かつて私はこんな文章を書いたことがある。
「踏めば自転車は進む。それは人生のようだ。」
http://blog.goo.ne.jp/19960408/d/20090508
当時、自らがこの世界に足を踏み入れるとは思わなかった。
人生は不思議だ。
そして楽しい。
おケツさえ痛くなければ…
総走行距離が400キロを超えた頃、私は静かに口を開いた。
「ねえ、ガチオ君? 僕にひっついてるお尻は、本当に僕のお尻かい?」
ガチオ君は答えた。
「兄さん、僕のお尻にも、なにか凄く痛いものがひっついているようです…」
そして二人は走り出す。
それも人生のようだ。
わはは。
![Dscn0599 Dscn0599](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/0f/1916cab8a5478bc58f94665b72ae3c96.jpg)
しかしまあ、遠いねえ、600キロ。
二昼夜かけて、広島~宇和島~松山と走り、420キロぐらいか。
復路はまあまあのペースで走ったつもりだけど、やはり脚は削られ放題。
もちろん俺たちばかりじゃない。
道沿いのコンビニはこんなヒトばかりだよ。
![Dscn0603 Dscn0603](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/98/814ebb21d72f2ab80b468f525b4f2042.jpg)
![Dscn0602 Dscn0602](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/7b/8f4b87900665641194eba98233faee48.jpg)
で、賢明なるガチオ君、いいことに気付いた。
「兄さん、僕たち、このままじゃ次のCP(チェックポイント)で足切りされますよ」
マヂか、と!
そういえばそうだ。菊間のコンビニは6時32分までに通過しなくちゃなりません。
このままぢゃアウトっす!
狂ったように鬼踏みし始めるガチオ君。
泣きながら追いかける小生。
明け方の海岸線を、バカたちは突っ走ります。
ひいひい、ゼイゼイ!で1時間。
いやあ、かろうじてミッションクリアっす。
もう、この辺、ブルベ前と併せて50時間以上寝てないわけ。
ただでさえバカなのに、もうホームラン級のバカですよ、あたしたちゃ(笑)
まともに考えろってのが無理だwww
ただ、菊間のトラップは乗り越えたものの、小生、こんな風に考え始めていました。
「このままだと、完走は出来ても、タイムアウトの恐れはあるなあ」って。
俺もヘロヘロだけど、実はガチオ君も結構、キテる。
35時間後ろから見てると、彼のペダリングも次第に弱々しくなってきてるのよ。
それでも、坂含みの感じになると、遅れちゃう俺を待ってくれている。
この感じで行くと、共倒れもあるなあって。
うーむ、やばい。
で、ご提案。
「ガチオ君、君はもう先に行きなさい。僕も完走はするから、ゴールで待っててよ」
「いや、一緒に走りましょうよ」ってガチオ君。
俺 「ありがたいけど、せっかくここまで走ってきたのが無駄になっちゃうよ。ゴールで会おう」
そんなやりとりの末、ロミオとジュリエットは涙の別れ。
互いに別々の人生を歩み出したのでした…
で、のんびり走り出した俺様。
タイムアウト上等!って勢いで、しまなみ海道へ。
![Dscn0607 Dscn0607](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/ff/12070d1d1232b5e5395a80b104e13e9f.jpg)
しばらく自分のペースでのんきに走ってたら、あれ?
待ってるじゃん、こいつ…
ガチオ君、「やっぱ、一緒に走りましょうよ」って。
バカじゃないの、まったく…
で、日が高くなるにつれ、新たな刺客も!
