HAPPY-GO-LUCKY!

E・コッカーと戯れる浪費派リーマンのゆるい生活

BRM719広島600K ボクたちの旅は続く。の巻

2014-07-23 18:19:00 | ブルベ
かつて私はこんな文章を書いたことがある。


「踏めば自転車は進む。それは人生のようだ。」


http://blog.goo.ne.jp/19960408/d/20090508





当時、自らがこの世界に足を踏み入れるとは思わなかった。

人生は不思議だ。

そして楽しい。


ケツさえ痛くなければ…



総走行距離が400キロを超えた頃、私は静かに口を開いた。

「ねえ、ガチオ君? 僕にひっついてるお尻は、本当に僕のお尻かい?」


ガチオ君は答えた。

「兄さん、僕のお尻にも、なにか凄く痛いものがひっついているようです…」


そして二人は走り出す。

それも人生のようだ。


わはは。

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しかしまあ、遠いねえ、600キロ。

二昼夜かけて、広島~宇和島~松山と走り、420キロぐらいか。


復路はまあまあのペースで走ったつもりだけど、やはり脚は削られ放題。

もちろん俺たちばかりじゃない。


道沿いのコンビニはこんなヒトばかりだよ。

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で、賢明なるガチオ君、いいことに気付いた。

「兄さん、僕たち、このままじゃ次のCP(チェックポイント)で足切りされますよ」


マヂか、と!


そういえばそうだ。菊間のコンビニは6時32分までに通過しなくちゃなりません。

このままぢゃアウトっす!



狂ったように鬼踏みし始めるガチオ君。

泣きながら追いかける小生。



明け方の海岸線を、バカたちは突っ走ります。

ひいひい、ゼイゼイ!で1時間。

いやあ、かろうじてミッションクリアっす。



もう、この辺、ブルベ前と併せて50時間以上寝てないわけ。

ただでさえバカなのに、もうホームラン級のバカですよ、あたしたちゃ(笑)



まともに考えろってのが無理だwww



ただ、菊間のトラップは乗り越えたものの、小生、こんな風に考え始めていました。

「このままだと、完走は出来ても、タイムアウトの恐れはあるなあ」って。



俺もヘロヘロだけど、実はガチオ君も結構、キテる。

35時間後ろから見てると、彼のペダリングも次第に弱々しくなってきてるのよ。


それでも、坂含みの感じになると、遅れちゃう俺を待ってくれている。

この感じで行くと、共倒れもあるなあって。



うーむ、やばい。


で、ご提案。


「ガチオ君、君はもう先に行きなさい。僕も完走はするから、ゴールで待っててよ」


「いや、一緒に走りましょうよ」ってガチオ君。


俺  「ありがたいけど、せっかくここまで走ってきたのが無駄になっちゃうよ。ゴールで会おう」



そんなやりとりの末、ロミオとジュリエットは涙の別れ。

互いに別々の人生を歩み出したのでした…



で、のんびり走り出した俺様。

タイムアウト上等!って勢いで、しまなみ海道へ。

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しばらく自分のペースでのんきに走ってたら、あれ?

待ってるじゃん、こいつ…



ガチオ君、「やっぱ、一緒に走りましょうよ」って。


バカじゃないの、まったく…


で、日が高くなるにつれ、新たな刺客も!

そう、暑いの(笑)


俺は初日から、ミネラルウオーターを買ってはアタマからぶっかぶってたけど、ついにガチオ君も同調。

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しかし、かぶった瞬間から乾いていくって感じだよね。

いやあ、まったく…



そして500キロ。

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二人とも、しまなみの取り付け道でインナーに落とすほどの消耗ぶり。

フツーのサイクリストにことごとく抜かれていきます。


「あのね、私たちはね、ふだんはもう少しだけ速いんですよ」


二人でぶつぶつ呟きながらのあと100キロでございます。



多々羅大橋の上で、kazuyさん、凹ちゃんグループと邂逅。

そんな予感もあったんだけど、もうボロボロで気の利いた受け答えも出来ず。


いただいた冷えたオロナミン、胸に染み入りました。

お尻はもちろんオロナインが染み入っていたわけなんですが…


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ムダにダンシングしながら進む俺たち。

もちろん元気なわけじゃありません。


お尻が痛いから。なんかやってないと意識が飛びそうだから。


いやあ、なかなか辛いぞ、これは(笑)



で、図らずも、最後のチャンス?がめぐってきました。


「氷買うから先行しておいてください」とガチオ君。

案の定、因島でコースミスする私。ガチオ君が先行する展開となりました。



追う俺様。 しかし、ちょっとした坂も、もはや這うように。

いつも定点観測してるひょっこりひょうたん島さえ、ちゃんと撮れませんねw

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そしてこれだ(笑)

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サイコンは高く出るもんだけど、38度はやばいだろ。ぷぷぷ。



どうせ、バカはその先で待ってるし、このままじゃ共倒れ。

2時間ほど考えていた台詞、ついに口にすることにいたしました。



ガチオ君にお電話です。


「あのさあ、俺、リタイアするわ。では、君は絶対、ゴールするように。以上終わり!」



そしてFBにこの写真を投稿し、「リタイアなう」と。

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最後まで一緒に走ろうとしてくれた「弟」の思いに応えられず、

しかも待たせるだけ待たせて、彼を窮地に追い込んでいる俺。


情けないにもほどがある。

悄然と渡船に乗り込む私だった。

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540キロ。

「旅」は終わった…





10分後、「きゃはは、うめーーーーー!」とはしゃぐオトコありけり(与謝蕪村)

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尾道駅前のおしゃれなカフェで、生ビールをどくどく。

めっちゃ汗かいてるこの段階で、駆けつけ2リットルは絶対にまずいと思いますが、はぁ、何か?(逆ギレ)



そんな自堕落ダメダメ男に手をさしのべてくれるのが、この方々。

はい、ガチオ君とは対極にある、盟友ラーメン部のKOOさん、わーさんですね!

