Viedel/KukiHairDesign/ヴィーデル/クキヘアデザイン 四条烏丸 美容室

ヴィーデルは四条烏丸の美容室です。フランス仕込みの技術 ナチュラルで優しく ふんわりとしたヘアスタイル

永遠の”0”

2011-05-14 14:46:54 | 映画
初夏の夜長。
また本を読み漁っています。
本当に漁っていると言う言葉がピッタシです。








そんなときに当たった本がコレ。
あらすじを聞くと、人によって、特に女性はファーストインプレッションでは拒否や興味なし、そんな感じすらします。
「永遠のゼロ」
終戦直前、零戦に搭乗して命を落とした一人の男。
戦時の知人らを訪ねてその人物像を調べるうち、孫である青年は疑問を感じる。
国に命を捧げることがよしとされていたあの時代、臆病者と笑われようと「生きて妻と娘のもとへ帰りたい」と言っていた祖父。
その彼がなぜ、自ら特攻を志願することとなったのか。
デビュー作を執筆するにあたって、著者は戦争体験者にも取材したという。
ただ、当時をリアルタイムで書くのではなく、現代の若者を視点人物にしたため、戦争とは縁遠い世代をもすんなりと物語世界に導くことに成功したと思う。
老人たちが語る当時の物理的、心理的な極限状況と、文献でしか大戦を知らない世代との認識の違いも浮き彫りになる。
押し付けがましくなく、戦争の過酷さを伝えるという点で、この小説はノンフィクションを超えられた部分があると思う。
死んだ人間の本音を聞くことはできない。
しかし周囲の証言から、祖父が何を正義とし、そして何を決断したのかが少しずつ組み立てられていく。
そんなストーリー。

僕の感想、それは今の言葉で言うと簡単すぎて軽いかもしれません。
「リスペクト」
ある種、流行の言葉だった。
敵であろうが、味方であろうが、年下であろうが、部下であろうが、相手に対して、相手の優れている面に対して、敬意を持って、尊敬の念を持って接する。
そう言う言葉だと理解している。
そんなことが垣間見られる物語だった。
「何」がきっかけで、「何」に惹かれて、人を、モノを、考えを、リスペクトするかの基準はヒト様々です。
この物語では、何かを「命を賭してやり遂げよう」とする者達が、リスペクトしていた人物にスポットが当てられる。
何事にもブレ無い、芯を持った主人公なのであろう事は想像できる。
登場人物の各人、それぞれのリスペクトの意が、思いが、あたかも生霊のように、それにまつわる人達の前に現れる。
それ程までにリスペクトされる人物、主人公にも、ある種、清々しさも感じてしまう。
ナンだろうな~?これは男だけの感情なんだろうか?
昔、映画では「ヒート」を見たときも、コレに近いものを感じた。
最近では「グラン・トリノ」や「ミスティック・リバー」で感じたかもしれない。
憎いまでにリスペクトされる人物。
命をささげても良いと思うほど、リスペクトされる人。
後の人生に影響を与えたほど、リスペクトしていた人。
目に見えるもの、見えないもの、形の有るもの、カタチの無いもの。
そんな不思議な感覚を唯一許容できる霊長類と言う僕達「人間だからこその感受性」で読んでもらえればと思います。

最後まで信念を持ち続けた彼の心の強さが明るみに出る場面では、どうしても涙腺が刺激されてしまう。
だが「哀しくて泣かせるだけの本」ではない。
祖父の真実を知った後、人生における決断を下す主人公たちのように、読み手にも何らかの勇気が与えられる。
読後には、爽快感すら残されるのだ。