マンチェスターユナイテッドのサッカー選手エリック・カントナとの前作「エリックを探して」はコメディだったが、今回はシリアスだ。
イラクからリバプールに帰還した兵士が、親友の不可解な死の真相を探っていくという物語。
ミステリー風の構成と、そこに織り込まれた幾つかのテーマは、イラク戦争ものに相通じるものがある。
主人公と死亡した親友はイギリス軍兵士ではなく、民間軍事企業に雇われてイラクに派遣されたと傭兵。
荒々しいタッチの本作は、戦争ビジネスで利益を貪る企業の罪深さを攻める。
ところが主人公はいわゆる正義のヒーローからはほど遠く、戦争後遺症を患う情緒不安定な男だ。
真実に迫ろうとする主人公は、悪事を働いた元同僚を拉致し、水責めの拷問にかける。
それも見ている側が感情移入していた、正しいと信じている主人公が残虐な行為に走り、戦争の狂気を体現してしまう。
兄弟同然に育った男たちの少年時代のフラッシュバックを折込み、死によって断ちきられた友情の喪失を描いた。
そして、もう素朴な一庶民に戻れぬ戦場帰りの傭兵のやるせない哀しみと、すべてが自分に跳ね返ってくる怒りと憎しみの虚しさを見せる。
告発調の社会派懲悪劇ならば、良い解決方法が見つかり、再発を繰り返させないエンディングへと進むのであろうが、本当の現実では、莫大な「収入」と言う、とどまることの無い人間の「悪欲」、そして救いのない結末とともに沸き起こる“複雑な余韻”が事実を浮き彫りにしている。
イラクからリバプールに帰還した兵士が、親友の不可解な死の真相を探っていくという物語。
ミステリー風の構成と、そこに織り込まれた幾つかのテーマは、イラク戦争ものに相通じるものがある。
主人公と死亡した親友はイギリス軍兵士ではなく、民間軍事企業に雇われてイラクに派遣されたと傭兵。
荒々しいタッチの本作は、戦争ビジネスで利益を貪る企業の罪深さを攻める。
ところが主人公はいわゆる正義のヒーローからはほど遠く、戦争後遺症を患う情緒不安定な男だ。
真実に迫ろうとする主人公は、悪事を働いた元同僚を拉致し、水責めの拷問にかける。
それも見ている側が感情移入していた、正しいと信じている主人公が残虐な行為に走り、戦争の狂気を体現してしまう。
兄弟同然に育った男たちの少年時代のフラッシュバックを折込み、死によって断ちきられた友情の喪失を描いた。
そして、もう素朴な一庶民に戻れぬ戦場帰りの傭兵のやるせない哀しみと、すべてが自分に跳ね返ってくる怒りと憎しみの虚しさを見せる。
告発調の社会派懲悪劇ならば、良い解決方法が見つかり、再発を繰り返させないエンディングへと進むのであろうが、本当の現実では、莫大な「収入」と言う、とどまることの無い人間の「悪欲」、そして救いのない結末とともに沸き起こる“複雑な余韻”が事実を浮き彫りにしている。