社会派監督が問いかける現代アメリカにおける個人の正義
フランス映画「すべて彼女のために」のリメイク。
クライム・ムービーとラブストーリーというフランス映画の得意なジャンルを見事にあわせた作ではあるが、かといって社会派の監督がなぜ?
しかも新しい作品をあえてリメイクするのか?
でも見てみると、物語の中にオリジナルとはまったく違うテーマがあった。
モラルや正義では計れないことに遭遇したら、人は何をもって道を選ぶのか。
前2作で人種差別、帰還兵のPTSDを描いてきたが、考えてみれば本作も含めすべてが個人の正義についての物語であったといえる。
長いことアメリカの正義の名の下に犠牲にされてきた個人の正義。
実はそこではないのか。
そのため物語はオリジナルと同じでありながら、本作では主人公だけでなく妻にもこの命題をつきつけ、彼女の心も大きく揺らす。
そして社会の正義と個人の正義の間で、愛し合っていたはずの夫婦に生まれる溝を描く。
ただ愛のためだけに大きな犯罪をやってのける男の話が、共にリスクを負うことで絆が結ばれる夫婦の話になった。
同じ結末でありながらも、意味するところは両作品でまったく違うのだ。
リメイクは往々にして監督の演出法で比較されるが、監督が属する時代や社会もまたリメイク作品の大きな見どころなのである。
フランス映画「すべて彼女のために」のリメイク。
クライム・ムービーとラブストーリーというフランス映画の得意なジャンルを見事にあわせた作ではあるが、かといって社会派の監督がなぜ?
しかも新しい作品をあえてリメイクするのか?
でも見てみると、物語の中にオリジナルとはまったく違うテーマがあった。
モラルや正義では計れないことに遭遇したら、人は何をもって道を選ぶのか。
前2作で人種差別、帰還兵のPTSDを描いてきたが、考えてみれば本作も含めすべてが個人の正義についての物語であったといえる。
長いことアメリカの正義の名の下に犠牲にされてきた個人の正義。
実はそこではないのか。
そのため物語はオリジナルと同じでありながら、本作では主人公だけでなく妻にもこの命題をつきつけ、彼女の心も大きく揺らす。
そして社会の正義と個人の正義の間で、愛し合っていたはずの夫婦に生まれる溝を描く。
ただ愛のためだけに大きな犯罪をやってのける男の話が、共にリスクを負うことで絆が結ばれる夫婦の話になった。
同じ結末でありながらも、意味するところは両作品でまったく違うのだ。
リメイクは往々にして監督の演出法で比較されるが、監督が属する時代や社会もまたリメイク作品の大きな見どころなのである。