そう、暑いの(笑)
俺は初日から、ミネラルウオーターを買ってはアタマからぶっかぶってたけど、ついにガチオ君も同調。
![Dscn0604 Dscn0604](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/cc/a1320b147420d39096ffb9bf70f53144.jpg)
しかし、かぶった瞬間から乾いていくって感じだよね。
いやあ、まったく…
そして500キロ。
![Img_5075 Img_5075](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/90/8e50f7ade92de76837f2c6d38d5b9187.jpg)
二人とも、しまなみの取り付け道でインナーに落とすほどの消耗ぶり。
フツーのサイクリストにことごとく抜かれていきます。
「あのね、私たちはね、ふだんはもう少しだけ速いんですよ」
二人でぶつぶつ呟きながらのあと100キロでございます。
多々羅大橋の上で、kazuyさん、凹ちゃんグループと邂逅。
そんな予感もあったんだけど、もうボロボロで気の利いた受け答えも出来ず。
いただいた冷えたオロナミン、胸に染み入りました。
お尻はもちろんオロナインが染み入っていたわけなんですが…
![10552420_320470291459779_2732097071 10552420_320470291459779_2732097071](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/fc/cbfacc668c84b6f31c1b1e32ab350686.jpg)
ムダにダンシングしながら進む俺たち。
もちろん元気なわけじゃありません。
お尻が痛いから。なんかやってないと意識が飛びそうだから。
いやあ、なかなか辛いぞ、これは(笑)
で、図らずも、最後のチャンス?がめぐってきました。
「氷買うから先行しておいてください」とガチオ君。
案の定、因島でコースミスする私。ガチオ君が先行する展開となりました。
追う俺様。 しかし、ちょっとした坂も、もはや這うように。
いつも定点観測してるひょっこりひょうたん島さえ、ちゃんと撮れませんねw
![Dscn0609 Dscn0609](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/e5/ba5e2826df8938f1a13a19fd7b95f120.jpg)
そしてこれだ(笑)
![Img_5076 Img_5076](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/d9/4a75edd9552144e3773dac4d6545bacb.jpg)
サイコンは高く出るもんだけど、38度はやばいだろ。ぷぷぷ。
どうせ、バカはその先で待ってるし、このままじゃ共倒れ。
2時間ほど考えていた台詞、ついに口にすることにいたしました。
ガチオ君にお電話です。
「あのさあ、俺、リタイアするわ。では、君は絶対、ゴールするように。以上終わり!」
そしてFBにこの写真を投稿し、「リタイアなう」と。
![Img_5078 Img_5078](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3e/e9/b2ace49b8a3334caa75c369b95dc7774.jpg)
最後まで一緒に走ろうとしてくれた「弟」の思いに応えられず、
しかも待たせるだけ待たせて、彼を窮地に追い込んでいる俺。
情けないにもほどがある。
悄然と渡船に乗り込む私だった。
![Dscn0610 Dscn0610](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/dc/ec77c18eb659b0b904feb0e94b8d35d5.jpg)
540キロ。
「旅」は終わった…
10分後、「きゃはは、うめーーーーー!」とはしゃぐオトコありけり(与謝蕪村)
![Img_5080_2 Img_5080_2](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/0f/d374997d476c3ef28231fb60bebf0a86.jpg)
尾道駅前のおしゃれなカフェで、生ビールをどくどく。
めっちゃ汗かいてるこの段階で、駆けつけ2リットルは絶対にまずいと思いますが、はぁ、何か?(逆ギレ)
そんな自堕落ダメダメ男に手をさしのべてくれるのが、この方々。
はい、ガチオ君とは対極にある、盟友ラーメン部のKOOさん、わーさんですね!
サプライズな感じで福富町のゴールで待っていてくれたらしく、リタイアのFBアップで尾道に急行。
レスキューしてくださったのでした。ホントにありがとう!
ただ、その恩人たちの写真さえ押さえていないアタシ。
クルマに乗った瞬間に崩れ落ちたようです。
![Img_5081 Img_5081](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/17/b5/e5dc43612841b22e99adcdd44afcbf6e.jpg)
![Img_52041 Img_52041](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6f/d1/67c45faee7dabd2d8ed368a8ff350da7.jpg)
そんなていたらくの俺。
でも、ガチオ君はこの瞬間、走っているはず。
スタート地点の福富の道の駅まで帰ってきましたが、心配でなりません。
次々にゴールする方々。
![Dscn0615 Dscn0615](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/30/87/5b0f3e3f7f59b93453ea7a6b434e8a6f.jpg)
奴はこない。
そういえば、30時間切りでぶっちぎりのゴールを果たしたfuku@さん。
![Dscn0616 Dscn0616](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/aa/ca5b26fd911962c80dfc521ec4c976b1.jpg)
彼もガチオ君のことを心配してくれていました。
おそるおそる奴のFBを覗いてみたら、「最後の坂、登り切ったぞ!」って。
じゃあ、あと1時間だ。
一安心しながら待ってたんだけど、奴は来ない。
メロスは来ない!
