
確かなはずの情報に基づき探索を繰り返す部隊長は任務に疑問を抱き始め、国家権力の闇に突き当たる。
情報、人種、戦時下と言う混沌の中、かつてのフセイン宮殿に陣取って米国が司令塔を置くグリーン・ゾーンは、腹に一物ある魑魅魍魎が集う安全な社交場。
何かをひた隠す国防総省情報局、蚊帳の外に置かれるCIA、陰謀を察知しつつ公表しないジャーナリスト、権力に付き従う軍部。
企て、煽り立て、実行する戦争の縮図がある。
デイモンが英語に堪能なイラク人男性に出逢って真相ににじり寄る展開は、ミエミエ作り話。
組織上層部こそ真の敵だったことを暴く構造は「ボーン」シリーズを彷彿とさせるが、それまでの緊迫に比して真髄は弱すぎる。
それは、大量破壊兵器の保持が大嘘だったという末路へと向かう馬鹿馬鹿しさを、中東戦争の最近の歴史にて誰もが知っているから。
言い換えれば、茶番劇を土台に始めた戦争を揶揄し、それでも真実を追求する孤高のヒーローは不滅と謳い上げ、自治を願うイラク人の心情にまで寄り添う。
欺瞞に満ちた戦争が歴史と化す前に物語化した、実にしたたかなノンストップ活劇である。
でも、どうなんだろう?
最近のハリウッドスターが出る映画はペラペラなものが多い。