サプライズな感じで福富町のゴールで待っていてくれたらしく、リタイアのFBアップで尾道に急行。

レスキューしてくださったのでした。ホントにありがとう!


ただ、その恩人たちの写真さえ押さえていないアタシ。

クルマに乗った瞬間に崩れ落ちたようです。


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そんなていたらくの俺。

でも、ガチオ君はこの瞬間、走っているはず。



スタート地点の福富の道の駅まで帰ってきましたが、心配でなりません。



次々にゴールする方々。

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奴はこない。


そういえば、30時間切りでぶっちぎりのゴールを果たしたfuku@さん。

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彼もガチオ君のことを心配してくれていました。


おそるおそる奴のFBを覗いてみたら、「最後の坂、登り切ったぞ!」って。


じゃあ、あと1時間だ。

一安心しながら待ってたんだけど、奴は来ない。


メロスは来ない!


マヂに心配になったゴリラありけり、遠方を眺むる(上田秋成)

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ゴールは豊栄町のコンビニ。

そこから俺たちがいるところ(スタート地点)までは6キロありました。



ガチオの携帯を鳴らしてみると…


いつもの待ち受け音楽が終わると、「ひぃー、ひぃー」って。

えっ、待ち受け変えた?って思った瞬間、「ガチオっす。今、ゴールしました」って。



悲鳴だったんだね。そこまで追い込めるとは、お前はリッパぢゃ!


ようやった! さすがガチオ! 立派な「弟」ぢゃ!



あそこからゴールするのは簡単じゃない。奴もホントにボロボロだったからね。


もう、いてもたってもいられず迎えに行く俺。

バイクで行ったって、まるでガチオ君の助けにはならないんだけどね。

この辺の行動は、よくわかんないなあ(笑)


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もう、それこそガチ踏みっすw


あっ、いた! 奴は帰ってきた!

万感のすれ違い、そして追尾します。


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いやあ、よくやった!

その言葉しか、浮かばなかったなあ。



最後の手続きをするガチオ。

もうバカになってるから、うまく書けず、隣の女子をカンニングしてます(笑)

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40時間に及ぶ戦いも、ここに幕を下ろしました。


いやあ、面白かった!


この後、スタート前に入ったスーパー銭湯に。そして焼き肉に。

疲れで言葉少なな二人だったけど、リタイアしたこの俺でも多少の達成感はありました。


とはいえ、その日の夜中3時、あまりの悔しさに目が覚め、朝までまんじりともできなかったのは内緒だよ(笑)



また、若干、火が着いたような気もします。まだイケるな、とも思いました。



そして、その後、こんな文章を書きました。


「ブルベ」の魔力

 軽量自転車のロードバイクがブームだ。細身のフレームにドロップハンドル。
体に張り付いたようなウエア姿をあちこちで見かける。当方も始めて6年。サドルにまたがり、いろんな「旅」をしてきた。

 旅とは大げさな、との声もあろうが、説明すれば納得いただけよう。
「ブルベ」という超長距離サイクリングが今、中高年の心をつかんでいるのだ。
フランス語で「認定」という意味で、伝統的な距離は200、300、400、600キロと刻まれる。なかなかハードな旅である。

 先日、その600キロを友人と走った。しまなみ海道経由で東広島市-愛媛県宇和島市を往復するコース。
40時間の制限時間の中、若きトライアスリートの友人は完走したものの、540キロ地点でリタイア。
200、400キロはクリアしてきたが、真夏の600キロはやはり別物だった。

 しかし、楽しかった。炎熱の海岸線を駆け、深夜の峠を越え、睡魔に負けて道端で眠る。「非日常」がそこにはあった。
十分なトレーニングを積んでいるはずもない。要するに脚力不足だ。それを機材で補い、上手に仮眠を取る努力をしてカバー。
それでもほかの参加者の若さや、アスリートとしての「土台」に圧倒された。

 よわい50も重ねると、徹底的に駄目出しされることなどそうはない。新鮮ですらある。
体面をかなぐり捨て、足らざるところを直視する。知略と経験で加齢に抗し、おのれの限界に挑んでいく。
そこにブルベの妙味があるのだ。

 中高年をとりこにするスポーツには、なべてそんな魅力があると思う。マラソンしかり登山しかり。
ただ、年寄りの冷や水という言葉もある。翌日に響くようでは、年長者らしくない。
安全マージンをしっかり取りながら、次なるリベンジに知恵を絞る今日この頃である。


若干、よそ行きではありますが、まあ、かなり正直に書いてます。

さりげなく、「きーーー! 悔しい」とも書いてあります。


俺はもう後には退かないだろうな、バカだから(笑)



では、最後にもう一度。


「踏めば自転車は進む。それは人生のようだ」



36歳と50歳の旅は、これからも続いていくのです。


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