マヂに心配になったゴリラありけり、遠方を眺むる(上田秋成)
![Img_5086 Img_5086](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/08/f0362c5092f9c1a8f3a6cedd65c4ea6a.jpg)
ゴールは豊栄町のコンビニ。
そこから俺たちがいるところ(スタート地点)までは6キロありました。
ガチオの携帯を鳴らしてみると…
いつもの待ち受け音楽が終わると、「ひぃー、ひぃー」って。
えっ、待ち受け変えた?って思った瞬間、「ガチオっす。今、ゴールしました」って。
悲鳴だったんだね。そこまで追い込めるとは、お前はリッパぢゃ!
ようやった! さすがガチオ! 立派な「弟」ぢゃ!
あそこからゴールするのは簡単じゃない。奴もホントにボロボロだったからね。
もう、いてもたってもいられず迎えに行く俺。
バイクで行ったって、まるでガチオ君の助けにはならないんだけどね。
この辺の行動は、よくわかんないなあ(笑)
![Dscn0622 Dscn0622](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/48/3571482b4ee164f154c9b0ed18bf3900.jpg)
もう、それこそガチ踏みっすw
あっ、いた! 奴は帰ってきた!
万感のすれ違い、そして追尾します。
![Dscn0627 Dscn0627](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/51/75425b39c2e804dbe98ebe9b663084a1.jpg)
![Dscn0628 Dscn0628](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/8c/9c1c4f9cad9090e0bbbb976a813b5ec3.jpg)
いやあ、よくやった!
その言葉しか、浮かばなかったなあ。
最後の手続きをするガチオ。
もうバカになってるから、うまく書けず、隣の女子をカンニングしてます(笑)
![Img_5090 Img_5090](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/f1/6f1bad2c1a9b767561f646851d041d32.jpg)
40時間に及ぶ戦いも、ここに幕を下ろしました。
いやあ、面白かった!
この後、スタート前に入ったスーパー銭湯に。そして焼き肉に。
疲れで言葉少なな二人だったけど、リタイアしたこの俺でも多少の達成感はありました。
とはいえ、その日の夜中3時、あまりの悔しさに目が覚め、朝までまんじりともできなかったのは内緒だよ(笑)
また、若干、火が着いたような気もします。まだイケるな、とも思いました。
そして、その後、こんな文章を書きました。
「ブルベ」の魔力
軽量自転車のロードバイクがブームだ。細身のフレームにドロップハンドル。
体に張り付いたようなウエア姿をあちこちで見かける。当方も始めて6年。サドルにまたがり、いろんな「旅」をしてきた。
旅とは大げさな、との声もあろうが、説明すれば納得いただけよう。
「ブルベ」という超長距離サイクリングが今、中高年の心をつかんでいるのだ。
フランス語で「認定」という意味で、伝統的な距離は200、300、400、600キロと刻まれる。なかなかハードな旅である。
先日、その600キロを友人と走った。しまなみ海道経由で東広島市-愛媛県宇和島市を往復するコース。
40時間の制限時間の中、若きトライアスリートの友人は完走したものの、540キロ地点でリタイア。
200、400キロはクリアしてきたが、真夏の600キロはやはり別物だった。
しかし、楽しかった。炎熱の海岸線を駆け、深夜の峠を越え、睡魔に負けて道端で眠る。「非日常」がそこにはあった。
十分なトレーニングを積んでいるはずもない。要するに脚力不足だ。それを機材で補い、上手に仮眠を取る努力をしてカバー。
それでもほかの参加者の若さや、アスリートとしての「土台」に圧倒された。
よわい50も重ねると、徹底的に駄目出しされることなどそうはない。新鮮ですらある。
体面をかなぐり捨て、足らざるところを直視する。知略と経験で加齢に抗し、おのれの限界に挑んでいく。
そこにブルベの妙味があるのだ。
中高年をとりこにするスポーツには、なべてそんな魅力があると思う。マラソンしかり登山しかり。
ただ、年寄りの冷や水という言葉もある。翌日に響くようでは、年長者らしくない。
