Ｓｏｍｅｗｈｅｒｅ

色は淡く、果実味も抑え目、だが香りが高い。
映画は監督のソフィア・コッポラの幼少の頃の思い出。
そんな思いもよぎる。
何かをを静かに分かち合っている。
「ヴァージン・スーサイズ」「ロスト・イン・トランスレーション」「マリー・アントワネット」ソフィアの物語の主人公は、周りは特別な存在であっても自分は特別な存在ではない。そういった少女たち。
主人公のもとに別れた妻と暮らす11歳の娘がやって来たところから、物語はソフィア作品らしい、ビタースウィートな空気を醸し始めるのだ。
彼女は、別れの時、猛烈な寂しさと不安に襲われる。
その揺れ動く感情は「ママはいつ戻るんだろう？　パパは忙しいし……」という言葉と涙によって、初めて決壊する。
金髪、透き通るほどの白肌、清潔感あふれる出立ち、屈託のない笑顔と時折見せる不安そうな表情。
より純度の高い少女性。
常に地上数センチのところをふわふわと漂っているかのような、生活感のない登場人物たちと、それゆえの虚しさとほろ苦さを感じる。
純度を高く持たないと理解するには辛い映画かも。