といっても深刻な話ではない。期待しないでいただきたい。
「お義父さんが、あなたに渡してって」。
何かと思えば、ディープインパクトの単勝馬券である。
てっきり菊花賞とかダービーの当たり馬券だと思った。
父が息子に贈るのだから、そういった縁起物であるべきだろう。
しかし、目の前にあるのは、有馬の外れ馬券である。
共同幻想が雲散霧消した、救いのない馬券である。
このクソジジイは何を考えているのだろうか。
人の心の深淵を垣間見た瞬間であった。
しばしば意味不明な行動に走る彼は、拝金主義者である。
要するに、「金でたいていのことは何とかなる」との考えの持ち主だ。
「ボーナスは上がったか」とか、「こりゃあ、ナンボしたんや」なぞ、金にまつわる事象が多い。
別に金に汚いわけではなく、おごったりするのは昔から大好き。
カープの選手にお小遣いをあげたり、家に連れてきてビフテキを食わしたり。
そんなことばかりやっていた。
そして今、無闇にチビに金をやる。困ったものである。
まあ、そんな薫陶を受けた私も多少、金銭感覚が狂っているらしい。
四十路を越えても、ちゃんと計画的にお金が使えない。バカに近い。
で、話は変わるが、
ここ数年、そんな私以上に無駄遣いしている帝都の盟友からプレゼントが届いた。
ディープが一敗地にまみれた今、しみじみありがたく、机上に鎮座している。
キーヤン、ありがと。
大きなお世話でしょうが、財布の中に、
お守り代わりに持っておくのが適当かと
存じます。
しかし、どう意義付ければいいのか、ちと悩みます。