安全マージンをしっかり取りながら、次なるリベンジに知恵を絞る今日この頃である。
若干、よそ行きではありますが、まあ、かなり正直に書いてます。
さりげなく、「きーーー! 悔しい」とも書いてあります。
俺はもう後には退かないだろうな、バカだから(笑)
では、最後にもう一度。
「踏めば自転車は進む。それは人生のようだ」
36歳と50歳の旅は、これからも続いていくのです。
![Dscn0629 Dscn0629](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3f/b2/72a71f2b276e73234ca72f99caa36f2f.jpg)
「踏めば自転車は進む。それは人生のようだ。」
http://blog.goo.ne.jp/19960408/d/20090508
当時、自らがこの世界に足を踏み入れるとは思わなかった。
人生は不思議だ。
そして楽しい。
おケツさえ痛くなければ…
総走行距離が400キロを超えた頃、私は静かに口を開いた。
「ねえ、ガチオ君? 僕にひっついてるお尻は、本当に僕のお尻かい?」
ガチオ君は答えた。
「兄さん、僕のお尻にも、なにか凄く痛いものがひっついているようです…」
そして二人は走り出す。
それも人生のようだ。
わはは。
![Dscn0599 Dscn0599](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/0f/1916cab8a5478bc58f94665b72ae3c96.jpg)
しかしまあ、遠いねえ、600キロ。
二昼夜かけて、広島~宇和島~松山と走り、420キロぐらいか。
復路はまあまあのペースで走ったつもりだけど、やはり脚は削られ放題。
もちろん俺たちばかりじゃない。
道沿いのコンビニはこんなヒトばかりだよ。
![Dscn0603 Dscn0603](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/98/814ebb21d72f2ab80b468f525b4f2042.jpg)
![Dscn0602 Dscn0602](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/7b/8f4b87900665641194eba98233faee48.jpg)
で、賢明なるガチオ君、いいことに気付いた。
「兄さん、僕たち、このままじゃ次のCP(チェックポイント)で足切りされますよ」
マヂか、と!
そういえばそうだ。菊間のコンビニは6時32分までに通過しなくちゃなりません。
このままぢゃアウトっす!
狂ったように鬼踏みし始めるガチオ君。
泣きながら追いかける小生。
明け方の海岸線を、バカたちは突っ走ります。
ひいひい、ゼイゼイ!で1時間。
いやあ、かろうじてミッションクリアっす。
もう、この辺、ブルベ前と併せて50時間以上寝てないわけ。
ただでさえバカなのに、もうホームラン級のバカですよ、あたしたちゃ(笑)
まともに考えろってのが無理だwww
ただ、菊間のトラップは乗り越えたものの、小生、こんな風に考え始めていました。
「このままだと、完走は出来ても、タイムアウトの恐れはあるなあ」って。
俺もヘロヘロだけど、実はガチオ君も結構、キテる。
35時間後ろから見てると、彼のペダリングも次第に弱々しくなってきてるのよ。
それでも、坂含みの感じになると、遅れちゃう俺を待ってくれている。
この感じで行くと、共倒れもあるなあって。
うーむ、やばい。
で、ご提案。
「ガチオ君、君はもう先に行きなさい。僕も完走はするから、ゴールで待っててよ」
「いや、一緒に走りましょうよ」ってガチオ君。
俺 「ありがたいけど、せっかくここまで走ってきたのが無駄になっちゃうよ。ゴールで会おう」
そんなやりとりの末、ロミオとジュリエットは涙の別れ。
互いに別々の人生を歩み出したのでした…
で、のんびり走り出した俺様。
タイムアウト上等!って勢いで、しまなみ海道へ。
![Dscn0607 Dscn0607](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/ff/12070d1d1232b5e5395a80b104e13e9f.jpg)
しばらく自分のペースでのんきに走ってたら、あれ?
待ってるじゃん、こいつ…
ガチオ君、「やっぱ、一緒に走りましょうよ」って。
バカじゃないの、まったく…
で、日が高くなるにつれ、新たな刺客も!
