それはエヴァンゲリヲン。
なぜ知らぬ間に「バ」が「ヴァ」に、「オ」が「ヲ」になったかは知りませんが...
先の009の聖書から引用されたような神山ワールドにしかり、このエヴァンゲリヲンにしかり...
巻頭に古めかしい東映ロゴが出た時点で不穏な気配を覚えたな。
今回の配給会社の親会社ではあるが、旧劇場版の配給ロゴが付くのは新劇場版で初めてのこと。
たちまち、エヴァ終幕をめぐり熱狂と嫌悪が渦巻いた90年代後半の記憶が脳裏をよぎる。
予感は的中した。
極上のアニメーション体験であることに変わりはないが、前作で高みへと向かったポジティブな生命感はない。
躁のあとに鬱に襲われた感覚。
ヱヴァを愛するファンを、どん底に突き落とすかのような毒気。
あの庵野秀明が還ってきた。
世界はほぼ終末を迎え、惨憺たる状態のまま前作から14年も経っているという残酷。
3・11後とのシンクロ率も高い地獄絵に息を殺すなか、ヒト型兵器搭乗者は“EVAの呪縛”によって成長しないという悲哀が明かされる。
その時間経過は最後の旧劇場版公開からの歳月と同じであり、ヱヴァに依存しすぎた観客へ現実感を促す仕掛けにも思える。
衝撃的なのは、主人公シンジに対する拒絶の言葉だ。
「もう乗らないでいい」
自我の殻に籠もっていた少年がロボットに乗り戦うことで、現実の重みや生の痛みを知る物語の否定。
少女を救うための決死の行為が引き金となって、世界が崩壊寸前に陥ったことへの代償だ。
英雄的行為が仇となり、疎外され贖罪を背負った苦悩が重苦しく全編を覆う。
何という救いなき展開なのか。
新劇場版とは旧作の変奏曲ではなく、ループやパラレルに思える瞬間もある。
シンジを慰撫し真実を告げるカヲルは連弾の際、「気持ちいい音が出るまで同じことを何度でも繰り返せばいい」と諭す。
この反復の精神にこそ、庵野が創り続ける真意が込められているのは確かだろう。
愛と希望を見出す、絶望からの再構築の完結を見守りたい。
なぜ知らぬ間に「バ」が「ヴァ」に、「オ」が「ヲ」になったかは知りませんが...
先の009の聖書から引用されたような神山ワールドにしかり、このエヴァンゲリヲンにしかり...
巻頭に古めかしい東映ロゴが出た時点で不穏な気配を覚えたな。
今回の配給会社の親会社ではあるが、旧劇場版の配給ロゴが付くのは新劇場版で初めてのこと。
たちまち、エヴァ終幕をめぐり熱狂と嫌悪が渦巻いた90年代後半の記憶が脳裏をよぎる。
予感は的中した。
極上のアニメーション体験であることに変わりはないが、前作で高みへと向かったポジティブな生命感はない。
躁のあとに鬱に襲われた感覚。
ヱヴァを愛するファンを、どん底に突き落とすかのような毒気。
あの庵野秀明が還ってきた。
世界はほぼ終末を迎え、惨憺たる状態のまま前作から14年も経っているという残酷。
3・11後とのシンクロ率も高い地獄絵に息を殺すなか、ヒト型兵器搭乗者は“EVAの呪縛”によって成長しないという悲哀が明かされる。
その時間経過は最後の旧劇場版公開からの歳月と同じであり、ヱヴァに依存しすぎた観客へ現実感を促す仕掛けにも思える。
衝撃的なのは、主人公シンジに対する拒絶の言葉だ。
「もう乗らないでいい」
自我の殻に籠もっていた少年がロボットに乗り戦うことで、現実の重みや生の痛みを知る物語の否定。
少女を救うための決死の行為が引き金となって、世界が崩壊寸前に陥ったことへの代償だ。
英雄的行為が仇となり、疎外され贖罪を背負った苦悩が重苦しく全編を覆う。
何という救いなき展開なのか。
新劇場版とは旧作の変奏曲ではなく、ループやパラレルに思える瞬間もある。
シンジを慰撫し真実を告げるカヲルは連弾の際、「気持ちいい音が出るまで同じことを何度でも繰り返せばいい」と諭す。
この反復の精神にこそ、庵野が創り続ける真意が込められているのは確かだろう。
愛と希望を見出す、絶望からの再構築の完結を見守りたい。