て、考えさせられたのは
結局のところ、私自身が「差別する側」の人間だからだ。
自分が親兄弟を殺されたら、私は犯人の身内を許せないだろう。
「殺したのは、兄貴であって俺じゃない」という言い分が
正しいと分かっていても、そう言って開き直られたら
怒りを覚えるだろう。いや、たとえ、開き直らなくても
申し訳なさそうにお詫びを何度されても、彼が裕福になったら
成功してある程度の地位を得ていたら、きっと思うだろう。
「あんたの兄さんは人殺しのくせに。
なんであんたはそんなに幸せを掴んでるんだ。」と。
いや、自分の親兄弟が殺されたのではなくても、
まったくの赤の他人が殺されていても、もし、犯人の
身内の方がワイドショーなんかに出て
「僕たちにはなんの罪もないんだ。
人を殺したのは俺じゃないんだ。」
と言ったとしたら、憤りを覚えると思う。
だから、見ていて苦しかった。主人公、直貴の辛さが
伝わってくるたびに。彼の辛そうな表情、やるせない気持ちも
理解できる。理解できるけれど、彼を差別する側の気持ちの
ほうがよく分かってしまうのだ。
それは「自分はそちら側に行くはずがない」という
思い上がりなのかもしれない。
どんなに正当な理由があっても人を殺してはならない。
罪を犯してはならない。人のものを盗んではならない。
そもそも、それらを犯してもいいほどの「正当な理由」は
存在しないのだ。
中盤に登場する杉浦直樹さんがさすがの貫禄で主人公を
諭す場面は圧巻だ。ああ、なるほど、と素直に納得できる
ものだったし、だからこそ「どうしようもない」主人公の境遇が
浮き彫りになって辛くてたまらなかった。
以下は感銘を受けた杉浦さんの言葉。
うろ覚えながら記しておく。
「今の君は辛いだろう。
何でおれが差別されなきゃいけないんだ、と思うだろう。
でも、君が差別されるのは当然なんだ。
人には防衛本能があるんだから。犯罪から少しでも
遠ざかりたいと思ってしまうんだ。
お兄さんはそこまで考えなきゃいけなかった。
自分が罪を償えば、それでいい。というわけではない。
お兄さんが犯罪を犯すことによって、君までもが
どれだけ苦しめられるか、傷つけられるか、そこまで
考えなきゃいけないんだ。」
しばらくの間、原作を読む勇気はない。
工場で働く20歳の武島直貴(山田孝之)は、職場の人間とも
まるで打ち解けず、人目を避けるように暮らしていた。
唯一の家族である兄・剛志(玉山鉄二)は、直貴の学費欲しさに
盗みに入った邸宅で老婆を殺してしまい、現在、服役中だ。
兄が罪を犯したのは、自分のせいだと自責する直貴は、
せめてもの償いにと服役中の兄から届く手紙に丁寧な返事を
書き続けていた。しかし、兄のせいで夢も愛も失った直貴は
兄を捨てようと決意する。
■感想 ☆☆☆☆☆
見ている最中も十分に考えさせられ、泣かされる映画だが
見終わった後のほうがずしんとくる。何度、考えても
答えが出ない。単に「かわいそうだった」という感想で
終わらせてはいけないような気がする映画だった。
見終わった後にずしんと来て、考えさせられたのは
結局のところ、私自身が「差別する側」の人間だからだ。
自分が親兄弟を殺されたら、私は犯人の身内を許せないだろう。
「殺したのは、兄貴であって俺じゃない」という言い分が
正しいと分かっていても、そう言って開き直られたら
怒りを覚えるだろう。いや、たとえ、開き直らなくても
申し訳なさそうにお詫びを何度されても、彼が裕福になったら
成功してある程度の地位を得ていたら、きっと思うだろう。
「あんたの兄さんは人殺しのくせに。
なんであんたはそんなに幸せを掴んでるんだ。」と。
いや、自分の親兄弟が殺されたのではなくても、
まったくの赤の他人が殺されていても、もし、犯人の
身内の方がワイドショーなんかに出て
「僕たちにはなんの罪もないんだ。
人を殺したのは俺じゃないんだ。」
と言ったとしたら、憤りを覚えると思う。
だから、見ていて苦しかった。主人公、直貴の辛さが
伝わってくるたびに。彼の辛そうな表情、やるせない気持ちも
理解できる。理解できるけれど、彼を差別する側の気持ちの
ほうがよく分かってしまうのだ。
それは「自分はそちら側に行くはずがない」という
思い上がりなのかもしれない。
どんなに正当な理由があっても人を殺してはならない。
罪を犯してはならない。人のものを盗んではならない。
そもそも、それらを犯してもいいほどの「正当な理由」は
存在しないのだ。
中盤に登場する杉浦直樹さんがさすがの貫禄で主人公を
諭す場面は圧巻だ。ああ、なるほど、と素直に納得できる
ものだったし、だからこそ「どうしようもない」主人公の境遇が
浮き彫りになって辛くてたまらなかった。
以下は感銘を受けた杉浦さんの言葉。
うろ覚えながら記しておく。
「今の君は辛いだろう。
何でおれが差別されなきゃいけないんだ、と思うだろう。
でも、君が差別されるのは当然なんだ。
人には防衛本能があるんだから。犯罪から少しでも
遠ざかりたいと思ってしまうんだ。
お兄さんはそこまで考えなきゃいけなかった。
自分が罪を償えば、それでいい。というわけではない。
お兄さんが犯罪を犯すことによって、君までもが
どれだけ苦しめられるか、傷つけられるか、そこまで
考えなきゃいけないんだ。」
しばらくの間、原作を読む勇気はない。
山田も沢尻も玉山もみんな芝居がよかった。
杉浦直樹も吹越満(被害者の息子)もよかった。
私も中盤からラストまで(友人といったので恥ずかしくて)泣くまいと思っても自然とあとからあとから涙がこぼれてくる、という初めての驚きの体験をしました。ま、友人も同じだったんですが・・!
これ見たら少しはなにか企んでるヤツはやめようと思うんじゃないですかね。一人でも多くの人に見てほしい映画です。原作もよかったっすよ。
はじめまして☆コメント、ありがとうございます。
本当に売れっ子若手俳優3人だと思って油断してました。
皆さん、すごい役者っぷりでしたねぇ。
そして、彼らの熱演を杉浦さんや吹越さんが
どっしりと受け止めてましたね。
私は杉浦さんの場面でもっとも泣きました。
映画を見た今となっては、WEBでの予告映像を見ただけで、
条件反射のように泣いちゃいます 笑。