そう、暑いの(笑)
俺は初日から、ミネラルウオーターを買ってはアタマからぶっかぶってたけど、ついにガチオ君も同調。
![Dscn0604 Dscn0604](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4b/cc/a1320b147420d39096ffb9bf70f53144.jpg)
しかし、かぶった瞬間から乾いていくって感じだよね。
いやあ、まったく…
そして500キロ。
![Img_5075 Img_5075](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/90/8e50f7ade92de76837f2c6d38d5b9187.jpg)
二人とも、しまなみの取り付け道でインナーに落とすほどの消耗ぶり。
フツーのサイクリストにことごとく抜かれていきます。
「あのね、私たちはね、ふだんはもう少しだけ速いんですよ」
二人でぶつぶつ呟きながらのあと100キロでございます。
多々羅大橋の上で、kazuyさん、凹ちゃんグループと邂逅。
そんな予感もあったんだけど、もうボロボロで気の利いた受け答えも出来ず。
いただいた冷えたオロナミン、胸に染み入りました。
お尻はもちろんオロナインが染み入っていたわけなんですが…
![10552420_320470291459779_2732097071 10552420_320470291459779_2732097071](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/fc/cbfacc668c84b6f31c1b1e32ab350686.jpg)
ムダにダンシングしながら進む俺たち。
もちろん元気なわけじゃありません。
お尻が痛いから。なんかやってないと意識が飛びそうだから。
いやあ、なかなか辛いぞ、これは(笑)
で、図らずも、最後のチャンス?がめぐってきました。
「氷買うから先行しておいてください」とガチオ君。
案の定、因島でコースミスする私。ガチオ君が先行する展開となりました。
追う俺様。 しかし、ちょっとした坂も、もはや這うように。
いつも定点観測してるひょっこりひょうたん島さえ、ちゃんと撮れませんねw
![Dscn0609 Dscn0609](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/e5/ba5e2826df8938f1a13a19fd7b95f120.jpg)
そしてこれだ(笑)
![Img_5076 Img_5076](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/d9/4a75edd9552144e3773dac4d6545bacb.jpg)
サイコンは高く出るもんだけど、38度はやばいだろ。ぷぷぷ。
どうせ、バカはその先で待ってるし、このままじゃ共倒れ。
2時間ほど考えていた台詞、ついに口にすることにいたしました。
ガチオ君にお電話です。
「あのさあ、俺、リタイアするわ。では、君は絶対、ゴールするように。以上終わり!」
そしてFBにこの写真を投稿し、「リタイアなう」と。
![Img_5078 Img_5078](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3e/e9/b2ace49b8a3334caa75c369b95dc7774.jpg)
最後まで一緒に走ろうとしてくれた「弟」の思いに応えられず、
しかも待たせるだけ待たせて、彼を窮地に追い込んでいる俺。
情けないにもほどがある。
悄然と渡船に乗り込む私だった。
![Dscn0610 Dscn0610](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/22/dc/ec77c18eb659b0b904feb0e94b8d35d5.jpg)
540キロ。
「旅」は終わった…
10分後、「きゃはは、うめーーーーー!」とはしゃぐオトコありけり(与謝蕪村)
![Img_5080_2 Img_5080_2](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/0f/d374997d476c3ef28231fb60bebf0a86.jpg)
尾道駅前のおしゃれなカフェで、生ビールをどくどく。
めっちゃ汗かいてるこの段階で、駆けつけ2リットルは絶対にまずいと思いますが、はぁ、何か?(逆ギレ)
そんな自堕落ダメダメ男に手をさしのべてくれるのが、この方々。
はい、ガチオ君とは対極にある、盟友ラーメン部のKOOさん、わーさんですね!
サプライズな感じで福富町のゴールで待っていてくれたらしく、リタイアのFBアップで尾道に急行。
レスキューしてくださったのでした。ホントにありがとう!
ただ、その恩人たちの写真さえ押さえていないアタシ。
クルマに乗った瞬間に崩れ落ちたようです。
![Img_5081 Img_5081](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/17/b5/e5dc43612841b22e99adcdd44afcbf6e.jpg)
![Img_52041 Img_52041](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6f/d1/67c45faee7dabd2d8ed368a8ff350da7.jpg)
そんなていたらくの俺。
でも、ガチオ君はこの瞬間、走っているはず。
スタート地点の福富の道の駅まで帰ってきましたが、心配でなりません。
次々にゴールする方々。
![Dscn0615 Dscn0615](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/30/87/5b0f3e3f7f59b93453ea7a6b434e8a6f.jpg)
奴はこない。
そういえば、30時間切りでぶっちぎりのゴールを果たしたfuku@さん。
![Dscn0616 Dscn0616](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/aa/ca5b26fd911962c80dfc521ec4c976b1.jpg)
彼もガチオ君のことを心配してくれていました。
おそるおそる奴のFBを覗いてみたら、「最後の坂、登り切ったぞ!」って。
じゃあ、あと1時間だ。
一安心しながら待ってたんだけど、奴は来ない。
メロスは来ない!
マヂに心配になったゴリラありけり、遠方を眺むる(上田秋成)
![Img_5086 Img_5086](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/08/f0362c5092f9c1a8f3a6cedd65c4ea6a.jpg)
ゴールは豊栄町のコンビニ。
そこから俺たちがいるところ(スタート地点)までは6キロありました。
ガチオの携帯を鳴らしてみると…
いつもの待ち受け音楽が終わると、「ひぃー、ひぃー」って。
えっ、待ち受け変えた?って思った瞬間、「ガチオっす。今、ゴールしました」って。
悲鳴だったんだね。そこまで追い込めるとは、お前はリッパぢゃ!
ようやった! さすがガチオ! 立派な「弟」ぢゃ!
あそこからゴールするのは簡単じゃない。奴もホントにボロボロだったからね。
もう、いてもたってもいられず迎えに行く俺。
バイクで行ったって、まるでガチオ君の助けにはならないんだけどね。
この辺の行動は、よくわかんないなあ(笑)
![Dscn0622 Dscn0622](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/48/3571482b4ee164f154c9b0ed18bf3900.jpg)
もう、それこそガチ踏みっすw
あっ、いた! 奴は帰ってきた!
万感のすれ違い、そして追尾します。
![Dscn0627 Dscn0627](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/51/75425b39c2e804dbe98ebe9b663084a1.jpg)
![Dscn0628 Dscn0628](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/8c/9c1c4f9cad9090e0bbbb976a813b5ec3.jpg)
いやあ、よくやった!
その言葉しか、浮かばなかったなあ。
最後の手続きをするガチオ。
もうバカになってるから、うまく書けず、隣の女子をカンニングしてます(笑)
![Img_5090 Img_5090](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/f1/6f1bad2c1a9b767561f646851d041d32.jpg)
40時間に及ぶ戦いも、ここに幕を下ろしました。
いやあ、面白かった!
この後、スタート前に入ったスーパー銭湯に。そして焼き肉に。
疲れで言葉少なな二人だったけど、リタイアしたこの俺でも多少の達成感はありました。
とはいえ、その日の夜中3時、あまりの悔しさに目が覚め、朝までまんじりともできなかったのは内緒だよ(笑)
また、若干、火が着いたような気もします。まだイケるな、とも思いました。
そして、その後、こんな文章を書きました。
「ブルベ」の魔力
軽量自転車のロードバイクがブームだ。細身のフレームにドロップハンドル。
体に張り付いたようなウエア姿をあちこちで見かける。当方も始めて6年。サドルにまたがり、いろんな「旅」をしてきた。
旅とは大げさな、との声もあろうが、説明すれば納得いただけよう。
「ブルベ」という超長距離サイクリングが今、中高年の心をつかんでいるのだ。
フランス語で「認定」という意味で、伝統的な距離は200、300、400、600キロと刻まれる。なかなかハードな旅である。
先日、その600キロを友人と走った。しまなみ海道経由で東広島市-愛媛県宇和島市を往復するコース。
40時間の制限時間の中、若きトライアスリートの友人は完走したものの、540キロ地点でリタイア。
200、400キロはクリアしてきたが、真夏の600キロはやはり別物だった。
しかし、楽しかった。炎熱の海岸線を駆け、深夜の峠を越え、睡魔に負けて道端で眠る。「非日常」がそこにはあった。
十分なトレーニングを積んでいるはずもない。要するに脚力不足だ。それを機材で補い、上手に仮眠を取る努力をしてカバー。
それでもほかの参加者の若さや、アスリートとしての「土台」に圧倒された。
よわい50も重ねると、徹底的に駄目出しされることなどそうはない。新鮮ですらある。
体面をかなぐり捨て、足らざるところを直視する。知略と経験で加齢に抗し、おのれの限界に挑んでいく。
そこにブルベの妙味があるのだ。
中高年をとりこにするスポーツには、なべてそんな魅力があると思う。マラソンしかり登山しかり。
ただ、年寄りの冷や水という言葉もある。翌日に響くようでは、年長者らしくない。
安全マージンをしっかり取りながら、次なるリベンジに知恵を絞る今日この頃である。
若干、よそ行きではありますが、まあ、かなり正直に書いてます。
さりげなく、「きーーー! 悔しい」とも書いてあります。
俺はもう後には退かないだろうな、バカだから(笑)
では、最後にもう一度。
「踏めば自転車は進む。それは人生のようだ」
36歳と50歳の旅は、これからも続いていくのです。
![Dscn0629 Dscn0629](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3f/b2/72a71f2b276e73234ca72f99caa36f2f.jpg)